著者
戸田 正憲 和多田 正義 田村 浩一郎 加藤 徹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

全ゲノム配列情報を「骨格」として,さまざまな部分配列情報を網羅的に利用可能にする,分子系統解析のための新しい方法論を考案し,モデル生物群としてのショウジョウバエ科の系統解析を行った.その結果,極めて高い解像度の系統樹が推定され,新しい方法論の有効性が実証されるとともに,これまで未解明の部分があった最大の属,ショウジョウバエ属について,いくつかの重要な新しい系統情報が得られた.これにより,ショウジョウバエ科の系統分類学および進化学的枠組みを大きく変える必要がある.
著者
竹中 宏平 戸田 正憲
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.692, 2004 (Released:2004-07-30)

Many species of Colocasiomyia (Diptera, Drosophilidae) depend exclusively on flowers of Araceae species for mating, oviposition and larval development. These flies play an indispensable role in pollination of their host plants. This resembles fig and fig wasp system in having features of both plant-herbivore and plant-pollinator relationships. Characteristic of this pollination mutualism is that fly larvae do not eat the seeds. Furthermore, plant-insect relationships range widely, from obligate mutualism to broad generalism. However, there is some correspondence in host selection between Araceae tribes and Colocasiomyia species-group. Another feature of this pollination mutualism is ‘synhospitalism’, in which two Colocasiomyia species coexist in a single host inflorescence. Usually, one fly species in a synhospitalic pairs uses mainly the upper (male) part of the inflorescence and the other species the lower (female) part. A phylogenetic tree of the flies suggests two possible pathways for the coevolution of this synhospitalism. We review this pollination mutualism and present new findings from Borneo.
著者
戸田 正憲
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、ニセヒメショウジョウバエ属を中心としてショウジョウバエ科の系統関係を形態形質により解析することをめざして、1)ニセヒメショウジョウバエ属の単系統性を検討する。2)ニセヒメショウジョウバエ属の各種群間及び本属とショウジョウバエ亜科の主な分類群間の系統関係を明らかにすることを目的とした。ショウジョウバエ科10属41種を66形質について分岐分析した結果、次の結論が得られた。1,ニセヒメショウジョウバエ属は多系統群である:fenestrarum種群、nigricolor種群、miki種群、denticeps種群は一つ単系統群にまとめられるが、tenuicauda種群はトゲオショウジョウバエ属と一緒に別の単系統群を形成する。2,ニセヒメショウジョウバエ属の5つの群群のうち、fenestrarum種群、denticeps種群は単系統群であるが、nigricolor種群は2つの別々の単系統群に分割され、tenuicauda種群は側系統群である可能性がある。また、miki種群の単系統性は今のところ結論できない。3,fenestrarum種群、nigricolor種群、miki種群は単系統群を形成し、denticeps種群と姉妹群の関係にある。4,この4種類から成る単系統群はシマショウジョウバエ亜属と姉妹群の関係にある。5,フサショウジョウバエ属とヒメショウジョウバエ属はそれぞれ単系統群である。6,ショウジョウバエ亜科の中では,まず最初にマメショウジョウバエ属が分岐した。しかし、その後の単系統群(ニセヒメショウジョウバエ属+シマショウジョウバエ亜属、トゲショウジョウバエ属+tenuicauda種群、ハシリショウジョウバエ属、フサショウジョウバエ属、ヒメショウジョウバエ属、ヒョウモンショウジョウバエ亜属、ショウジョウバエ亜属)の分岐関係については、まだ結論できない。