著者
斉藤 哲 Brown M. Korhonen F.J. McFadden R.R. Siddoway C.S.
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.191, 2010

西南極マリーバードランドに分布するフォスディックミグマタイト-花崗岩複合岩体は、白亜紀のゴンドワナ大陸分裂に伴い隆起・削剥した東ゴンドワナ大陸古太平洋縁辺部の中~下部地殻と考えられている。当岩体には小規模な花崗岩体とミグマタイト化した片麻岩類に伴って、苦鉄質岩脈や閃緑岩の小岩体が分布している。本研究から得た苦鉄質貫入岩類のジルコンU-Pb年代は白亜紀を示した。また苦鉄質貫入岩類は中カリウム~高カリウム系列で塩基性~中間組成を持つ。微量元素パターンはLIL元素に富み、Nbの不異常を示すことからスラブ由来物の汚染を受けた岩水マントル起源と考えられる。Sr-Nd同位体データもエンリッチマントル起源を示唆する。本研究結果から、苦鉄質岩類はマントルプルーム活動に由来するのではなく、背弧拡大に関連した陸弧下マントルの融解起源と考えられる。
著者
斉藤 哲 Korhonen Fawna J. Brown Michael Siddoway Christine S.
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.35, 2008

西南極マリーバードランド、フォード山脈に分布するフォスディック花崗岩ミグマタイト複合岩体は、ミグマタイト化した片麻岩類とそれに伴う花崗岩類からなり、中~下部地殻相当の変成圧力条件(約6~10 kbar)が見積もられている 。フォスディック岩体の花崗岩類は、珪線石を含みSrとBaに乏しいもの(低Srタイプ)と珪線石を含まずSrとBaに富むもの(高Srタイプ)に区分される。ジルコンU-Pb年代測定の結果、これらの花崗岩類はデボン紀~石炭紀の陸弧火成活動と白亜紀のゴンドワナ大陸分裂に伴う複変成作用が引き起こした深部地殻の融解により形成したと考えられる。白亜紀の高Sr花崗岩類は、マリーバードランドに広く分布する白亜紀の浅部貫入岩体であるバードコースト花崗岩とジルコンU-Pb年代・Sr-Nd同位体組成が類似しており、浅部地殻に珪長質メルトを供給したフィーダー帯に相当すると考えられる。
著者
斉藤 哲也 楊 迪寧 星野 准一
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-6, 2011-05-06

本稿では,公共空間の活性化のために,ゲーム世界と実世界のコミュニケーションを相互に楽しむパブリックオンラインゲームシステムを提案する.オンライン上でゲーム参加者の活動により変化し続けるゲーム世界の風景を,大型ディスプレイを通して公共空間に提示する.公共空間では,オンライン上の変化を多くの人が俯瞰的に観察・鑑賞でき,またゲーム参加者自身へも公共空間での観察活動の参加を促す.本システムの設置と運用により,多くの人が自然に公共空間に訪れ,楽しい時間を過ごせると期待できる.提案システムを制作し,実際にユーザに体験してもらい,評価実験を行うことで,本システムの有効性を示す.In this paper, we propose the public online gaming system to enjoy a communication in the game world and the real world mutually for the better public space. The main system shows the scenery of the game world which the activity of the online gaming participant changes through the large-sized display in the public space. A lot of persons can appreciate a bird's-eye view of the system and also it prompts game participant himself, too, to participate in the observation activity in the public space. We think that a lot of persons come naturally to the public space and can spend delightful time by the establishment and the operation of the main system. We create a proposed system, do an evaluation experiment after having a user experience the system actually and show the validity of this system.
著者
影山 洋 斉藤 哲也
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.844-848, 1996-12-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
22

高クレアチンキナーゼ(CK)血症を契機に発見された甲状腺機能低下症の患者で免疫グロブリン結合CKによるマクロCK血症がみられた患者を報告する. 症例は50歳女性, 高血圧で外来通院中約1カ月前頃より両側上肢の筋力低下の症状あり, CKを測定したところ, 異常高値で, 精査のため入院. 乾燥皮膚, 頭毛の脱落, nonpitting edema, 両側上下肢の筋力低下がみられた. CKは98. 5%がMM活性であり, 電気泳動ではextrabandがみられ, マクロCKが疑われた. 薄層ゲル濾過法で正常スポットと高分子スポットがみられ, 酵素免疫固定法では重鎖はA, 軽鎖はκとλの両者からなる免疫グロブリン結合CKであることが明らかとなった. 身体所見より甲状腺機能低下症が疑われ, 遊離T3, T4とも測定感度以下, TSHは異常高値であった. 甲状腺自己抗体, TSHレセプター抗体は陰性であった. 甲状腺ホルモンの補充療法により筋力低下は消失し, CKも正常化し, 免疫グロブリン結合CKも消失した. 甲状腺機能低下症に伴い免疫グロブリン結合CKがみられたのは本症例が2例目であり, きわめてまれであると考えられた.