著者
星野 准一 田中 彰人 濱名克季
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2539-2548, 2008-07-15
被引用文献数
2

格闘ゲームのような対戦型のアクションゲームにおいて,コンピュータが操作するキャラクタ(以下COM)の行動は変化に乏しく,プレイヤは繰り返しプレイすることによってCOMの行動パターンを憶えてしまい,ゲームに飽きてしまうという問題がある.そこで,本稿ではプレイヤを模倣学習する手法を用いて,COMの行動パターンを拡張する手法を提案する.本手法では,プレイログを記録し,対戦相手であるプレイヤの行動パターンを分析し,そのプレイヤの行動パターンの一部を模倣することでCOMの行動パターンを拡張する.本手法を用いることで,試合ごとに行動パターンを拡張し,成長していけるCOMを生成することが可能となる.In action game, the computer's behavior lacks diversity and human players are able to learn how the computer behaves by playing the same game over and over again. As a result, human players eventually grow tired of the game. Therefore, this paper proposes technique to expand the behavior pattern of COM. To this end, we use imitation learning. In this technique, play log is recorded. And COM expands the behavior pattern by imitating a part of player's behavior pattern. In the result, COM is able to expand the behavior pattern every match and grow up.
著者
白鳥 和人 塩入 健太 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.65-74, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
34
被引用文献数
3

概要-本稿では,格闘対戦型ゲームの自動対戦キャラクタの仮想プレイヤにゲーム状況やプレイヤ行動に応じた発話音声を付加する手法を提案する.本提案ではまずゲーム状況を画面内マーカ位置の画素変化からライフポイントや技パターンを読みとり獲得する.これに基づき計算機側プレイヤの感情パラメータを算出する.音声会話データは実際にゲームプレイ中の発話を録音し抽出しパラメータと対応付けておく.このシステムで遊ぶときこれらの会話セットを適切に選択し仮想プレイヤに発話させる.実際のユーザにプレイをさせた結果,対戦型ゲームを計算機プレイヤと行う場合での手法の有用性が確かめられた.
著者
星野 准一 森 博志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.20-28, 2009 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年,ゲームやテーマパークなどで,CGキャラクタと対話をすることでストーリーが進行する,音声対話ゲームが見られるようになってきた.このようなゲームでは,ユーザのストーリー体験を強化するために,自然で現実味のある対話を実現することが求められている.しかし,従来ゲームでは,ユーザの発話内容を認識する間CGキャラクタがレスポンスを返すことができないため,CGキャラクタの反応タイミングが遅く不自然に感じられるという問題があった.そのため,本論文では,ユーザの発話内容を理解し反応する熟考的反応だけでなく,会話状態に連動した注意動作や,ユーザの非言語情報を知覚し反射的に注意を向けるといった,反応的注意動作を生成する手法を提案する.最後に,提案手法を音声対話型ゲームに適用し,従来の音声認識の遅延によって発生していたCGキャラクタの反応動作の遅延が軽減され,CGキャラクタとの対話感が増すことを示す.
著者
益子 宗 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.136-144, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

運動が不足すると健康が阻害されることが知られ,室内で手軽に利用できる運動器具が普及している.しかし,どのような運動をどれくらいの時間行えばよいかといった運動処方を知るためには専門的知識が必要であり,過度な運動による事故や十分な運動効果を得ることが困難であった.そのため,運動効果が得られるように運動器具の負荷を自動制御するフィットネスマシンや,運動にゲーム性をもたせることで継続的な運動を促すことが提案されている.しかし,運動が単調であるために運動の達成感が得られず運動を継続できないことや,あらかじめ設定されたゲームの難易度が個人の運動習慣や心肺能力によって異なる有効心拍数を考慮していないために,ユーザによっては十分な運動を行うことができず運動効果が得られないといった問題があった.そこで本研究では,実時間で計測したゲームプレイ中のユーザ心拍数を運動強度の指標とし,心拍数に応じてゲーム内容を動的に変更することで,ユーザ個々にあった運動効果と運動達成感を与えるゲーム制御手法を提案する.最後にボクササイズにゲーム要素を付加したフィットネス支援ゲームを構築し,評価を行なう.
著者
太田 祥一郎 河田 隼季 牟田 将史 益子 宗 星野 准一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.10, pp.1-8, 2017-02-27

近年では,年間に放送されるアニメ作品は 200 本を超え,関連グッズなどのコンテンツを含めた広義のアニメ市場規模は 1 兆 8250 億円に昇る.しかし,アニメ作品と市場の発展に伴い,数多くのアニメ作品の中からユーザが自分の嗜好に合った作品を見つけ,それらの関連コンテンツの全容を把握することは困難となっている.そこで本研究では,ユーザの潜在的嗜好を反映した,アニメ作品や関連コンテンツを横断的に推薦することができるアニメ作品推薦システム “AniReco” を提案する.本システムは,アニメの視聴回数とジャンルや声優などの指標によって分類したアニメ作品情報を用いてユーザの嗜好を算出し,ネットワーク図による視覚化を通した推薦を行う.システム利用姓,推薦内容の検証を目的とした評価実験を行った結果,提案システムがユーザの嗜好に合ったアニメ作品を推薦可能であることを確認した.
著者
中津留 義樹 平松 良介 星野 准一
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.11, pp.1-6, 2011-05-06

本稿では,エンタテインメントで用いられるコントローラを軟体物質で構成された柔軟性を持つものにすることで,より多くの感覚を使え,より多くのモーションを許容する体感型コントローラを実現できると考える.従来研究として曲げセンサを使用した軟体コントローラにより,その有用性が確認されている.しかし,従来の曲げセンサによる方式では耐久性に問題があった.そこで,本稿では曲げセンサに替わる大気圧センサを使用したボール型軟体コントローラを提案する.展示を通して提案した新方式の耐久性と操作性の検証を行う.In this paper, we propose a ball-shape controller for entertainment with soft material which user can use more senses and more motions. The utility is being confirmed as a conventional research by the soft body controller using the flex sensor. However, there was a problem in durability in the method with a flex sensor. Then,in this text,it proposes the ball type soft body controller using the air pressure sensor that replaces a flex sensor. the operativeness and the durability of the new method is verified through the exhibition.
著者
張 輝陽 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-4, 2014-03-10

ビデオゲームにおいて,AI キャラクタの行動がプレイヤのプレイ体験に大きい影響を与えるため,ゲーム AI の開発が非常に重要とされている.しかし,Multiplayer Online Battle Arena(MOBA) のようなゲームではチェスなどのボードゲームより複雑で,可能なゲーム場面数が厖大な故,ゲーム AI の開発コストも高くなると考えられる.ゲーム AI の開発コストを削減に関連する手法として,機械学習手法を用いた AI キャラクタの行動を自動的に生成する研究はあった.しかし,実際のゲームデータの中にあるプレイヤの行動には必要がない行動つまりノイズ行動も入っていると考えられる.本稿では MOBA ゲームにおいて自己増殖ニューラルネットワーク SOINN を用いた AI キャラクタの行動ルールの自動生成及びノイズ行動除去の効果について検討する.In video games, for AI characters' behavior will greatly impact on players' play experience, developers paid a lot of attention to the development of game AI. However, games like Multiplayer Online Battle Arena which are considered to be much more complex than board games such as chess have a great number of game situation and the development of game AI for these games is quite costly. Aimed saving cost of developing game AI, there are some researches on automatic generating behavior rules for AI characters by using machine learning. However, it is needed to take into account of players' behavior in real games' data that are not necessary. These behaviors are also called as noisy data. This paper will presents a method of automatic generating AI characters' behavior rules and discusses about the noisy excepting result of Self-Organizing Incremental Neural Network.
著者
張 輝陽 星野 准一
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.135-138, 2014-10-31

本稿ではMOBAにおいてグラフ理論と時相理論を用いた適切な戦術でプレイヤと協力できるチームメイトAIを提案し,AIエージェントの行動とゲームの楽しさの関連性について検討する.
著者
中津留 義樹 平松 良介 星野 准一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.38, pp.57-62, 2011-05-06

本稿では,エンタテインメントで用いられるコントローラを軟体物質で構成された柔軟性を持つものにすることで,より多くの感覚を使え,より多くのモーションを許容する体感型コントローラを実現できると考える.従来研究として曲げセンサを使用した軟体コントローラにより,その有用性が確認されている.しかし,従来の曲げセンサによる方式では耐久性に問題があった.そこで,本稿では曲げセンサに替わる大気圧センサを使用したボール型軟体コントローラを提案する.展示を通して提案した新方式の耐久性と操作性の検証を行う.
著者
服部 裕介 田中 彰人 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.111, pp.85-90, 2007-11-13

格闘ゲームのような対戦型のアクションゲームにおいて,コンピュータが操作するキャラクタ(以下COM)の行動は変化に乏しく,プレイヤは繰り返しプレイすることによって COM の行動パターンを憶えてしまい,ゲームに飽きてしまうという問題がある.そこで,本稿ではプレイヤを模倣学習する手法を用いて,COM の行動パターンを拡張する手法を提案する.本手法では,プレイログを記録し,対戦相手であるプレイヤの行動パターンを分析し,そのプレイヤの行動パターンの一部を模倣することでCOMの行動パターンを拡張する.本手法を用いることで,試合ごとに行動パターンを拡張し,成長していけるCOMを生成することが可能となる.In action game, the computer's behavior lacks diversity and human players are able to learn how the computer behaves by playing the same game over and over again. As a result, human players eventually grow tired of the game. Therefore, this paper proposes technique to expand the behavior pattern of COM. To this end, we use imitation learning. In this technique, play log is recorded. And COM expands the behavior pattern by imitating a part of player's behavior pattern. In the result, COM is able to expand the behavior pattern every match and grow up.
著者
國村 大喜 小野 千代子 平井 まどか 松崎 ワグナ哲也 村本 政忠 内山 俊朗 白鳥 和人 星野 准一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.279-288, 2010-09-30 (Released:2017-02-01)

YOTARO is a baby type robot developed to make possible a virtual sensation of play with a baby. When playing with YOTARO, it has many kinds of emotion and reactions, such as smiling, crying, sleepy, angry, sneeze. YOTARO is controlled by emotion control program based in inputs, such as touching soft and warm face, touching stomach, shaking rattle; after that, interactive reactions are output as voices, expressions change, movement of hands and legs, sniveling, and skin's color change. YOTARO is designed about observation of people's viewpoint to babies aiming to elevate the level of interaction.
著者
小林 桂 星野 准一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.4_59-4_68, 2021-03-31 (Released:2021-03-30)
参考文献数
19

デバイスや認識技術の発展により,利用者の行動認識を利用した体験型展示が増加しつつある。しかし展示環境で利用者にどのような動作をして欲しいのかを伝えるのは難しい。本稿では,メディアアートや博物館の体験型展示で入力のための行動を伝えることを目的としたピクトグラムを使った行動伝達手段を提案する。行動のみを伝える造形や構図の工夫を行うとともに,静止画と動画のピクトグラムを制作して,20 代から70 代までの利用者に対して正答率と行動を達成する平均時間について比較した。20 代を対象にした評価実験では,静止画については正答率のばらつきがあったが,動画については全ての行動を88.5%以上の利用者が理解できた。また中高年層にも行動を伝えることができたが,時間がかかる傾向があることが分かった。これらの成果を神社や風呂敷などの日常的な日本無形文化を伝える体験型展示に適用した。
著者
野間田 佑也 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.43-54, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本稿では,漠然とした検索要求下におけるレシピ探索を支援することを目的とし,その実現のアプローチとして情報視覚化を利用したレシピ探索システムを提案する.本システムでは,ユーザが行う一連の探索過程を,ユーザからの個々の検索要求および検索結果となる個々の情報をノードとするグラフとして表現する.また,本システムの有効性を評価するために,本システムを一人で使用する場合と,複数人での利用を想定し,評価実験を行った.実験後のアンケートの結果と考察から,本システムは,漠然としたレシピ探索に対して有効であることが確認された.
著者
野間田 佑也 中野 敦 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-64, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

イベントデータを時系列に配列したタイムラインは,時間的な関係性を提示する手法として広く利用されている.人物の経歴や物事の歴史などを調べる際には,ある特定のタイムラインだけではなく,その他のタイムラインに含まれる出来事との関連性も理解することが重要となる.しかしながら,テキストベースの異なるタイムラインを比較参照し,出来事の時間的な位置関係を理解しながら,出来事間の関連性を理解することは困難である.そこで本稿では,情報視覚化によって複数のタイムラインの関連性の理解を支援するシステムVISTORYを提案する.提案システムでは,複数のタイムラインと相互関連性の視覚的なオーバービューをユーザに提示することにより複雑な関連性の理解を助ける.本稿では,提案したシステムを被験者に利用してもらい,その様子の観察と実験後のアンケートに基づき,提案システムの有用性の評価を行った.
著者
中野 敦 河村 仁 三浦 枝里子 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.145-153, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2 6

近年,能動的に行動するキャラクタの生き生きとした反応を見て楽しむインタラクティブな創発型コンテンツが見られるようになってきた.これらのコンテンツでは,ユーザが仮想世界に干渉すると,それをキャラクタが知覚して反応する様子が見られる.しかし,その反応したキャラクタがさらに他のキャラクタの行動に影響を与えて新たな話に展開するといった現実世界では容易に起こりえる連鎖的なエピソードの発生はあまり見られない.このような連鎖的なエピソードを能動的に行動するキャラクタによって生じさせることができれば,より創発性の高いコンテンツとなることに加えて,ユーザは仮想世界のキャラクタがより生き生きと行動していると思えるようになり,コンテンツへの没入感を高められるはずである.そこで我々は,ストーリーの断片であるエピソードを階層的なAND/ORの達成条件を持つツリー構造のイベントの流れ(エピソードツリー)として表現し,連鎖的なエピソードを生じる創発的なストーリーを生成するための手法を提案する.提案手法では,キャラクタがユーザからの干渉を知覚しながら複数のエピソードツリーから現在の状況に適していて,かつ優先度の高いイベントを動的に選択し,実行していくことによって,多数のエピソードが連結されたストーリーやエピソード内にその他のエピソードが途中挿入されたストーリー,そして複数のキャラクタが同時に異なるエピソードツリーを実行していくことによって並列的にエピソードが進行するストーリーを生成する.実験として,ユーザがオブジェクトを仮想世界へ追加したり,仮想世界のオブジェクトに触れたりすることで,多様なエピソードの連鎖を鑑賞できるゲームコンテンツ(Spilant World)を制作した.このコンテンツを通して手法の有効性について評価を行った.
著者
MATTEOBERNACCHIA 星野准一
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.609-610, 2014-03-11

シミュレーションロールプレイングゲーム(SRPG)を始めとする多くのデジタルゲームでは、ストーリーやグラフィック、ボイスなどを用いて、登場するキャラクターの個性を表現している。ところが、SRPGの戦闘フェーズにおいては、AIが操作するキャラクターは画一的な行動をとっており個性を感じることが難しい。SRPGは将棋やチェスと異なり、各キャラクターに人間としての個性が付与されているため、戦闘AIは戦術だけを考慮するのではなく、各キャラクターの行動に他の要素(ストーリー、グラフィック、ボイスなど)と一貫した個性を伴って行動することが、プレイ体験にとって重要であると考えられる。そこで本稿では、SRPGの戦闘フェーズにおいて、キャラクターの個性を行動に反映するためのAIモデルを提案する。