著者
渋谷 節子 斉藤 巌 菊池 浩光 高岡 和夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.55-65, 2006-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
19

われわれは1991年以降, 末期癌告知や余命告知後に失意や無力感に陥った癌患者に対して, 心理的介入として受容的なカウンセリングとサイモントンのイメージ療法にバイオフィードバック法を併用した.これまでイメージ療法を行った36名のアンケート調査では, イメージ療法の効果について, 「心身とも楽になった」23名(63.9%), 「症状が軽減した」17名(47.2%), 「生きる希望をもった」16名(44.4%), また治療意欲では, 「期待ができるので続けたい」18名(50%), 「積極的に治療したい」18名(50%)などの結果が得られた.心理テストでは17名のうち13名(76.5%)に抑うつが認められたが, イメージ療法後ではこのうち11名(84.6%)に抑うつの改善が得られた.これらの結果から, イメージ療法は末期癌患者に対する心理的介入として有効であることが示唆された.また, これらの療法が著効し, 癌性骨髄症から回復した末期癌患者についても併せて報告する.