著者
鈴木 拓 早川 克彦 岩本 卓士 大木 聡 鳥居 暁子 雨宮 剛 佐藤 和毅
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.237-239, 2018 (Released:2019-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

目的:上腕骨外側上顆炎に対するPRP療法の臨床成績について報告する. 対象と方法:上腕骨外側上顆炎に対してPRP療法を施行した7例9肘を対象とした.従来の保存加療が無効であった患者に対して行い,発症からPRP療法を施行までの期間は平均25か月であった.PRP施行前,施行後1,3,6か月時のVAS,握力健側比,患者評価のPRTEEに関して調査した. 結果:PRP療法施行前,施行後1,3,6か月における手関節背屈抵抗時の平均VAS(53→23→14→4),外側上顆の圧痛の平均VAS(79→38→26→14),平均握力健側比(80→89→104→97),平均PRTEEスコア(53→34→23→20)は治療前と比べて有意に改善した. 考察:PRP療法は,他の保存療法に抵抗性の症例に対しても疼痛を有意に軽減させ,有用な治療と思われる.
著者
伊藤 貴明 新井 利幸 植村 則久 塚原 哲夫 山下 浩正 雨宮 剛
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.931-936, 2022 (Released:2022-11-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)はCOVID-19ワクチン接種の稀な合併症として報告されている.症例は50歳,女性.2回のCOVID-19ワクチン接種の2週間後に過多月経で近医を受診し,血小板減少を指摘され当院を紹介.血小板数1,000/μL,網状赤血球数は増加し,赤血球数は減少.骨髄検査では巨核球は軽度増加のみが指摘された.Helicobacter pylori感染を認めなかった.造影CTでは脾腫や側副血行路を認めなかった.ITPと診断しステロイド治療(デキサメサゾン大量療法40mg/dayおよびプレドニゾロン25mg/day)を実施したが,血小板数は2,000/μL,5,000/μLで効果が認められず,脾臓摘出の方針とした.術前にガンマグロブリン(20g/day 5日間)とトロンボポエチンが投与されたが血小板数が23,000/μLであったため,血小板輸血後に腹腔鏡下脾臓摘出術を実施し,術中・術後合併症なく経過した.術後2カ月で血小板数は75,000/μLで安定した.COVID-19ワクチン接種後のITPに対し,脾臓摘出術が有効であった1例を経験したので報告する.
著者
上原 圭介 長谷川 洋 小木曽 清二 塩見 正哉 籾山 正人 伊神 剛 太平 周作 高橋 祐 雨宮 剛 宮崎 晋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1643-1647, 2000-09-01
被引用文献数
4

症例は48歳の女性.23年前より慢性腎不全のため長期血液透析を施行中であった.平成11年1月19日の透析中に左下腹痛, 左下腹部腫瘤が出現したため当院を受診, 腹部CT・MRI検査より非外傷性腹直筋血腫と診断した.外来にて経過観察中, 5月7日に吐血, 前胸部痛を主訴に当院を受診した.緊急上部消化管内視鏡検査にて上部食道から胃噴門部にかけて青紫色の血腫を認めたため, 食道壁内血腫と診断し, 保存的治療を開始した.第5病日には自覚症状は消失した.第13病日の食道内視鏡検査では血腫は完全に消失し, 一部粘膜脱落による腫瘍形成を認めたが, 第21病日には潰瘍瘢痕を残すのみとなり, 他に異常所見を認めなかった.食道壁内血腫はまれな疾患で、保存的治療で治癒する予後良好な疾患である.また, 腹直筋血腫経過中に合併した症例の報告はなく, 若干の文献的考察を加え報告する.