著者
新井 博文 高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

活性酸素によって生理的に生成すると考えられる過酸化脂質がアレルギー反応に及ぼす影響について培養細胞を用いて試験管内で調べた。アレルギー反応に関与する白血球の一種であるマスト細胞を培養し、人工的に刺激したときに培養上清中に放出されるヒスタミンなどの化学伝達物質を定量したところ、過酸化脂質分解物である4-ヒドロキシ-2-ノネナールはマスト細胞からのヒスタミン放出を促進した。生体内脂質過酸化がアレルギーを悪化させる可能性が示唆された。
著者
細見 亮太 新井 博文 安永 亜花里 矢萩 大嗣 安武 俊一 吉田 宗弘 福永 健治
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.76-82, 2021-04-30 (Released:2021-08-01)
参考文献数
22

北海道北見市常呂町で生産されているニンニク‘北海道在来’(ピンクニンニク)の生理機能の一つとしてアテローム性動脈硬化症抑制効果を動物実験により評価した。4週齢雄性アポリポプロテインE(ApoE)欠損マウスに高脂肪餌料(HF),HF餌料にさらにコレステロールを添加した高コレステロール餌料(HC),HC餌料にピンクニンニク粉末を5%(w/w)添加したニンニク餌料(HC-G)をそれぞれ自由摂取で与えた。飼育13週間後,常法により解剖を行い,血清および心臓を採取した。また解剖前に各マウスの1日分の糞を採取した。血清および糞の脂質濃度の分析,加えて心臓大動脈弁の脂肪沈着をOil Red O染色で評価した。HC-G群はHC群と比べ,血清総コレステロール濃度の低下,大動脈弁の脂肪沈着の抑制,糞への中性ステロール排泄量の増加が見られた。HC-G群では盲腸重量および1日に排泄される糞重量が増加したことから,ピンクニンニク粉末に含まれる食物繊維の作用により糞への中性ステロール排泄量が増加したと考えられる。これらの結果から,ピンクニンニクの摂取は,血清脂質の改善によって,アテローム性動脈硬化症の進行を抑制することが示唆された。