著者
新井 博文 高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

活性酸素によって生理的に生成すると考えられる過酸化脂質がアレルギー反応に及ぼす影響について培養細胞を用いて試験管内で調べた。アレルギー反応に関与する白血球の一種であるマスト細胞を培養し、人工的に刺激したときに培養上清中に放出されるヒスタミンなどの化学伝達物質を定量したところ、過酸化脂質分解物である4-ヒドロキシ-2-ノネナールはマスト細胞からのヒスタミン放出を促進した。生体内脂質過酸化がアレルギーを悪化させる可能性が示唆された。
著者
上田 京子 塚谷 忠之 村山 加奈子 倉田 有希江 竹田 絵理 大塚 崇文 高井 美佳 宮崎 義之 立花 宏文 山田 耕路
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.242-249, 2015-05-15 (Released:2015-06-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

本研究ではブロッコリー全草を6つの部位に分け,各部位の栄養成分および細胞機能への影響を明らかにすることを目的として,ビタミンC,S-メチルメチオニン,総ポリフェノール,乳がん細胞増殖抑制および免疫調節機能について,ブロッコリーの各部位の比較検討を行った.花蕾 : ビタミンC並びにS-メチルメチオニンを多く含有し,ヒスタミン放出抑制能が高かった.茎,主軸下部 : 可食部以外である茎,主軸下部は,ビタミンC,S-メチルメチオニン,ポリフェノールはほぼ同等量含まれていた.また,花蕾と比較すると抗体産生増強能を有していた.葉軸 : 茎,主軸下部と同等のビタミンC,S-メチルメチオニン,ポリフェノールを含んでいた.ヒスタミン放出抑制,IgA産生の増強,IgE産生低下の傾向を示した.葉 : ビタミンCは花蕾の18%,S-メチルメチオニンは花蕾の29%であったが,ポリフェノール量は花蕾の3.1倍含んでおり,ヒスタミン放出抑制,ロイコトリエン放出抑制,IgE産生抑制の傾向が見られ,花蕾と比較すると抗アレルギー素材としての特徴を有していた.根 : ビタミンCは花蕾の12%,S-メチルメチオニンは花蕾の25%,ポリフェノールは花蕾の83%含まれており,特にMCF-7のがん細胞増殖抑制能を有していた.以上のように,ブロッコリーの部位別に栄養,機能が分布していることを明らかにした.その他の部位は可食部である花蕾と栄養·機能の特徴が異なっており,これまでに利用されてきた部位には存在しない生理活性物質が未利用部位に存在する可能性がある.
著者
宮﨑 義之 倉田 有希江 古賀 裕章 山口 智 立花 宏文 山田 耕路
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.63-69, 2016-02-15 (Released:2016-03-29)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

本研究では,食酢の体調調節機能の解明を目的として,各種果実酢のヒスタミン放出抑制活性について検討した.まず,山ブドウ,ハスカップ,ブルーベリー,ザクロを原料とする4種類の果実酢がラット好塩基球様白血病細胞株RBL-2H3のヒスタミン放出に及ぼす影響を検討したところ,各果実酢がヒスタミン放出抑制活性を有することが明らかとなり,特にザクロ酢で極めて強い活性が認められた.そこで,Diaion HP20を用いてザクロ酢中の生理活性成分のクロマト分離を試みた結果,50% EtOH溶出画分に強いヒスタミン放出抑制活性が認められた.さらに,本50% EtOH溶出画分を液-液抽出によって分画し,ザクロ酢には水溶性の異なる複数のヒスタミン放出抑制成分が存在することを明らかにした.また,各画分のヒスタミン放出抑制活性がPVPPで処理することによってほぼ完全に消失したことから,ポリフェノール化合物が主要な活性成分であることが示唆された.これらの結果から,ザクロ酢にはヒスタミン放出抑制に寄与する複数のポリフェノール成分が存在し,他の食酢と比較して強い抗アレルギー作用を発揮する可能性があることが示唆された.
著者
高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性を調べた。その結果、テリマグランジンI、テリマグランジンII、カスアリクチンおよびペンタガロイルグルコースは濃度依存的にIgE産生を抑制した。これに対し、ストリクチニンのIgE産生抑制活性は非常に低かった。これらの結果は、加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性にはガロイル基が4つ相当必要であること、加水分解性タンニン類がIgE産生を抑制することでアレルギー症状を緩和する可能性を示唆している。
著者
上田 京子 山田 耕路 塚谷 忠之 村山 加奈子 倉田 有希江 竹田 絵理 大塚 崇文 高井 美佳 宮崎 義之 立花 宏文
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.242-249, 2015
被引用文献数
2

本研究ではブロッコリー全草を6つの部位に分け,各部位の栄養成分および細胞機能への影響を明らかにすることを目的として,ビタミンC,<i>S</i>-メチルメチオニン,総ポリフェノール,乳がん細胞増殖抑制および免疫調節機能について,ブロッコリーの各部位の比較検討を行った.<BR>花蕾 : ビタミンC並びに<i>S</i>-メチルメチオニンを多く含有し,ヒスタミン放出抑制能が高かった.<BR>茎,主軸下部 : 可食部以外である茎,主軸下部は,ビタミンC,<i>S</i>-メチルメチオニン,ポリフェノールはほぼ同等量含まれていた.また,花蕾と比較すると抗体産生増強能を有していた.<BR>葉軸 : 茎,主軸下部と同等のビタミンC,<i>S</i>-メチルメチオニン,ポリフェノールを含んでいた.ヒスタミン放出抑制,IgA産生の増強,IgE産生低下の傾向を示した.<BR>葉 : ビタミンCは花蕾の18%,<i>S</i>-メチルメチオニンは花蕾の29%であったが,ポリフェノール量は花蕾の3.1倍含んでおり,ヒスタミン放出抑制,ロイコトリエン放出抑制,IgE産生抑制の傾向が見られ,花蕾と比較すると抗アレルギー素材としての特徴を有していた.<BR>根 : ビタミンCは花蕾の12%,<i>S</i>-メチルメチオニンは花蕾の25%,ポリフェノールは花蕾の83%含まれており,特にMCF-7のがん細胞増殖抑制能を有していた.<BR>以上のように,ブロッコリーの部位別に栄養,機能が分布していることを明らかにした.その他の部位は可食部である花蕾と栄養·機能の特徴が異なっており,これまでに利用されてきた部位には存在しない生理活性物質が未利用部位に存在する可能性がある.