- 著者
-
瀬谷 司
新開 大史
松本 美佐子
- 出版者
- 日本ウイルス学会
- 雑誌
- ウイルス (ISSN:00426857)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.1, pp.1-8, 2004 (Released:2005-06-17)
- 参考文献数
- 39
- 被引用文献数
-
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TLRファミリーはロイシンリッチリピート (LRR) の細胞外領域と細胞内のTIR (Toll/IL-1 R homology) ドメインからなる. TLRはリガンドを認識すると細胞内のTIRドメインへアダプター分子MyD88などをリクルートし, NF-κBとMAP kinaseを活性化し, 最終的にサイトカインやケモカインなどを産生誘導する. 一方, 骨髄性樹状細胞 (mDC) ではTLRによるIFN-β産生やIFN誘導遺伝子の発現, 樹状細胞の成熟化などが誘起されるが, これらはアダプター分子, MyD88非依存性に起こる. TLRのIFN-β産生系としてはdsRNA刺激によるTLR3依存性経路, LPS刺激によるTLR4を介したIFN-β産生経路などがある. リンパ球様樹状細胞 (pDC) ではTLR7/TLR9刺激でIFN-αがMyD88依存性に誘導される. 我々は, 本稿でTLR3, TLR4を介したIFN-β産生に関与するアダプター分子の構造と機能を総説し, 新規のIFN-β誘導経路に言及する. 併せてウイルス成分認識性のTLRがtype I IFNを誘導するシグナル経路, これらの経路とウイルス感染が誘起する抗ウイルスの細胞応答の連携を概説する.