著者
森口 一志 矢野 隆 新開 志帆
出版者
愛媛県立果樹試験場
雑誌
愛媛県立果樹試験場研究報告 = Bulletin of Ehime Fruit Tree Experiment Station (ISSN:03892867)
巻号頁・発行日
no.15, pp.55-65, 2002-03

キウイフルーツの主幹部への環状はく皮処理について、処理時期、連年処理による果実肥大、果実品質、新梢伸長、翌年の発芽率・着花量等について調査した。なお、処理は幅1cmの環状はく皮を7日毎に4回おこなった。 1)果実の伸長量は、7月中下旬を中心に処理した区で優れ、連年処理によりさらに顕著になった。 2)果実の重量別階級構成比でのL果以上の割合は環状はく皮処理区が対照区に比べ高く、早いほど大果であった。また、連年処理により肥大効果は顕著に現れた。 3)果実品質のうちBrixは収穫果、追熟果ともはく皮処理樹で高く、処理時期が遅いほど高い傾向が見られた。 4)単年処理・連年処理とも処理翌年の発芽率、母枝当りの花数、結果枝当りの花数には差は認められず、着花数では1m2あたり100花以上確保できた。処理翌年の新梢の初期伸長は処理区で劣った。 5)根のデンプン含量は、連年処理樹の8月、9月で無処理に比べ低くなったが、その後休眠期までにある程度まで回復した。 6)環状はく皮による果実の追熟性・貯蔵性は対照区と差は認められなかった。
著者
森口 一志 矢野 隆 新開 志帆
出版者
愛媛県立果樹試験場
巻号頁・発行日
no.15, pp.55-65, 2002 (Released:2011-03-05)

キウイフルーツの主幹部への環状はく皮処理について、処理時期、連年処理による果実肥大、果実品質、新梢伸長、翌年の発芽率・着花量等について調査した。なお、処理は幅1cmの環状はく皮を7日毎に4回おこなった。 1)果実の伸長量は、7月中下旬を中心に処理した区で優れ、連年処理によりさらに顕著になった。 2)果実の重量別階級構成比でのL果以上の割合は環状はく皮処理区が対照区に比べ高く、早いほど大果であった。また、連年処理により肥大効果は顕著に現れた。 3)果実品質のうちBrixは収穫果、追熟果ともはく皮処理樹で高く、処理時期が遅いほど高い傾向が見られた。 4)単年処理・連年処理とも処理翌年の発芽率、母枝当りの花数、結果枝当りの花数には差は認められず、着花数では1m2あたり100花以上確保できた。処理翌年の新梢の初期伸長は処理区で劣った。 5)根のデンプン含量は、連年処理樹の8月、9月で無処理に比べ低くなったが、その後休眠期までにある程度まで回復した。 6)環状はく皮による果実の追熟性・貯蔵性は対照区と差は認められなかった。
著者
矢野 隆 井上 久雄 清水 康雄 新開 志帆 越智 政勝
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-58, 2002-04-01
被引用文献数
3 1

ユスラウメ台木栽培に適した品種を探索するため, モモ15品種を試作し, 収量, 乾物分配および枝幹横断面の性状について調査した.年平均収量は'千曲白鳳', 'あかつき', 'よしひめ', '川中島白桃'で多く'武井白鳳', '八幡白鳳', 'やまなし白鳳', '瀬戸内白桃'で少なかった.果実生産性の高い品種は他の部位の乾物重量も多かったのに対して, 生産性の低かった'八幡白鳳', 'やまなし白鳳', '竜鳳'は総乾物重も低く, 純生産量が少ないと考えられた.一方, '武井白鳳', '瀬戸内白桃'は果実生産量は少なかったが穂木部の幹への分配は多く, 総乾物重において高生産性品種との有意な差はなかった.穂木部における幹の性状と乾物生産についてみると, 皮部の面積割合の高い品種はおおむね穂木部乾物重が少なかった.衰弱しやすいとされる'川中島白桃'はF/L比が極めて高く, 果実への分配が特異的に多くなった.この物質分配の不均衡は, 樹勢衰弱を誘発させる一要因と考えられた.
著者
矢野 隆 新開 志帆 井上 久雄 森口 一志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.711-717, 2000-11-15
被引用文献数
4 3

ユスラウメ台木を用いたモモ栽培においては, '川中島白桃'では衰弱症状が発生しやすいが, 'あかつき'は衰弱症状の発生が少ない.そこでユスラウメ台木樹における衰弱症状発生に関わる要因を炭水化物栄養の面から明らかにするため, 普通台木とユスラウメ台木に接いだ両品種について, 細根, 1年生枝, 新梢, 葉のデンプンと可溶性糖類の季節的消長を比較した.休眠期のデンプン, 可溶性糖類の消長は, 同じ台木では, 品種による明らかな差はみられなかった.ただし, 両品種ともにユスラウメ台木樹では開花前の細根のデンプン含量が普通台木樹の半分程度であった.果実生育期のユスラウメ台木の'川中島白桃'における細根, 新梢のデンプン含量は果実生育期間を通じて普通台木のものより低かった.これに対して, 'あかつき'の細根, 新梢のデンプン含量は両台木間で顕著な差はみられなかった.これと同様な傾向は細根の総糖およびソルビトール含量についてもみられた.なお, 新梢の糖含量や1年生枝, 葉のデンプン, 糖含量等については, 両品種間で樹勢衰弱につながる顕著な差は認められなかった.これらの結果から, ユスラウメ台木の'川中島白桃'で衰弱症状が発生しやすい一つの原因は, 果実生育期における細根のデンプンおよびソルビトールや, 新梢におけるデンプンの欠乏によるものと考えられる.