著者
早矢仕 晃章 岩永 宇央 岩佐 太路 大澤 幸生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.534-545, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

近年,ビッグデータや人工知能の世界的な潮流から,分野を横断した多様な領域のデータを連携し,既存のビジネスの付加価値向上や新規事業の創出に対する期待が高まっている.しかし,異分野データ連携によるデータ駆動型イノベーションを実現するためには,世の中に存在するデータの構造とそれらの関係を正しく理解する必要がある.つまり,個々のデータの詳細な分析ではなく,データによって構成されるデータの母集団がどのような構造的特徴を有しているのかを調べることが重要である.データジャケット(DJ)は人間のデータ可読性を向上させ,データ理解を促進させることを目的としたデータ概要情報記述手法である.本論文では,メタデータであるDJを分析対象とすることによって,母集団であるデータと変数の特徴及び構造を理解する.データ市場における「材(リソース)」であるデータについて,変数や共有条件の観点から分析した結果を議論する.分析の結果,データのネットワークは局所的に密であり,大局的には疎な構造となることが確認された.さらに,共有可能データと秘匿データの違いが変数の種類に現れ,それぞれネットワークにおいて異なる特徴を有することが分かった.
著者
上島 邦彦 登坂 泰斗 谷口 耕平 早矢仕 晃章 大澤 幸生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1F5OS401, 2020 (Released:2020-06-19)

統計学や大規模データ処理の普及により、多くの企業がデジタルマーケティングの方法を利用しやすくなった。もっとも、それらの方法は、単発のキャンペーンに関する短期的な投資対効果の把握に主眼が置かれがちで、中長期的なプロモーション効果を複合的に理解するのは難しい。 そこで本研究では、偶発的な消費者トレンド及び、企業による複数のキャンペーンがもたらす影響の評価を試みた。複数の商品ブランドを対象に、複数の時系列データを組み合わせたデータセットを作成し、データ観察と時系列解析を行った。 その結果、次の3点が示唆された。まず、偶発的な消費者トレンドの発生過程は共通の枠組みで調査できる。ただし、その持続期間や影響範囲は、その後のコミュニケーションによって異なる。また、単一のキャンペーンが売上に直接の影響を与えない場合もある。複数のメディアを横断した、持続的なコミュニケーションを行うほうがよい。よって、単一のキャンペーンを過度に詳しく分析するのではなく、重要な業務指標を体系的に整理し、その連動関係を評価すべきである。
著者
早矢仕 晃章 大澤 幸生
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

異なる分野のデータと知識を結合することで問題を発見し、問題解決を行うことへの期待が高まっている。しかし、その実現には多くの障壁が存在する。本稿では、データ3.0時代におけるデータの在り方についてデータランドスケープを用いて所見を述べる。現在はデータ2.0からデータ3.0への過渡期である。これからのデータ駆動型社会の実現には、データ・AI技術・人間の相互作用による異分野のデータと知識の連携によるイノベーションの場である「データ市場」の整備が重要と言える。
著者
早矢仕 晃章 大澤 幸生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.A-G15_1-9, 2016-09-15 (Released:2016-08-15)
参考文献数
16
被引用文献数
6

The potential desire of companies for creating values by combining data from different domains has been increased. In order to lead data-driven innovations, a market of data is expected to enhance this combination and data exchange through the communication among stakeholders. Innovators Marketplace on Data Jackets (IMDJ) is a gamified workshop for discovering the value of data by discussing the combination of Data Jackets, which supports creativity toward innovations and activates a market of data. A Data Jacket is meta-data, i.e., a summary of a dataset. Even if the data is not open, a Data Jacket enables participants to consider the latent value of datasets through creative communication. In this study, we discuss a system for structuring and reusing knowledge of data utilization, which are created in the workshops of IMDJ. By modeling and structuring knowledge not only with datasets, but also with solutions or requirements, it is expected to be possible to retrieve important information about solving problems. By implementing structured knowledge of data utilization using RDF (Resource Description Framework) and designing the interface for extracting accurate information for users, we propose the retrieval system named Data Jacket Store, and evaluate the performance.