著者
佐藤 健斗 野口 普子 三富 菜々 嶋田 岳 昆 恵介
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.118-123, 2019 (Released:2019-10-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2

臨床の場面で、脳血管障害により身体に後遺症を負った装具使用者と、義肢装具士やその他の治療に関わる様々な職種の方々との間で装具を使用する上で重視する点の違いを感じる場面が少なくない。今回は、それぞれが短下肢装具選好に際して重視する要素を確認し、違いを明らかにすることを目的とし、コンジョイント分析を用いた調査研究を行った。結果として、義肢装具士群、理学療法士群が短下肢装具を使用する目的を「歩行・立位の安定」とみて、装具選好の際に重視している一方、装具使用者群とは有意にその影響度に差異があり、装具使用者群においては装具選好にあたり必ずしも重視される要素ではない可能性が示唆された。
著者
昆 恵介 福士 幹太 辻 智悠 佐藤 健斗
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-114, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
19

本研究では国内でこれまでに流通してきた膝装具の代表的ものとして、OAファンタジー、CBブレース、アンローダーワンを取り上げ、装具の矯正力について比較し、その特徴と差異を明確にすることを目的とした。方法は膝内反変形を再現した模擬生体(ファントムモデル)に各種膝装具を装着し、装具が発生している矯正力を動作解析によって計測を行った。結果として、膝装具はいずれも変形性膝関節症患者の変形を矯正するに必要な3点支持の矯正力を発揮していないことを明らかにした。
著者
春名 弘一 昆 恵介 稲垣 潤 佐藤 洋一郎
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-23, 2019-01-01 (Released:2020-01-15)
参考文献数
15

動作の改善を目的としたリハビリテーションにおいては,運動の客観的な記録は有用である.しかし,臨床現場で三次元動作解析を実施するには経済的,空間的,時間的障壁が存在し現状では十分な臨床での普及には至っていない.本稿では,これらの障壁を解消する手法として近年注目されているマーカーレスモーションキャプチャによる三次元動作解析について活用事例もふまえて紹介する.マーカーレスモーションキャプチャによる動作解析は,従来から活用されている光学式カメラを利用したモーションキャプチャ手法やモーションセンサ手法に対して,身体に体表マーカーやモーションセンサなどの貼付が不要で,煩雑な計測準備が不要である.また,骨格認識が自動化されているためソフトウェアが扱いやすく,臨床現場での有益性が高い手法であるといえる.一方で,従来法と比較して計測精度は低いのが欠点であるが,センサや骨格認識技術の改良などにより今後はさらに計測精度が向上すると考えられる.
著者
昆 恵介 春名 弘一 中井 要介 佐藤 健斗 稲垣 潤 清水 新悟 関川 伸哉
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.318-324, 2022-10-01 (Released:2023-10-15)
参考文献数
6

多くの脳卒中片麻痺者ではフォアフットロッカーが消失する.本研究では単脚支持期間中に麻痺側の踵を挙上させフォアフットロッカーを機能させるための装具(HUS-AFO)の開発と評価を目的とした.HUS-AFOは4節リンク構造を有し,MP関節より近位に位置する仮想的なロッカー軸(HUS軸)と装具側方に位置する圧縮バネによって踵挙上をアシストするものである.背屈制動機能を有する短下肢装具の靴底底面にHUSデバイスを内蔵することで,歩行中の足関節底屈モーメントを増加させ,COPの前進をアシストするとともに,MP関節より近位に位置するHUS軸を床反力作用点が超えることで,単脚支持期間中に踵を挙上させることを明らかにした.
著者
関川 伸哉 昆 恵介
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.202-207, 2020-07-01 (Released:2021-07-15)
参考文献数
18

本研究では,車椅子座位時の不良姿勢が身体に及ぼす影響について主に自律神経活動の指標から分析を行った.10名(男女各5名)の健常者を対象に異なる座位姿勢での計測を行った.評価パラメータには,心拍,心拍変動,アミラーゼ活性値,フリッカー値,NRS, 座面接触面積,座圧を用いた.座位姿勢の違いによる座面接触面積と左右座圧の最大値およびNRS結果から,臨床上考える車椅子座位時の不良姿勢は再現されていた.また,その際の臀部へのリスクおよび痛みに対する精神的負担を定量的に明らかにすることができた.しかし,自律神経活動への影響は,不良姿勢の際に交感神経活動が高まる傾向がみられたが,その他のパラメータからは,明らかな違いはみられなかった.
著者
佐藤 健斗 三富 菜々 昆 恵介 春名 弘一
出版者
The Japanese Academy of Prosthetists and Orthotists
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.32-37, 2022 (Released:2022-06-01)
参考文献数
22

現在までに義肢装具領域を対象としたユーザの満足度は評価者個々の評価項目によって評価されているケースが多く、信頼性と妥当性が確認されている評価指標の利用も普及していない。本研究では、他の領域で使用されている簡便な満足度評価指標であるSystem Usability Scale(SUS)が義肢装具領域において使用可能であるか、信頼性の検討を行った。50名の義肢装具ユーザを対象に使用したSUSのスコアから、内的整合性の観点で信頼性を判断することのできるα係数およびω係数を算出した。その結果、義肢装具ユーザにおけるα係数は0.80、ω係数は0.78となり、義肢装具領域におけるSUSの十分な信頼性を確認することができた。
著者
昆 恵介 福士 幹太 辻 智悠 佐藤 健斗
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-114, 2021

<p>本研究では国内でこれまでに流通してきた膝装具の代表的ものとして、OAファンタジー、CBブレース、アンローダーワンを取り上げ、装具の矯正力について比較し、その特徴と差異を明確にすることを目的とした。方法は膝内反変形を再現した模擬生体(ファントムモデル)に各種膝装具を装着し、装具が発生している矯正力を動作解析によって計測を行った。結果として、膝装具はいずれも変形性膝関節症患者の変形を矯正するに必要な3点支持の矯正力を発揮していないことを明らかにした。</p>