著者
佐藤 健斗 野口 普子 三富 菜々 嶋田 岳 昆 恵介
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.118-123, 2019 (Released:2019-10-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2

臨床の場面で、脳血管障害により身体に後遺症を負った装具使用者と、義肢装具士やその他の治療に関わる様々な職種の方々との間で装具を使用する上で重視する点の違いを感じる場面が少なくない。今回は、それぞれが短下肢装具選好に際して重視する要素を確認し、違いを明らかにすることを目的とし、コンジョイント分析を用いた調査研究を行った。結果として、義肢装具士群、理学療法士群が短下肢装具を使用する目的を「歩行・立位の安定」とみて、装具選好の際に重視している一方、装具使用者群とは有意にその影響度に差異があり、装具使用者群においては装具選好にあたり必ずしも重視される要素ではない可能性が示唆された。
著者
野口 普子 西 大輔 松岡 豊
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.856-860, 2014-09-01 (Released:2017-08-01)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は,恐怖記憶の過剰な固定化と馴化・消去学習が進まない病態として考えられる精神疾患である.動物実験から得られた海馬における恐怖記憶のメカニズムに関する知見から,海馬の神経新生を適切に制御することができれば,恐怖記憶が保存される脳領域をコントロールできる可能性が報告された(Kitamuraら,2009).また,ラットにω3系脂肪酸を投与すると,海馬における神経新生を促進することが報告されている.そこでMatsuokaは「ω3系脂肪酸によって海馬の神経新生を活性化させると,海馬から早期に恐怖記憶が消失し,結果的にPTSD症状が最小化する」という仮説を提案した.われわれの,我が国におけるω3系脂肪酸サプリメントを補充する2つの臨床試験は,PTSDの発症予防に対する栄養や食による介入の可能性を示唆するものである.