著者
菅原 知宏 山本 周平 曽我部 敦
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.195-202, 2020 (Released:2020-05-09)
参考文献数
16
被引用文献数
1

酵母Pseudozyma tsukubaensisが生産するマンノシルエリスリトールリピッド-B(MEL-B)は,糖脂質型バイオサーファクタントとして研究が進められてきた。一方,優れたラメラ形成能と皮膚保湿作用といった機能性に加え,特徴的な使用感を付与する点が高く評価され,化粧品への採用が広がってきている。それに伴って,製剤化に関する研究も進展しており,MEL-Bの特性を活かした処方例の報告が増えてきている。本稿では,MEL-Bの皮膚に対する効果とメカニズムに関する基礎研究から,化粧品処方や使用感評価といった応用研究まで,化粧品用途を目指した研究事例を紹介する。
著者
曽我部 敦 安田 正明 野田 章
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.207-216, 2002-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
38
被引用文献数
9 10

頭髪上での毛髪のハリ・コシ感は, 毛髪の曲げ硬さやねじり硬さ, 毛髪間の摩擦による影響など複数の物理特性の組合せによるものであるが, 最も基本的な因子の一つには, 毛髪一本の硬さがあげられる。そこで毛髪の硬さについて, 曲げ応力測定と毛髪径測定を行い, 材料力学的見地から, ヤング率による評価を試みた。毛髪の短径および長径を正確に測定するために, レーザー光を利用した毛髪径測定装置を開発した。また, 毛髪をキューティクル, コルテックスより構成される, 異なるヤング率を持った二層構造と仮定し, 毛髪全体のヤング率と物理的にキューティクル層を剥離させたコルテックス部分のみからなる毛髪のヤング率測定を行い, 材料力学的な解析によりキューティクルのヤング率を算出した。その結果, キューティクルはコルテックスの4倍程度硬いことがわかった。また, 毛髪の短径, 長径およびキューティクル層の厚さの測定結果と併せて, 曲げ応力に対するキューティクルとコルテックスの寄与率を算出したところ, キューティクルの曲げ応力への寄与率は, 全体の約6割に達し, 曲げ応力の発生はキューティクルが重要な役割を担っていることを見出した。