- 著者
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芝池 由規
川尻 智士
有島 英孝
菊田 健一郎
- 出版者
- 日本神経学会
- 雑誌
- 臨床神経学 (ISSN:0009918X)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.5, pp.391-394, 2022 (Released:2022-05-31)
- 参考文献数
- 9
症例は45歳男性.右顔面と右上下肢のしびれを主訴に受診,画像検査にて左橋被蓋上部ならびに左上小脳脚に出血を認めた.第2病日,舌の左側に限局した味覚低下を自覚.電気味覚検査にて舌左側の鼓索神経ならびに舌咽神経領域に味覚障害を認め,中枢性味覚障害と診断した.同症候は上小脳脚付近に存在するとされているpontine taste area(PTA)に至るまでの同側の上行線維が障害されたためと考えられる.本症例はPTA近傍の上小脳脚の出血で同側味覚障害を呈しており,病巣の上小脳脚近傍には対側の交差線維は存在しないことが推察され,PTA近傍の橋上部被蓋で交叉する可能性が示唆される.