著者
芝池 由規 川尻 智士 有島 英孝 菊田 健一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.391-394, 2022 (Released:2022-05-31)
参考文献数
9

症例は45歳男性.右顔面と右上下肢のしびれを主訴に受診,画像検査にて左橋被蓋上部ならびに左上小脳脚に出血を認めた.第2病日,舌の左側に限局した味覚低下を自覚.電気味覚検査にて舌左側の鼓索神経ならびに舌咽神経領域に味覚障害を認め,中枢性味覚障害と診断した.同症候は上小脳脚付近に存在するとされているpontine taste area(PTA)に至るまでの同側の上行線維が障害されたためと考えられる.本症例はPTA近傍の上小脳脚の出血で同側味覚障害を呈しており,病巣の上小脳脚近傍には対側の交差線維は存在しないことが推察され,PTA近傍の橋上部被蓋で交叉する可能性が示唆される.
著者
久保田 紀彦 中川 敬夫 有島 英孝 井戸 一憲
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1. VEGF-Aに対するsiRNAをデザインし、ヒト悪性神経膠腫細胞株U87およびU251に対するVGEF-Aの発現抑制効果をRT-PCRおよびELISAにて検討し、2種のVEGF-Aの発現抑制効果の高いsiRNA配列を見出した。2.先のsiRNAをU87およびU251細胞にトランスフェクションし、その培養上清によるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の血管形成能をfibrin gel assay法にて検討し、血管形成能が阻害されることを確認した。3.U87およびU251細胞に対するsiRNAの導入効率を通常のリポフェクタミン法とMagnetofection法にて比較検討した。Magnetofection法により、より短時間に培養腫瘍細胞に導入できることを確認した。4.手術にて採取された神経膠腫組織中のVEGA-A発現をRT-PCR、ELISA、免疫組織染色にて検討した。腫瘍の悪性度と、腫瘍組織内血管密度、VEGF-A発現量に正の相関を認めた。5.VEGF-A mRNAの安定化因子であるHuRの発現を、培養悪性神経膠腫細胞および手術組織において、RT-PCRおよび免疫組織染色にて検討した。悪性神経膠原細胞は、高率にHuRを発現していた。6.HuRに対するsiRNAを作成、U87およびU251細胞にトランスフェクションし、腫瘍細胞の増殖能に及ぼす影響をMTS assayにて、VGEF-Aの発現抑制効果をELISAにて検討した。腫瘍細胞の増殖およびVGEF-A発現に対し抑制効果を認めた。7. HuR inhibitorであるleptomycin B(LMB)のU87およびU251細胞に対する効果を検討した。腫瘍細胞の増殖およびVEGF-A発現に対し抑制効果を認めた。8. U87細胞をヌードマウスの皮下に接種し、腫瘍モデルを作成、3週間後に、先のsiRNAを通常のアテロコラーゲン法にて局注し、腫瘍の成長抑制効果を検討したが、抑制効果は得られなかった。さらに、同siRNAを磁性粒子にて標識し、Magnetofection法を併用したが、腫瘍成長に対する抑制効果は得られなかった。