著者
芝池 由規 川尻 智士 有島 英孝 菊田 健一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.391-394, 2022 (Released:2022-05-31)
参考文献数
9

症例は45歳男性.右顔面と右上下肢のしびれを主訴に受診,画像検査にて左橋被蓋上部ならびに左上小脳脚に出血を認めた.第2病日,舌の左側に限局した味覚低下を自覚.電気味覚検査にて舌左側の鼓索神経ならびに舌咽神経領域に味覚障害を認め,中枢性味覚障害と診断した.同症候は上小脳脚付近に存在するとされているpontine taste area(PTA)に至るまでの同側の上行線維が障害されたためと考えられる.本症例はPTA近傍の上小脳脚の出血で同側味覚障害を呈しており,病巣の上小脳脚近傍には対側の交差線維は存在しないことが推察され,PTA近傍の橋上部被蓋で交叉する可能性が示唆される.
著者
宮本 享 山田 圭介 菊田 健一郎 片岡 大治 佐藤 徹 橋本 信夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.412-418, 2003-06-20
被引用文献数
1

脳動脈瘤の治療法はclipping, coil embolization, by pass+parent artery occlusionの3種類に大別されるが,困難な症例ほど単一の治療法のみにならない判断が必要になる.このためには治療チームとして上記3種類の治療技術を高いレベルでもち.柔軟性をもった治療計画を立てることが必要である.手術手技についても基本的な方法を大切にしたうえで.体位やアブローチ,剥離操作などを症例に応じてmodifyすべきであり,単一のやり方に偏りすぎるべきではない.安全に外科治療を行ううえには,術前・術中に次のステップで起こりうるリスクに備えそれを防ぐことと,手術器具について基本的知識をもつことが大切である,