著者
河内山 真理 有本 純
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Studies on education (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.10, pp.131-140, 2017-03-31

本研究は、中学校用の教科書ガイドにおいて、どのような発音表記が用いられているかを明らかにすることを目的としている。1 年次用の教科書ガイドのすべてがカタカナによる表記を用いており、またこの表記法は出版社によって差異があった。同様に中学生を主たる対象にした初級英和辞典でも多くが異なったカナ表記を用いているため、ガイドと辞典の出版社が異なると、学習者が混乱する可能性が非常に高いという問題点が浮かび上がった。辞典も併用するなどの熱心な学習者ほど混乱する可能性があり、主として自宅学習に用いられる教材としては、厄介な問題を抱えていると言える。また、学校での指導者たる教員は、こうした学習参考書の現状を補う発音指導を行うことが必要になるだろう。辞典の出版社が共通認識を持つことも必要と考えられる。カナ表記そのものが教科書では用いられておらず、継続性がないという事実が、学習上の大きな問題であり、その点からも発音記号を指導しておくことが必要と考えられる。
著者
河内山 真理 有本 純
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Research Institute for Education, Kansai University of International Studies (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.15, pp.123-133, 2022-03-31

本研究では,発音を表記する方法について,英和辞典や発音辞典,英英辞典や音声学の専門書,中学校検定教科書等を,母音を中心に,比較・分析し,どのような表記方法を用いているか明らかにした。日本・イギリス・アメリカの表記方法の差とそれによる影響について,英語音声学・英語教育・学習者の立場から考察を行った。また,表記の不統一は指導者にも学習者にも混乱を生み出す。高校までは統一表記を導入し,代表的な英音と米音等の発音については,電子辞書の音声に格納するのが望ましい。学習者に対しては教育の現場での適切な指導や,特に小学校教育における正しい音声と文字・綴りを結びつける指導が望まれる。
著者
有本 純 曽根 直人 森井 昌克
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1429-1433, 2019-10-14

未使用のIPアドレス空間であるダークネットには,マルウェアの感染活動やスキャン活動などの不正な活動に起因しているパケットが観測される.ダークネットのパケットを観測することにより,インターネット上で発生している不正な活動が把握可能になる.本研究の目的はダークネットを観測することにより,スキャンパケットの傾向と分析を行うこととした.初めに,大学機関が所有するIPアドレスによる不正トラフィックの解析を行った.解析結果の中から特徴的な挙動を示したIPアドレスを抜粋し,その挙動の解析を行った.次に,スキャンパケットのIPアドレスが詐称されているかどうかを調べた.また,ドメインとIPアドレスを対応付けて管理するシステムであるDNSの逆引きを使用し,どれくらいのパケットが詐称されているのかを調べた.最後に,健全なネットワークを構築するために,IPアドレスの詐称を防ぐ取り組みであるBCP38の普及や,使用しているIPアドレスの情報を提供して管理することを提案した.これらを実行することにより,ダークネット観測の有効性を発揮し,悪性のトラフィックを早急に検知することが可能になる.
著者
河内山 真理 有本 純 中西 のりこ
出版者
外国語教育メディア学会(LET)
雑誌
外国語教育メディア学会機関誌 (ISSN:21857792)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.119-130, 2013 (Released:2017-07-28)

The purpose of this paper is two-fold. One is to investigate how many courses on pronunciation teaching are taught in teacher's license course in order to be an English teacher in junior or high school in Japan. Two is to examine how many of these courses treat pronunciation teaching. To teach pronunciation properly with confidence, teachers should acquire three elements of pronunciation teaching, i.e., knowledge on phonetics, pronunciation ability, and skills on teaching pronunciation. The data were gathered examining the courses and their syllabi. The findings show that 40% of the courses do not offer the pre-service teachers any opportunities to acquire knowledge, ability, or teaching skills on pronunciation. Moreover, further investigation of the syllabi that do provide pronunciation-related topics shows that the courses that focus on the teaching skills are very limited. This can be one of the reasons why English teachers do not have much confidence in teaching pronunciation. As far as pronunciation is concerned, some changes are necessary in teacher's license courses, that is, to focus on the three elements of pronunciation teaching.