著者
丸田 直美 田村 照子 有泉 知英子
出版者
人間-生活環境系会議
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.105-108, 2006

時代とともに変化するファッションや昨年提案された地球温暖化対策としての「COOLBIZ」ファッションが人々の着衣量にどの程度影響をするのかを確認するために、2006年3月から2006年8月までの半年間、約10日間隔で東京都内の某交差点の横断歩道を渡る通行人の最外層の着衣を調べ、5年前(2001.6~2002,5)に同様の方法で調査したデータと比較した。その結果、女性の衣服の一部に今年度のファッショントレンドをみることができたが、春夏季の主要上衣衣服である長袖ジャケットと半袖シャツの着用率と日平均気温との関係は前調査結果とほぼ一致し、環境に対する人々の着衣行動には変化がみられなかった。着衣量もほとんど変化はみられなかったが、男性のビジネススーツの着用率やネクタイ全体の着用率が今年度わずかであるが夏季に減少していた。これらの結果より「COOLBIZ」運動はゆっくりではあるが普及していると思われた。
著者
有泉 知英子 佐藤 真理子 並木 理可 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.279, 2010

【目的】世界には様々な民族服があり,各々の生活様式や気候に適応するよう工夫が凝らされている.本研究では下衣の形態に着目し,民族服3種の運動機能性及び温熱的快適性について検討を行った.<BR>【方法】被験者は平均年齢22歳の若年女子4名.実験衣はパンタロネス(グアテマラ),シャルワール(インド他),パー・チュンガベン(タイ),現代服としてストレートパンツ,計4種をシーチングで製作した.測定は運動機能性評価として衣服圧及び官能評価を,温熱的快適性評価として衣服内温湿度を計測した.1)衣服圧…静立・屈曲・あぐら姿勢で,前面(WL・MHL・HL・大腿中央・膝蓋骨中点),側面(MHL・HL・大腿中央),後面(WL・MHL・HL・大腿中央・膝蓋骨中点)の計12点を測定した.2)官能評価…動きやすさについて5段階評価を行った.3)衣服内温湿度…実験衣を着用し,28℃・50%RH環境下で安静5分→足踏み3分における腹部前突点・大腿前面中央・殿部後突点の計3点を測定した.<BR>【結果】衣服圧では,現代服の前面(大腿・膝蓋骨),側面(MHL・HL・大腿),後面(HL)が高い値を示した.現代服は民族服より総じてゆとりが少ないと考えられる.シャルワールは,屈曲時の膝蓋骨中点とHLを除くほとんどの部位で低い値を示し,官能評価においても有意に高い評価を得た.衣服内温湿度測定の結果,温度変化量において現代服は安静時の上昇(A)大,動作時の下降(B)小であった.3種の民族服はA小,B大であり,ゆとりが多いため動作によるポンピング効果が生じたと考えられる.本研究により,民族服の機能性を定量的に評価できる可能性が示唆された.