著者
徳田 雄一 橋口 尚文 浜田 富志夫 山下 亙 田中 啓三 馬場 泰忠 中島 晢 原田 隆二 渋江 正 有馬 暉勝
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.1021-1025, 1990-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
19

慢性腎不全患者の胃粘膜病変の原因解明のため血液透析患者 (137名) に内視鏡検査を行い胃粘膜病変の頻度および発生部位について検討し, さらに胃粘膜防御機構に関して血中HCO3-濃度測定 (66名), レーザードップラー法による胃粘膜血流量の測定 (46名) を行った. また胃疾患との関連性が指摘されているCampylobacter pyloriを胃粘膜より培養法にて検出 (23名) した. 血液透析患者の胃粘膜病変には, びらん性胃炎, 胃潰瘍, 急性胃炎などが多くみられ, その発生部位は胃前庭部に多かったが急性胃炎については胃体部にも66.7%に病変が認められた. 血液透析患者の血中HCO3-濃度は19.5±2.6mEq/lとコントロール群に比較して低値を示した. 血液透析患者ではコントロール群との比較で胃体上部大彎にて胃粘膜血流量の低下がみられた. Campylobacter pyloriの検出率は43.5%でコントロール群と有意差は認めなかった. 以上より慢性腎不全患者における胃粘膜病変の原因として血中HCO3-濃度低下による胃粘膜HCO3-分泌の低下, 胃体部の胃粘膜血流量の低下などの胃粘膜防御機構の障害が関与していると考えられた.
著者
高塚 祥芝 宇都宮 與 川畑 久 竹内 昇吾 牧野 虎彦 中原 勝志 下高原 茂巳 魚住 公治 花田 修一 有馬 暉勝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.707-709, 1999-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

症例1は, 63歳,男性.汎血球減少と右下腿の重症峰窩織炎で入院.骨髄像では芽球が78%を占めAML (M0)と診断.症例2は, 47歳,男性.発熱と白血球増加で入院.骨髄は,低形成で芽球32%,好酸球24%認AML (M4Eo)と診断.入院時肛門周囲膿瘍を併発していた. 2例とも感染症の治療を優先して抗生剤での治療中にAMLの自然寛解を得た. AMLの自然寛解は稀であり貴重な症例と思われ報告した.
著者
有馬 暉勝 前田 栄樹
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

C型肝炎ウィルス(HCV)の遺伝子構造が明らかにされ、診断面では各種第二世代のHCV抗体の開発により十分な感度で血清診断が可能となった。我々も独自にHCVの遺伝子のクローニングを行い、コア抗原と非構造蛋白(NS3領域)との複合抗原を用いた高感度の新しいHCV抗体検出系を開発した。1.HCV遺伝子の免疫スクリーニングによるクローニングC型肝炎患者血清よりAGPC法によりRNAを抽出し、ランダムプライマーを用いてλgtII-cDNAライブラリーを作成し、患者(急性C型肝炎患者回復期および慢性C型肝炎)血清を抗体として用いクローニングを行った。患者プール血清よりスタートしたひとつのcDNAライブラリーから幸運にも構造蛋白領域をコードするクローン2個を含むHCVの各領域の特異的cDNAクローンを得た。2.新しい高感度HCV抗体検出系の開発コア領域をコードするS29抗原とNS3領域をコードするS4抗原の混合抗原を用いたELISAによるHCV抗体測定系はきわめて高感度であり、現在開発されている第二世代HCV抗体検出系(アボットII)と同等以上の感度、特異性を有し、臨床応用が期待される。