著者
渋谷 茂一 石塚 春雄 亀島 昭徳 木下 敏雄 安藤 秀哉 吉村 和昭 鈴木 喬 賀来 壽一 海野 幸次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.97, no.228, pp.1-8, 1997-08-22
被引用文献数
23

何百光年もの遠い星が輝いて見えるのは、星から地球えの光の伝達形式が吸収や屈折や散乱のない「自由空間伝搬」のおかげである。人工的な無線通信で自由空間伝搬に最も近いのは、衛星間と衛星地球間の通信で、良質安定な通信品質が得られる。自由空間伝搬を、地上通信に応用するには、地球表面(大地)の反射と回折の影響と大気の屈折効果を「実用上の自由空間伝搬条件」の限度内に抑制する必要がある。1960年以降、日本のマイクロ波中継システムが、世界各国に広く輸出されて重要な幹線用に採用されたのは、「自由空間伝播路設計法」のノーハウを駆使して、高品質な中継システムの提供に成功したからにほかならない。われわれは、この貴重な経験を「自由空間型EMCテストサイト」の実現に役立てるべく、研究開発を重ねて来た。その結果、VHF・UHF・SHF・EHF以上(30MHz〜400GHz)の周波数帯域に広く適用でき、測定距離(0.5m〜10m)を任意に選択できるUniversal(万能)なUtility Test site(UUTS/U site)の実用化に成功した。本論文は、EMCテストサイトに実用上要求される「自由空間伝搬の条件」と「自由空間化の方法」、「Universal Site」の実施例について述べる。
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 木下 敏雄 安藤 秀哉 亀島 昭徳 鈴木 喬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.94, no.229, pp.49-56, 1994-09-13
被引用文献数
20

1996年1月を期限とする各国の法制化に向けて、CISPRは最新版のpub.16-1(1993)「無線妨害とイミュニテイ測定装置」を公開した。その内容を検討したところ、"測定アンテナの種別と性能の規定""NSA(正規化サイトアッテネーション)規格表"をはじめ、多くの誤りや内部矛盾の存在が判明した。本論文は、勧告の承認に伴う国内と国際的な混乱を避けるため最小限必要な改訂提案ならびに、直ちに実行できる効果的な改善方法として、「NSG(正規化サイトゲイン)の導入」、「自由空間型サイトの採用と適合性判定基準」の追加提案を行った。
著者
渋谷 茂一 石塚 春雄 亀島 昭徳 木下 敏雄 鈴木 直喜 安藤 秀哉 吉村 和昭 鈴木 喬 大野 豊 賀来 壽一 海野 幸次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.97, no.382, pp.47-54, 1997-11-20
被引用文献数
17

1997年11月、CENELECは、EVI用完全電波暗室(自由空間型)の標準化草案を作成した。これは、現行の「CISPR16-1勧告による金属床面式サイト」がもつ幾多の本質的欠陥(電気的性能、利用性)の救済に役立つものである。この草案は、近くIEC/CISPRに上程され、たとえ日本等の反対があっても可決される国際動向といわれる(孤立は、電子機器製造産業全般に重大な影響をもたらす)。本論文は、野外式のオープンフリーサイト(OFTS;Open Free Test Site)と屋内式の完全電波暗室(FAC;Fully Anechoic Chamber)を包括する「自由空間型サイト(FSTS;Free Space Test Site)」に関して、一般的な必要条件、適合性評価方法、放射妨害(EMI)測定法、放射妨害限度値について述べる。なお、CENELECの草案には、CISPR16-1による「正規化アッテネーション(NSA;Normalized Site Attenuation)」と「アンテナ係数(AF;Antenna Factor)」の概念がそのまま引用されており、合理化の妨げになっているので、この、改善のために「正規化サイト利得(NSG;Normalized Site Gain)」と「有能アンテナ係数(AAF;Availab15 Antenna Factor)」を定義した。現行CISPR型サイトに対する自由空間型サイトの優位性(電気的性能、利用性、経済性)は圧倒的なので、国際的合意さえ得られれば、現在の、金属床面式のオープンサイドと半電波暗室は、遠からず自然淘汰されることになるであろう。
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 木下 敏雄 安藤 秀哉 亀島 昭徳 鈴木 喬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.94, no.229, pp.57-64, 1994-09-13
被引用文献数
24

CISPR22の最新版(1993)が公表された。ところが、この内容には、「妨害波限度値の規定が、浮動的で、ITE設置高により10dB以上の偏差が生じる」「NSA規格の算出方法が不適正」、「限度値の距離換算法に誤りがあり、6〜8dB誤差が伴う」という重大な欠陥がある。これらは、CISPR16-1による『金属床面を構成要件とする標準サイト』のかかえる宿命的欠陥で、サイトの伝搬型式を一歩でも《自由空間》に近付けなければ、解決できる問題ではない。本論文は、CISPR22(1993)の内包する矛盾を明らかにし、既存のCISPR型サイトの救済方法を示すと同時に、抜本的な解決策として、「完全電波暗室」、「オープンフリーサイト」等の《自由空間型サイト》を"標準サイト"として公認するように提案するものである。
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 木下 敏雄 安藤 秀哉 亀島 昭徳 鈴木 喬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.95, no.359, pp.1-8, 1995-11-16
被引用文献数
21

情報技術装置(ITE)の放射妨害(EMI)限度値規格は、CISPR 22(1993)に改定勧告案が示されているが、ITE設置高・測定距離・偏波により、10〜20dBの偏差を生じ、規格自体が安定しない欠陥がある。例えば、EMI測定値の検定のために「3m法 半電波暗室(金属床面)」と「1Om法CISPR勧告型オープンサイト」の相関を求めることは、事実上、不可能に近い。これは、放射妨害限度値規格を自由空間で定義し、「自由空間型サイト(オープンまたは完全電波暗室)を使用することにより容易に解決できる。すでに、EMS(イミュニティー)試験や1GHz以上のEMI測定は、「自由空間型サイト」の使用が前提になっており、それらとの整合性の見地からも、現行規格の見直しが必要である。なお、CISPR 22(1993)の限度値換算法の誤りは、FCC OST 55(1982)の技術根拠の誤りに起因し、それが訂正されずに継承されてきた結果であることを論証した。
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 木下 敏雄 吉村 和昭 安藤 秀哉 亀島 昭徳 鈴木 喬 賀来 壽一 海野 幸次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.314, pp.73-80, 1996-10-18
被引用文献数
18

過去10年来, CISPRは,「EMI(放射妨害波)測定法の合理化」を最重要課題に挙げてきたが, 依然として未解決のままである. すなわち, 1991年のEMCシンポジュウム(チューリッヒ)では, IBM社が, 全世界の優良34サイトについて3m法の比較試験を実施し, EMI電界測定値に約10 dBのバラツキがあることを公表した. 1994年の会議(北京)では, ドイツが, 同じく6サイトについて10dB以上の差異を検出, CISPR測定法の不適合性を指摘した. 最新の1995年の会議(ダーバン)では,「EMIテストサイトと測定法の問題点と理論的検討」があらためて各国に要請された. 本論文は, それらに対応して,「3m法を含むCISPR勧告型サイトの相関係数が不確定で, 容易に10db以上の誤差が生じる理由を理論的に証明」, また, 「放射妨害波限度値ならびにサイトの自由空間化のみが唯一の解決手段」であることを示す.
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 亀島 昭徳 木下 敏雄 鈴木 直喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.26, pp.1-8, 1999-04-23
被引用文献数
11

EMC計測用アンテナの較正法は、ANSI C63.5の水平偏波(HP)による「標準サイト法(SSM)」が世界的に普及しているが、この欠点を改善するとしてCISPRに提案されたのが日本(郵政省通信総合研究所;CRL)の「改良標準サイト法」である。これに、近年(1996)CENELECが「中高アンテナ垂直偏波(VP)法」を提案、ANSIと対立する形になった。これらと、古典的な自由空間型アンテナ較正サイトを低高度で実現する「Uサイト法(HP, VP)」を併せて、理論と実用の見地から利害得失を比較した。その結果、アンテナ較正用サイト(CALTS)としては、金属床面を使用する「標準サイト法(ANSI)」と「改良標準サイト法(CRL)」は原理的に不適性で、自由空間近似の「中高アンテナVP法(CENELEC)」と「Uサイト法」が適合すること。送受信アンテナ間の実効反射係数を0.1(-20dB)以下にすれば、アンテナ係数の較正誤差を1dB以下にできることを示した。