著者
平城 達哉 木元 侑菜 岩本 千鶴
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.249-255, 2017 (Released:2018-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

鹿児島県奄美大島に分布するアマミノクロウサギPentalagus furnessiを対象として,2007年度~2016年度の10年間に環境省奄美野生生物保護センターにおいて把握できている本種の死亡個体と鹿児島県教育委員会大島教育事務所に集約された天然記念物滅失届の情報(n=499)を用いて,ロードキルの発生場所と発生時期を検討した.ロードキル(113件,交通事故で緊急保護された直後に死亡した3個体を含む)は全体の滅失数の22.6%を占めた.このうち,93件(82.3%)は島の中南部(奄美市住用町,大和村,宇検村,瀬戸内町)で発見されたもので,特に瀬戸内町網野子峠,奄美市住用町三太郎峠,県道612号線,県道85号線がロードキル多発区間であった.アマミノクロウサギのロードキル発生時期には季節性がみられ,発生件数は夏に少なく,秋から冬に多い傾向が示された.
著者
木元 侑菜 勝原 涼帆 馬場 友希 亘 悠哉
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.23-27, 2021 (Released:2021-03-10)
参考文献数
16

鹿児島県奄美群島の喜界島において,2頭のコウモリ類の死体が発見された.2019年8月31日に初めて発見された死体は雄で,前腕長34.9 mm,陰茎長11.5 mmであった.本死体はオオジョロウグモNephila pilipesの網に捕獲されており,内臓の大部分がクモに摂食されていた.2019年9月15日に発見された死体も雄であり,前腕長32.2 mm,陰茎長11.2 mmであった.この死体はゴルフ場の事務所内で発見された.外部形態や頭骨を用いた種同定の結果,2例ともこれまで喜界島に生息記録のなかったアブラコウモリPipistrellus abramusと判定された.またバットディテクターによる音声調査により,アブラコウモリと思われる音声が島全域から確認された.
著者
平城 達哉 木元 侑菜 岩本 千鶴
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.249-255, 2017

<p>鹿児島県奄美大島に分布するアマミノクロウサギ<i>Pentalagus furnessi</i>を対象として,2007年度~2016年度の10年間に環境省奄美野生生物保護センターにおいて把握できている本種の死亡個体と鹿児島県教育委員会大島教育事務所に集約された天然記念物滅失届の情報(<i>n</i>=499)を用いて,ロードキルの発生場所と発生時期を検討した.ロードキル(113件,交通事故で緊急保護された直後に死亡した3個体を含む)は全体の滅失数の22.6%を占めた.このうち,93件(82.3%)は島の中南部(奄美市住用町,大和村,宇検村,瀬戸内町)で発見されたもので,特に瀬戸内町網野子峠,奄美市住用町三太郎峠,県道612号線,県道85号線がロードキル多発区間であった.アマミノクロウサギのロードキル発生時期には季節性がみられ,発生件数は夏に少なく,秋から冬に多い傾向が示された.</p>
著者
浅利 裕伸 木元 侑菜
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.67-71, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
15

鹿児島県奄美大島の学校校舎内においてコウモリ類の目撃情報があったことから,2017年10月に捕獲調査を行ない,雄2個体のコウモリ類を捕獲した.外部形態の特徴から,奄美大島においてこれまで記録がない種であると判断した.捕獲個体の外部形態は日本国内に生息する種のうち,クロオオアブラコウモリに類似していたものの,種を同定することはできなかった.放獣した個体の音声はFM-QCF型を示し,ピーク周波数は平均35.35 kHzであった.奄美大島南西部の海岸で飛翔する種不明のコウモリ類が発する音声も同様のピーク周波数であったため,捕獲個体と飛翔個体が同一種であることが示唆された.