著者
久冨木原 健二 中原 仁
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.603-609, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
34

要約:自己免疫疾患において,血液中のリンパ球が血管内皮に接触・接着し組織内に侵入することで炎症が引き起こされるが,接着分子阻害薬はこの接着の機序であるリンパ球表面のインテグリンと血管内皮細胞のインテグリンリガンドの相互作用を阻害することで効果を発揮する.多発性硬化症には抗α4 インテグリン抗体のnatalizumab が高い治療効果を有し,また消化管特異的に発現しているインテグリンリガンドを標的とした抗α4β7 インテグリン抗体のvedolizumab は炎症性腸疾患に対して有用である.免疫系細胞や炎症性サイトカインの作用自体を抑制するのではなく,リンパ球の組織移行を阻害するというユニークな機序のインテグリン阻害剤について,本稿ではこれまでの知見を概説する.
著者
稲本 由美子 木原 健二 飯田 一史
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.284, 2017

はじめに 重症心身障害児者にとり、「呼吸」を安楽に維持することが生命予後、QOLの向上につながる。呼吸ケアというと、吸引・呼吸器の管理など医療的ケアをイメージするが、姿勢管理、口腔ケア、緊張緩和のための心理的関わりなどのほうが重要である場合も多い。日常生活の中で多職種がそれぞれの専門性を発揮して適切な介助、対応を行うことが重要であると考える。しかし、現状は職種間の知識・技術の格差があり、専門性を発揮した呼吸ケアを実践しているとは言い難い状況である。職員全体の「呼吸」に対する知識の底上げを行うことが重要であると考える。さらに、知識だけでなく、それを実践に活かすためにはOJTは不可欠であり、指導する立場の職員を育てることも重要である。 今回、施設が求めるそれぞれの職種(看護師・支援職・セラピスト)の呼吸ケアにおける役割を明確にすること、「重症心身障害児者の呼吸障害」の基礎的な知識を職種間格差なく持てること、個々の症例に合わせた適切な呼吸ケアを実践できることを目標とし、系統的な「呼吸研修プログラム」の立ち上げに取り組んだので、その経過を報告する。 活動内容 1.「呼吸研修検討会」定例会議1回/月を実施。「呼吸研修プログラム」の内容検討し、計画立案を行う。 2. 研修会の実施・評価 結果 呼吸の仕組み・重症心身障害児者の呼吸障害とその対応・呼吸リハビリの基礎と実際など基本的に知っておくべき知識と技術を得るための「ベーシックコース」計5回と指導的立場を担うための知識と技術を得る「アドバンスコース」計3回を計画・実施した。「ベーシックコース」は対象職員(看護・支援・セラピスト)約140名中、各回約50〜80名参加。「アドバンスコース」は対象者を限定して実施した。 今後の課題 研修内容を「難しい」と感じた職員に対して理解度のチェックとフォローアップ実践に活かすための、職種別知識・技術の研修プログラムの検討
著者
木原 健二 河崎 洋子 今西 宏之 宇宿 智裕 西村 美緒 水戸 敬 高田 哲
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.349-353, 2013-09-01

【目的】重症心身障害児 (者) (重症児) の身長測定における信頼性検討を目的とした. 【方法】重症児73名の中から層化抽出した12名を対象に脛骨長測定法ならびに分割法による身長測定を実施した. 3名の検者が同一の対象者について両測定法を行い, 測定結果について級内相関係数を用いて検者内信頼性・検者間信頼性を検討した. さらに両測定法間の相関を求めた. 【結果】脛骨長測定法・分割法ともに良好な検者内信頼性・検者間信頼性を示した (ICC>0.90). 両測定法による測定値は強い相関を示した. 【結論】脛骨長測定法・分割法ともに良好な信頼性を示した. 臨床場面ではより簡便な脛骨長測定法が有用と考えた.