著者
北尾 真梨 津田 聡子 山口 智子 高田 哲
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.83-90, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
16

医学上の倫理的意思決定の実態と、看護師の参加実態と参加に関連する要因を明らかにするために質問紙調査を行った。1. 対象疾患として超低出生体重児、18トリソミー、重症新生児仮死を含む29疾患があげられた。また、家族は意思決定の場に参加しないことや、決定の主体となっていないこともあることが明らかになった。2. 看護師が意思決定の際に 「よく理解していた」 ものは 「子どもの現在の状態」 であったが、子どもの治療の決定に最も影響を与えるものとしては 「両親の希望」 であった。3. 意思決定に参加した経験のある看護師は26.1%であった。参加に関連する要因は、 「東京女子医大のクラス分け」 と 「淀川キリスト教病院のガイドライン」 への認知度であった。以上の結果から看護師に求められる役割として、1. 家族が決定の主体となるために情報を提供し、思いを傾聴することで意思決定の過程をサポートすること、2. 子どもの立場に立った意思決定を行うこと、3. 看護師自身が意思決定に参加していくために、組織として学習システムを構築すること、があげられた。
著者
皆川 諒 高田 哲司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.726-736, 2020-03-15

セキュリティ警告はセキュリティ脅威への遭遇可能性をICT利用者に伝え,それを回避可能にするための仕組みである.しかし,利用者の多くはセキュリティ警告を有効活用していないという現状がある.そこで本研究では,セキュリティ警告の効果改善を目的とし,「かわいい」と感じる視覚的刺激による行動誘引効果をセキュリティ警告に応用することを提案する.このアイデアに基づき,セキュリティ警告内に「かわいい効果」をもたらしうる画像を導入したプロトタイプ警告を実装し,それを用いて実験参加者による評価実験を行った.その結果,かわいい効果を導入した警告は既存の“そうではない”警告と比較してセキュリティ警告内の警告文を理解するよう利用者を誘引できる,という結果を得た.
著者
市川 雷師 守屋 達美 保坂 辰樹 福西 智子 沖崎 進一郎 小川 顕史 鈴木 貴博 松原 まどか 高田 哲秀 田中 啓司 藤田 芳邦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.495-500, 2010 (Released:2010-08-19)
参考文献数
19
被引用文献数
2

症例は65歳の男性.2型糖尿病で食事療法,インスリン療法を受けていたが,HbA1cは7~9%台であった.2008年9月下旬感冒を契機に食思不振となり,インスリン注射を中断した.10月12日意識障害,異常行動を主訴に当院を受診し,糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic ketoacidosis:以下DKAと略す)の診断で入院した.第2病日から腹痛を訴え,腹部CTで門脈ガスを認めた.腸管壊死を疑い上腸間膜動脈造影を行なったが,血栓や閉塞はなく非閉塞性腸管虚血症(Nonocclusive mesenteric ischemia:以下NOMIと略す)と診断した.血管拡張薬の持続投与も効果なく,第3病日緊急手術を施行し救命できた.NOMIは特徴的所見がなく診断が困難であり死亡率も高い.DKAでは腹痛を訴える症例が少なくなく,鑑別としてNOMIも念頭に置き診療にあたる必要がある.
著者
高田 哲司 小池 英樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.3265-3275, 2000-12-15
被引用文献数
21 30

計算機の運用管理においてログ情報の調査は必要不可欠である.この作業は,計算機への不正侵入の多発にともないその重要性を増しつつある.しかしログ情報の調査は退屈で単調な作業であるため,その作業を敬遠する傾向が高く,結果として種々の問題を見過ごす原因となっている.さらに,異常を表すログ情報の抽出が困難であることも調査作業を困難にする原因としてあげられる.そこで本研究ではテキストマイニングをログ情報に適用し,異常事象を表すログ情報の抽出を支援する.さらにそれらの情報を情報視覚化を用いて図化してユーザに提示することによりログ情報の認識を支援する.我々はこれらの特徴により人間によるログ情報の調査作業を支援するログ情報ブラウザ``見えログ''を開発した.本システムを利用することにより,システム管理者が異常事象を表すログに関する種々の規則を事前に定義しなくても異常を表すログ情報の抽出を可能にする.また抽出された特徴情報は,情報視覚化によって図化されるとともに文字による表示と連係して提示される.これにより個々のログ情報に関する種々の特徴を容易に把握することが可能となり,人間が様々な観点をもとに注目すべき情報か否かを判断をすることが可能となる.これらの特徴により人間によるログ情報の調査作業を支援することが可能となる.It is necessary for system administrator to investigate some log information. The reason is that log-files contain enormous information generated from an operating system and various programs and these information are useful to solve a variety of troubles on computer. Moreover, an intrusion to the computer becomes serious problem more and more.A system administrator, therefore, has to watch a log information periodically in order to find out the intrusion marks.In this research, we developed log information browsing system, which is called ``MieLog'', in order to support such task.MieLog extracts some characteristics from log information.An example of these characteristics is the number of log outputting in fixed time or the length of log text.MieLog, moreover, represents their characteristics visually with textual information.As a result, MieLog makes it easier for system administrator to investigate log information.
著者
田中 究 前田 潔 北山 真次 高田 哲 富永 良喜 加藤 寛
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

被虐待児童の評価として、既に十分に確立している精神疾患概念(診断基準)を用いて評価し、被虐待児童の精神症状、心理的影響について、その成育史上の特徴との関連を明らかにすることは有用であると考えられ、調査を実施した。本調査は兵庫県児童擁護連絡協議会および神戸市養護施設連盟に加盟する児童養護施設(28施設)において行ったものである。その結果、児童養護施設には高率に被虐待児が入所しており、また何らかの精神症状、精神疾患を持つものも高率におり、児童養護施設はもはや生活施設としてではなく、療育・治療の施設としての位置づけがなされなくてはならない状況であった。また、2施設においては悉皆調査を行い、児童の精神医学的診断を質問紙法(子ども用面接(ChIPS))でおこない、加えて児童の観察および診察および事例検討を通して精神科医および小児科医、臨床心理士が評価を行った。また、この評価と生活状況、養育環境および虐待体験の有無、虐待の種類などについて検討し、統計学的解析を行った。この結果、児童養護施設入所時のうち被虐待児の割合は70%認め、何らかの精神症状を持つ児童が74.7%認めた。その内訳は反応性愛着障害35%、注意欠陥多動性障害23%、反抗挑戦性障害28%、行為障害28%、全般性不安障害16%、気分変調・抑うつ状態16%、遺尿(夜尿)18%、解離症状24%、感情コントロール不全16%、知的障害19%などを認めた。さらに、乳児院を経て入所した児童は、反応性愛着障害、注意欠陥多動性障害、反抗挑戦性障害で有意に多かった。これらの児童への治療は、身体医学的治療(薬物療法)および精神医学的治療を医師らがあたり、心理学的治療(遊戯療法、芸術療法、認知行動療法、など)は臨床心理士等に業務依頼し、経時的にこれらの症状評価を行った。研究協力者として加藤寛氏(兵庫県こころのケア研究所研究部長)、井上雅彦氏兵庫教育大学発達心理臨床研究センター准教授)に評価、治療等へのご協力を頂いた。
著者
丸山 有希 高田 哲
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.346-351, 2010 (Released:2015-11-21)
参考文献数
16

通常の小中学校の養護教諭を対象に, けいれん発作既往のある子どもへの対応と, 抗けいれん坐薬使用の実態について調査した. 150校中139校 (93%) にけいれん発作の既往児が在籍しており, 1年間に26校 (17.3%) で発作が起きていた. 過去を含めると65%以上の養護教諭が学校でけいれん発作を経験していた. 坐薬を預かった学校は59校 (39.4%) であったが, その際に主治医や医療機関から指示があったのは, 16校 (27%) にすぎず, 主治医や医療機関のサポートに関して, 92人 (68%) もの養護教諭が「ほとんどない」「全くない」と感じていた. 多くの養護教諭は学校での坐薬使用に抵抗を感じながらも, 子どもの安全・安楽のためにやむを得ないと考えていた. また, 医師の明確な指示と相談活動, 緊急時の医療機関の速やかな受け入れ等を望んでいた. 学校側の不安を軽減し, けいれん発作の既往がある子どもたちが適切な健康管理を受けられるよう, これらのサポートの充実が期待される.
著者
高田 哲雄 広内 哲夫 平野 雅道 羽倉 弘之 海津 ゆりえ 若林 一平
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : Journal of the Shonan Research Institute Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.117-137, 2008-03-01

Cultural tourism has become an important phase of the new age tourism. Attractively archiving cultural resources provide cultural tourists with an intellectual and practical guide especially to a performing aspect of the urban and rural culture. This study focuses on the 3D imaging of performing rituals, festivals and lodging accommodations.“Shonan” is mainly the coastal region facing Sagami Bay extending from Kamakura and Enoshima, through Chigasaki and Hiratsuka, to Oiso and Ninomiya. This region has a fine view of Mount Fuji and “Shonan” beach. The Kamakura Shogunate have left a wide variety of historical and cultural heritage in “Shonan” area.Minamoto No Yoshitsune (shortly "Yoshitsune") is the younger brother of Minamoto No Yoritomo who is the founder of the Kamakura Shogunate. But Yoshitsune is a famous tragic general of Japanese samurai. He was named as an “enemy of the Emperor” by the shogunate, and finally betrayed by his patronage and forced to commit suicide “harakiri.”He is enshrined in Shirahata Shrine in Fujisawa.Our research team successfully achieved a challenging 3D image recording of Shirahata Shrine “Kagura.” The chief priests of shrines related to and emerging from the Shinto religious or historical legend perform “Kagura.”Another challenge is VRML technology. We have reconstructed Maita “Honjin” official accommodations for “Daimyo” warriors using VRML stereoscopic technology. Maita “Honjin is official accommodations managed by Maita family in Fujisawa “juku”lodging spot.
著者
平澤 匡介 齊田 光 高田 哲哉 石田 樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_981-I_992, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
14

我が国の高規格幹線道路は限られた期間や費用で整備を進めるために,交通量が少ない区間は4車線のうち,2車線のみを暫定的に供用する方法を採用した.暫定2車線区間は大半がラバーポールと縁石による簡易分離であり,正面衝突事故が起きた場合は重大事故に至りやすい.寒地土木研究所では,2車線道路の正面衝突事故を防ぐために,支柱が細く,設置幅が少ない緩衝型のワイヤロープ式防護柵を開発した.本稿は,高規格幹線道路暫定2車線区間の中央帯にワイヤロープ式防護柵の導入を検討するため,暫定2車線区間の道路構造を試験道路で再現し,大型車のすれ違い走行試験や試験参加者の主観評価を行い,さらに,車両衝突時のはみ出し量を低減させるロープ連結材の開発について報告するものである.
著者
江原 知志 高田 哲司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.1082-1093, 2022-04-15

覗き見攻撃は携帯端末での個人認証において現実的に起こりうる脅威の1つである.この脅威に対する対策手法として,携帯端末の振動機能を利用した個人認証手法が複数提案されている.しかしそれらの手法には認証に時間がかかるという実用面の課題がある.そこで本研究では,振動機能を利用した既存手法の1つに対し,ユーザインタフェース改良を図ることによって,覗き見攻撃に対する安全性を維持しながら既存手法より認証時間を短縮することを試みた.1つは入力操作に必要な情報の取得時間を短縮させるものであり,もう1つは直感的な入力操作方法の導入である.この提案に基づく認証システムをAndroidアプリケーションとして実装し,実験参加者による評価実験を行った.実験結果から,改良対象となったシステムとの比較で認証時間を平均6秒短縮することに成功した.また安全性についても想定脅威に対して同等程度の安全性が維持されることが確認された.さらに,振動を利用した他の既存認証手法とも比較議論を行い,提案手法が先行研究の手法よりも操作負担が低く,安全性を危殆化させうる問題点が少ない手法であることを示した.
著者
宗広 一徳 高田 哲哉 石田 樹 松田 武
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1339-I_1347, 2016

本研究は,「2+1車線」型道路の性能評価の実施に際し,サービスの質を表す指標として,平均旅行速度,追従車率及び追従車密度を取り上げ,付加車線の配置と得られるサービスに関する交通流ミクロシミュレーション及び実道での実測結果を報告する.路面状態は,乾燥路面と圧雪路面の2条件とした.評価指標として追従車密度を基に,積雪寒冷地2車線道路のサービス水準の構築を試行した.一定間隔で付加車線を設置することにより,乾燥路面時と圧雪路面時の両方で,2車線道路のサービスのレベルが改善することが示された.「2+1車線」型の整備が行われた国道40号更喜苫内道路(稚内市~豊富町)を事例研究とし,追従車密度を実測したところ,冬期の圧雪路面時においてもサービス水準Aが確保されていることが示された.
著者
高橋 雅雄 蛯名 純一 宮 彰男 磯貝 和秀 古山 隆 高田 哲良 堀越 雅晴 大江 千尋 叶内 拓哉
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.109-116, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
29
被引用文献数
1

シマクイナCoturnicops exquisitusの越冬生態を明らかにするため,2014-2015年・2015-2016年・2016-2017年の3冬季に,関東地方の65か所の湿性草原で,夏季の音声を用いて生息確認を実施した.その結果,18か所で延べ98個体のシマクイナを確認した.生息確認地は7地域に大別され,耕作放棄地と河川敷が特に利用されていた.また,耕作放棄地で確認個体数が多い傾向があった.さらに,シマクイナは中層ヨシ環境で主に確認され,この植生環境が本種の生息に重要であることが示唆された.
著者
岩崎 仁美 幸田 利敬 武中 美佳子 松本 尚子 山根 学 矢本 富三 助川 明 武富 由雄 高田 哲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G2Se2067, 2010

【目的】医療専門家の教育は、1965年に提唱されたBloomらの3分野、認知領域・精神運動領域・情意領域に基づいており、理学療法士養成は概ね知識と技術、専門的態度の3つから構成されている。近年、医療界全体で医療従事者の対人スキル・コミュニケーション、専門家としての態度をいかに養うかが大きな課題となり、その到達目標も定められてきている。一方、目標達成のためには、個々の学生が指導者側の指導をどのように受け止めるかも重要で、受け止め方の傾向を熟知し、学生の特性に応じた指導を行うことが大切である。そこで我々は、理学療法実習を終了した学生を対象に絵画連想法であるP‐Fスタディを実施し、実習における態度評価との関連を検討した。<BR><BR>【方法】平成20年度に実習を全て終了し、卒業が見込まれた学生のうち協力が得られた69名、男性50名(20~47歳、平均28.9歳)、女性19名(20~49歳、平均27.6歳)を対象とした。心理テストはP-Fスタディを用い、自分が起こした事象に対する他者からの指摘と、他者が起こした事象によって生じるフラストレーションに対する反応を採点し、評点因子毎に標準得点を算出した。実習態度評価については、「指導者の助言を受け入れることができる」という項目に着目した。実習評価者による差を排除するため複数の実習における平均値を個人の得点とし、その中央値よりも高い24名を上位群、低い15名を下位群とした。P‐Fスタディより得られた各評点因子を、実習評価の上位群・下位群間で比較し、Mann-WhitneyのU検定(p≦0.05)を用いて分析した。<BR><BR>【説明と同意】本研究が単位取得に関わらないことを示すため、実施は単位認定後とし、今後の臨床実習指導に役立てる旨を伝え、同意の得られた学生にのみ実施した。尚、得られた情報は、個人の特定が不可能な状態で研究に使用し、解析後は破棄した。<BR><BR>【結果】(1)上位群では、「問題解決を図るために他の人が何らかの行動をしてくれることを強く期待する反応」が下位群より有意に高かった。(2)同様に、上位群においては、「自責・自己非難の気持ちの強さに関係する反応」が下位群より高い値をとった。(3)「一般の常識的な方法で適応できるかをみるための指標」についても上位群が下位群より高得点であった。(4)他の指標に関しては両群間に有意差を認めなかった。<BR><BR>【考察】上位群では適度な自己反省心を持ち、問題解決に向けて自分から援助・助力を求めることができるが、下位群では自己反省心にやや乏しい傾向があり、適切に必要な助力を求めることができず、問題解決のための積極的姿勢が乏しいのではないかと示唆された。原因を自分に求め、自分の努力によって問題を解決しようという反応や、規則や習慣に従って解決を待つという忍耐強さに関わる反応においては両群間で有意差がないことからも、単に反省して従順であることではなく、困難な場面では助力を求める積極的な姿勢が指導者に評価されていた。一方、自己反省心が強すぎる場合には、自分自身を過度に攻撃する可能性、また他者への期待が高すぎる場合には、依存心の強さと捉えられる場合もあるため、評価にあたっては個別に判断する必要があると思われた。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】今後は、実習前後での変化や、実習中に問題が生じる学生についても検討し、学生の特性に応じた指導に繋げていきたい。
著者
山岸 伶 高田 哲司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.1119-1128, 2019-04-15

知識照合型個人認証の脅威として推測攻撃が存在し,これはとりうる秘密情報から,攻撃者が利用者の秘密情報だと考える順序をつけ,その順に試行することでなりすましを試みる攻撃方法である.推測攻撃は,多くの利用者が設定している秘密情報を優先する傾向型推測攻撃と正規利用者の属性や好みに基づいて順序をつける個人情報型推測攻撃に分類される.推測攻撃は,秘密情報の偏りや利用者の個人情報に基づいた脆弱な秘密情報により可能となる.これらの脆弱な秘密情報は作成・記憶保持可能である点を重視する利用者の秘密情報設定戦略に起因する.本研究では,a)推測攻撃に対する安全性改善,b)秘密情報の記憶保持が可能,c)利用者が秘密情報を作成可能の3要件を満たす個人認証を目的とし,単語ぺアを秘密情報とする個人認証を提案する.単語ぺアを秘密情報とすることは選択する情報を2つに増やし,そのぺア間の関連も利用者が定義可能な点から,自由度が増加して推測攻撃に対する安全性が向上すると考えた.この提案に基づいてプロトタイプシステムを実装し,要件a)とb)の観点で評価実験を実施した.その結果,提案手法は70試行までは推測攻撃の成功例がなく,1,2週間隔での利用でも記憶保持が可能という結果を得た.
著者
皆川 諒 高田 哲司
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

セキュリティ警告の効果を阻害する原因の1つに馴化がある.この阻害要因を抑制する取り組みが研究されているが,警告への注目を回復させるにとどまり,その後の対応行動までは考慮されていない.そこで本研究では,セキュリティ警告に「かわいさ」に基づく視聴覚効果を付与することで,馴化の抑制と安全行動への誘導を試みた.被験者実験の結果,提案する刺激方法に基づく警告は既存警告と比較して統計的に有意な改善をもたらし,馴化を抑制する効果を発揮しうる可能性が示された.この結果をふまえ,セキュリティ警告における馴化抑制と安全行動への誘導の2点について,今後の展望と残されている課題について議論する.
著者
木原 健二 河崎 洋子 今西 宏之 宇宿 智裕 西村 美緒 水戸 敬 高田 哲
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.349-353, 2013-09-01

【目的】重症心身障害児 (者) (重症児) の身長測定における信頼性検討を目的とした. 【方法】重症児73名の中から層化抽出した12名を対象に脛骨長測定法ならびに分割法による身長測定を実施した. 3名の検者が同一の対象者について両測定法を行い, 測定結果について級内相関係数を用いて検者内信頼性・検者間信頼性を検討した. さらに両測定法間の相関を求めた. 【結果】脛骨長測定法・分割法ともに良好な検者内信頼性・検者間信頼性を示した (ICC>0.90). 両測定法による測定値は強い相関を示した. 【結論】脛骨長測定法・分割法ともに良好な信頼性を示した. 臨床場面ではより簡便な脛骨長測定法が有用と考えた.
著者
金森 晃 土信田 文隆 町田 充 高田 哲秀 中嶋 真一 神 康之 守屋 達美 的場 清和 藤田 芳邦 矢島 義忠
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.147-150, 2000-02-28 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10

49歳, 男. 罹病歴17年の重症の糖尿病性トリオパシーを合併した2型糖尿病. 足のしびれ感を癒す目的で両足趾および足蹠部に市販温湿布薬を貼付して車の運転を長時間行った. その後, 貼付部に水疱を形成し, 感染を併発して両足壊疽をきたした. 高血糖是正, 抗生物質投与, 免荷, デブリードマンなどの保存的治療により右足壊疽は治癒したが, 左V趾は中足骨切断術を余儀なくされた. 用いられた温湿布薬にはカプサイシンと同様の作用をもつノニル酸ワニリルアミドが比較的高濃度に含有されている. 本症例では温湿布薬が的確に使用されなかったために, ノニル酸ワニリルアミドによる接触皮膚炎が惹起され, さらに糖尿病性神経障害が存在するために皮膚刺激症状の認知が遅れ水疱形成をきたしたと考えられた, カプサイシンは糖尿病性表在性疼痛に対する治療効果が認められているが, 使用法を誤まると足皮膚潰瘍などの糖尿病性足病変の誘因になる可能性があり注意を要する.
著者
荻野 貴大 高田 哲司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1833-1842, 2017-12-15

Drive-by Download攻撃などWebを通じたマルウェア感染の脅威が問題になっており,その対策が求められている.Webはpull型の情報メディアであるため,マルウェアを流布するためには,Web閲覧者をマルウェア流布のために構築した「仕掛け」に誘導する必要がある.本研究では,このために既存のWebページを改ざんし,「仕掛け」に誘導するページを「誘導ページ」と定義し,その検出を可能にする研究を行った.誘導ページに関するWeb記事を対象に調査を行い,その結果から悪性コンテンツが隠蔽されるという特徴に着目した.この特徴を基に判定ルールを策定し,Webブラウザ上で誘導ページを検出可能にするプロトタイプシステムをFirefoxの拡張機能として実装した.実装したシステムを用いて誤検出率に関する検証を行った結果,False Positiveについては5%を下回る結果を得た.また実際の運用可能性についても検証を行い,実用性についても見込みがあることを示した.