著者
古川 智恵子 木曽山 かね
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-27, 1970-03-15

名古屋地区における青年女子の肌色の季節による変化についてまとめると次のごとくである.(1)肌色のうち,色相については,四季および身体の各部位を通じて, 5.0YRおよび7.5YRが多く出現し,2.5YRおよび10.0YRの出現率は極めて低かった.(2)5.0YRおよび7.5YRの出現率について,季節別に比較すると,春と冬には5.0YRが7.5YRより多く出現し,夏には7.5YRが5.0YRより多く出現し,秋には両者がほぼ同数出現した.(3)5.0YRでは,7/4(L),6/3(B'),6/4(K),6/4(Q)が,7.5YRでは7.5/3(W'),7/3(P_3),5/4(V_1),5/2(V_2)が多く出現したが,季節別にみると,春と冬には高明度の側に,夏と秋には低明度の側に集中し,特に秋にその傾向が著しいと思われた.(4)統計的に考察した結果,肌色の明度は秋に最も低く,夏,冬,春の順に高くなり,また彩度は秋に最も高く,夏,春の順に彩度が低くなるといえる.これは,夏から秋にかけて日焼けするために肌色が黒っぽくなり,その後,冬から春にかけて,日焼けがとれていくため,肌色が白っぽくなることを示すものと思われる.また,肌色の色相については,秋に最も黄味を帯び,夏,春の順に赤味を帯びるものといえる.本研究にあたり,種々のご教示とご便宜を賜わりました本学家政科長広正義教授,ならびに実験にご協力いただいな本学大ロキミヨ助手,小島十九子助手,太田洋子助手および被験者としてご協力いただいた学生各位にあつくお礼申し上げます.(なお,この論文は昭和44年10月4日第20回日本家政学会総会において発表したものである.)