著者
郡司 敦子 木本 統 小出 ひとみ 村上 洋 朱 一慶 多々 納賞子 島 由樹 河相 安彦 小林 喜平
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.45-51, 2007-05-31 (Released:2010-07-21)
参考文献数
23

目的: 総義歯患者において, 旧義歯から新義歯へ移行することにより生じる, 食生活および栄養状況の変化を検討すること.方法: 被験者は, 2004年3月から2005年11月までに日本大学松戸歯学部付属病院を受診した新義歯作製希望の無歯顎患者のうち, 本研究の内容と目的を説明し, 書面による同意の得られた30名とした.間食を含む3日間の食事記録とデジタルカメラにて撮影された食事写真をもとに, 管理栄養士が被験者からの聞き取り調査を行い, 栄養充足率の算出を行った.さらに平井の方法に準じ摂取可能食品質問表から咀嚼スコアーを算出した.統計分析は旧義歯と新義歯間の平均値の差をRepeated measureANOVAにて行った.有意水準は0.05とした.結果: 旧義歯, 新義歯における, エネルギーおよび栄養充足率は, 大部分が100%を超えていた.しかしながら, 旧義歯群と新義歯群の間に統計的有意差は認められなかった.旧義歯における咀嚼スコアーは58.3±19.9を示し, 新義歯では66.1±18.5を示した.新義歯の咀嚼スコアーは旧義歯の咀嚼スコアーに比べ有意に増加した.結論: 新義歯を装着することにより, 被験者自身の咀嚼に関する評価は向上するものの, 旧義歯および新義歯使用時における被験者の栄養充足率は正常範囲であり, 両者間に差は認められなかった.
著者
郡司 敦子 木本 統
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

歯科医療従事者は、総義歯装着者の食生活は単純に義歯機能のみに大きく依存すると考えがちである。しかしながら、義歯機能の改善のみでは、食生活や栄養摂取状況の改善をする人は多くはない。本研究では、新義歯作製希望で来院した総義歯患者に、総義歯装着時に食事指導、調理指導をおこなうことで、無歯顎患者の食生活や栄養摂取状況の改善に果たす効果について検討を加えた。その結果、食事指導を行うことで被験者の食事の種類が増える傾向にあった。