著者
久田 嘉章 野田 五十樹 松井 宏樹 久保 智弘 大貝 彰 村上 正浩 座間 信作 遠藤 真 柴山 明寛 市居 嗣之 関澤 愛 末松 孝司 山田 武志
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.130-147, 2009
被引用文献数
1

本研究では、震災直後を想定し、地域住民と自治体との協働による速やかな被害情報の収集・共有を可能とする体制作りを行い、「まちなか発災対応型訓練」(町内に被災状況を模擬的に構築して行なう発災対応型訓練)を活用した震災対応力の向上と同時に、住民・自治体間の情報共有を可能とする防災訓練を実施した。協力頂いたのは愛知県豊橋市であり、住民・市職員による協働体制を構築するために、地域点検マップを作成する防災ワークショップと防災訓練を行なう活動を2005~2006年に実施した。地域点検マップによって地域の地震防災上の現況を把握し、実状に即した発災対応型の防災訓練を企画した。さらに防災訓練では、まず住民による「まちなか発災対応型訓練」を行い、その後で校区の避難所を拠点として地域被災マップを作成し、市の災害対策本部へ速やかに伝送した。一方、対策本部では市全域の被災像を把握し、延焼・避難・交通シミュレーション結果などから住民へ避難勧告の発令など、重要な情報を市から住民に伝達する訓練を行った。さらに自治体担当者を主とする訓練参加者にアンケート及びヒアリング調査を実施し、協働体制および訓練の有効性と今後の課題を確認した。