著者
和田 哲也 関澤 愛
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.31-40, 2016 (Released:2018-02-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

高層ビルで大規模火災が発生した場合には,原則として全館避難が必要とされる。その全館避難の手法は,一斉避難と順次避難の二通りに大別される。 本研究では,高層ビルの避難誘導計画担当者および避難訓練参加者を対象に全館避難に関する二つのアンケート調査を実施した。その結果,避難階段内の混雑軽減および避難者の心理的負荷軽減の観点から,順次避難は一斉避難よりも有用な避難手法であることがわかった。また,高層ビルで順次避難を実施する際の避難フェーズ毎の最適な待機時間および避難対象階を算出する手法を開発した。この手法により,階段内の混雑を軽減できるばかりでなく,火災危険の高い階にいる在館者を優先的に避難させることができる。
著者
久田 嘉章 野田 五十樹 松井 宏樹 久保 智弘 大貝 彰 村上 正浩 座間 信作 遠藤 真 柴山 明寛 市居 嗣之 関澤 愛 末松 孝司 山田 武志
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.130-147, 2009
被引用文献数
1

本研究では、震災直後を想定し、地域住民と自治体との協働による速やかな被害情報の収集・共有を可能とする体制作りを行い、「まちなか発災対応型訓練」(町内に被災状況を模擬的に構築して行なう発災対応型訓練)を活用した震災対応力の向上と同時に、住民・自治体間の情報共有を可能とする防災訓練を実施した。協力頂いたのは愛知県豊橋市であり、住民・市職員による協働体制を構築するために、地域点検マップを作成する防災ワークショップと防災訓練を行なう活動を2005~2006年に実施した。地域点検マップによって地域の地震防災上の現況を把握し、実状に即した発災対応型の防災訓練を企画した。さらに防災訓練では、まず住民による「まちなか発災対応型訓練」を行い、その後で校区の避難所を拠点として地域被災マップを作成し、市の災害対策本部へ速やかに伝送した。一方、対策本部では市全域の被災像を把握し、延焼・避難・交通シミュレーション結果などから住民へ避難勧告の発令など、重要な情報を市から住民に伝達する訓練を行った。さらに自治体担当者を主とする訓練参加者にアンケート及びヒアリング調査を実施し、協働体制および訓練の有効性と今後の課題を確認した。
著者
松山 賢 宇山 研 佐々木 史彰 荻野 薫 名川 良春 関澤 愛
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-7, 2013

前報に引き続き,日本の生活環境下におけるRIP シガレットの効果を検証することを目的とし,長期間の使用により高い詰物密度となった所謂せんべい布団,および敷布団と掛け布団(または枕)のへり部を模した条件で,通常シガレットとRIPシガレットによる布団くん焼継続頻度の比較を行った。両者いずれの条件においても,くん焼の継続有無は通常およびRIPシガレットの差異に依存するとはいえなかった。一方で,詰物および側地素材,被覆有無,圧縮有無,シガレット設置条件の違いは,くん焼継続有無に影響を与え,とりわけ詰物素材の綿混紡割合がくん焼継続有無に影響することが明らかになった。