- 著者
-
柴山 明寛
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
- 巻号頁・発行日
- pp.100115, 2016 (Released:2016-11-09)
2011年3月11日発生した東日本大震災で得られた知見や経験を,後世に語り継ぐことで,今後の防災・減災対応・対策を向上させ,今後発生する大規模自然災害の被害軽減に繋がることは明白である.しかしながら,未曾有の大災害となった東日本大震災では,直接的な被害だけでも東日本全域に拡がり,間接被害を含めると日本のみならず全世界規模に影響を与え,本震災で得られた災害に対する知見や経験は膨大である.この膨大の知見や経験を収集し,後世へ残すことが重要な課題となる.そして,単純に震災の知見や経験を記録して残すだけなく,震災記録を教訓として解釈し,被災地の復旧・復興および今後の防災・減災活動に利活用することが重要となる.そこで,東日本大震災の発生直後から数多く団体が震災記録の収集を開始し,震災から5年が経過した現在では,数十の団体が震災記録をWeb上で公開を行っている.その中のひとつの機関として,著者が行っている東北大学の東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」も含まれている. 本稿では,東日本大震災が発生してから5年が経過した現在までの様々な機関・団体が構築した震災アーカイブの動向や特徴について述べた.次に,東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」の概要及び活動状況に着いて述べた.最後に,震災アーカイブの問題点として,震災記録の整理方法及び位置情報を含むメタデータの重要性について述べた.