- 著者
-
末永 智一
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2007
本研究の目的は, 「細胞の新規パターンニング法, 分離, 捕捉法を確立する」ことにある. 本年度は, 遺伝子組み換え細胞, バイオ微粒子を用いて, 誘電泳動による細胞捕捉と細胞アレイの作製, 捕捉された細胞の機能評価, 異種細胞のパターンニング等に関しても検討した.・単一細胞アレイの作製 : 誘電泳動により個々の微小ウェル中への細胞の捕捉することによる細胞アレイの構築に関して検討を行った. その結果, 直径30μm, 深さ25μmのウエルアレイを利用し, 1MHz, 3Vppの交流電圧を印加することにより, 効率的に単一細胞(HeLa細胞)ウエル中に捕捉することができ, 細胞アレイを構築できることが明らかとなった.・捕捉された細胞の活性評価 : 分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)をレポーター遺伝子として組み込んだHeLa細胞を作製し, 上記手法により誘電泳動により単一細胞アレイパターンを作製した. 発現したSEAP活性を電気化学顕微鏡により評価したところ, 単一細胞レベルでは遺伝子発現効率に大きな不均一性が認められた.・異種細胞のパターンニング : 誘電泳動パターニングデバイスを用いて細胞のパターニングを行なった. 本デバイスの利用により細胞に大きな損傷を与えることなく, 5分という極めて短時間に細胞をラインアンドスペース状に配列できることを明らかにした. さらにこのデバイスを利用することで, 異種細胞の異所領域へのパターニングが行なえることが明らかとなった.・バイオ微粒子のパターンニングと応用 : ITOマイクロアレイ電極上での誘電泳動を利用し、抗体固定化微粒子を抗体が固定されたPDMS表面の特性部分に集積させた. 集積化した微粒子量を蛍光計測することにより. マウスIgGを0.01ng/mLと高感度でしかも迅速に検出することに成功した. この手法を利用することにより, 各種細胞が混合した液から特定の細胞を分離できると考えている.