著者
里見 進 末永 智一 藤盛 啓成 後藤 昌史
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究により、複数の微小組織サンプルの呼吸活性指数を15分以内に高精度で計測できる臨床応用可能なシステムを構築することに成功した。開発したシステムを活用することにより、糖負荷前後における分離膵島の呼吸活性の変動指数が移植後の膵島グラフト機能と有意に相関し、有用な移植前評価法となり得ることが判明した。さらに本システムは、新規膵島分離酵素剤や新規膵島培養デバイスの構築に極めて有用であることも明らかとなった。
著者
鈴木 雅登 安川 智之 珠玖 仁 末永 智一
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1189-1195, 2005-12-05
被引用文献数
2 10

微生物の膜損傷に起因した生死状態に基づき分離が可能なチップデバイスを作製した.微生物に作用する誘電泳動力の差を利用し, 生菌の捕捉(そく)と膜損傷を与えた菌の排出を行った.微生物分離チップは凹凸を有するバンドを配列させたcastellated型の透明電極(ITO)基板, 直線流路パターン(幅2mm, 長さ35mm)を有したシリコンスペーサ, 入口と出口を備えたアクリル板から構成されている.無処理の大腸菌と熱処理した大腸菌をLive/Dead蛍光染色し, 200mMスクロース水溶液中に混合させた.大腸菌を流量440μm/sでチップへ導入し, 挙動を蛍光顕微鏡で観察した.ITO基板に正弦波(100kHz, 20 Vpeak-peak)を印加すると, 大腸菌に正の誘電泳動が作用し電極間に捕捉された.周波数を7MHzに切り替えると, 死んでいる大腸菌への正の誘電泳動力が弱まり, 電極から解放されチップから排出された.このチップを利用すると簡便で迅速な大腸菌の生死分離ができる.
著者
末永 智一
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は, 「細胞の新規パターンニング法, 分離, 捕捉法を確立する」ことにある. 本年度は, 遺伝子組み換え細胞, バイオ微粒子を用いて, 誘電泳動による細胞捕捉と細胞アレイの作製, 捕捉された細胞の機能評価, 異種細胞のパターンニング等に関しても検討した.・単一細胞アレイの作製 : 誘電泳動により個々の微小ウェル中への細胞の捕捉することによる細胞アレイの構築に関して検討を行った. その結果, 直径30μm, 深さ25μmのウエルアレイを利用し, 1MHz, 3Vppの交流電圧を印加することにより, 効率的に単一細胞(HeLa細胞)ウエル中に捕捉することができ, 細胞アレイを構築できることが明らかとなった.・捕捉された細胞の活性評価 : 分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)をレポーター遺伝子として組み込んだHeLa細胞を作製し, 上記手法により誘電泳動により単一細胞アレイパターンを作製した. 発現したSEAP活性を電気化学顕微鏡により評価したところ, 単一細胞レベルでは遺伝子発現効率に大きな不均一性が認められた.・異種細胞のパターンニング : 誘電泳動パターニングデバイスを用いて細胞のパターニングを行なった. 本デバイスの利用により細胞に大きな損傷を与えることなく, 5分という極めて短時間に細胞をラインアンドスペース状に配列できることを明らかにした. さらにこのデバイスを利用することで, 異種細胞の異所領域へのパターニングが行なえることが明らかとなった.・バイオ微粒子のパターンニングと応用 : ITOマイクロアレイ電極上での誘電泳動を利用し、抗体固定化微粒子を抗体が固定されたPDMS表面の特性部分に集積させた. 集積化した微粒子量を蛍光計測することにより. マウスIgGを0.01ng/mLと高感度でしかも迅速に検出することに成功した. この手法を利用することにより, 各種細胞が混合した液から特定の細胞を分離できると考えている.