著者
Oko Bernard Flannan Daniel SHIYAM John Okokoh ENEJI Anthony Egrinya 本名 俊正 山本 定博
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.167-170, 2000-09-01
被引用文献数
1

本研究は, ナイジェリア南東部の湿潤熱帯地域(年間降雨量2,000mm, 気温23〜33℃)に位置するカラバー大学内の農場で3種類の低木樹種(Enterolobium cyclocarpum, Dialium guianense, Sesbania macrantha ; 0.5×3m間隔)の違いが.間作した調理用バナナ(Musa spp.), ササゲ(Vigna unguiculata)およびトウモロコシ(Zea mays)の生長と収量に及ぼす影響を評価した.間作物の生育量と収量および低木樹種の生長率とバイオマス量を測定した.繁茂性の低木樹種であるE.cyclocarpumのバイオマス量は17.3t/haで最も高かった.一方, 生長が早いマメ科のS.macranthaのバイオマス量は11.9t/ha, 生長が遅いマメ科のD.guianenseのバイオマス量は7.4t/haであった.低木樹種による間作物の収量を比較すると, E.cyclocarpumを低木樹種とした時, 調理用バナナの生長が促進され, 収量が高くなった.一方, S.macranthaを低木樹種とした時, 調理用バナナの収量が9%低下した.また, ササゲの収量は低木樹下で高くなった.それに対してトウモロコシの収量は低下した.生育初期の低木樹種との効果的な間作は調理用バナナおよびササゲとの間作組み合わせであった.
著者
秋友 勝 本名 俊正 増永 二之 藤山 英保
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.269-274, 2007-06-05
被引用文献数
1

熔成微量要素複合肥料(FTE)の長期連用試験を実施し,その施肥効果や利用率,土壌への蓄積経過,ホウ素の残効,無施用で栽培を続けた場合のホウ素欠乏の発生程度などについて検討した.1)FTE区では作物が健全に生育し,ホウ素の過不足とみられる症状は発現しなかった.無施用区では,試験開始から2〜4年目以降,ほとんどの作物でホウ素欠乏症状が発生した.このためFTE区の収量は無施用区をつねに上回った.2)FTE区の熱水可溶性ホウ素含有率は,3種類の土壌ともに10年間は0.6mg kg^<-1>前後で推移し,その後やや上昇し,淡色黒ボク土と普通黒ボク土では1.0mg kg^<-1>前後,陸成未熟土では0.8mg kg^<-1>前後で推移した.土壌および作物中ホウ素含有率の推移より,施肥ホウ素が土壌中に過剰蓄積する傾向は認められなかった.3)土壌の熱水可溶性ホウ素含有率の推移は,雨量とそれに伴う溶脱量との関連性が示唆され,ホウ素肥料の施肥にあたっては当該地域の雨量を考慮する必要がある.4)FTEの連用を中止すると,土壌の熱水可溶性ホウ素含有率は,はじめ数年間は急速に低下し,その後は徐々に低下する傾向を示した.セルリー茎葉中ホウ素含有率は,FTEの連用中止から4〜5年後には無施用区とほぼ同じ濃度まで低下した.長期間ホウ素肥料を施用した場合でもそのホウ素の残効は数年間と考えられた.5)FTEを16年間連用した場合の施肥ホウ素利用率は,淡色黒ボク土で9.9%,普通黒ボク土で10.6%,陸成未熟土で8.2%であった.普通黒ボク土の20年間連用では13.5%であった.
著者
定本 裕明 飯村 康二 本名 俊正 山本 定博
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.645-653, 1994-12-05
被引用文献数
26

McLAREN らの方法とこれを一部改良した方法とを比較検討し,汚染,非汚染各種土壌中の銅,亜鉛,カドミウムの形態分布の特性を調べた.結果の概要は次のとおりである.1)有機結合態の抽出方法を検討した結果,原法の0.1M ピロリン産カリウム抽出法では,有機物がほとんど含まれていない黒ボク土下層土と表層土と大差ない抽出量が得られたが,6%過酸化水素で有機物を分解した後,2.5%酢酸で抽出する方法では,下層土における抽出量が著しく低下した.遊離酸化物吸蔵態の抽出については,原法の UV-酸性シュウ酸アンモニウム抽出では赤黄色土で遊離酸化物の還元,抽出が不十分であったが,アスコルビン酸-酸性シュウ酸アンモニウム抽出によれば他の土壌はもちろん,とくに赤黄色土において遊離酸化物吸蔵態の重金属抽出量が著しく増加した. 2)無機結合態や有機結合態の抽出に用いた2.5%酢酸は,ゲータイトおよびギブサイトに吸着された重金属をほぼ全量抽出した. 3)非汚染土壌中において銅は,全体の約半分が残渣が全体の約6割から7割を占めており,続いて遊離酸化物吸蔵態の割合が高い.カドミウムは,同夜亜鉛で少ない交換態,,無機結合態が比較的多く,土壌中のカドミウムの量が植物に吸収されやすい形で存在していることを示した. 4)汚染土壌では各重金属とも非汚染土壌より交換態,無機結合態等の植物に吸収されやすい形態が多く,特に汚染水田のカドミウムは交換態の割合が非常に高く,わずかな汚染でも植物中のカドミウム濃度を増加させる危険性があることが示された.