著者
本多 幸子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.61-73, 2006-12
被引用文献数
1

この論文の主たる目的は、いわゆる熟年期--本論では、「第3ステージ」と呼ぶ--にさしかかった女性の自己実現をもたらす有力な契機ないし活動として、「社会起業」(social enterprise)の可能性(potentialities)を論じることである。 私自身、第3ステージを迎えているが、第2ステージの中途から、約10年にわたって主婦や高齢者層の「デジタル・ディバイドの解消」をミッションとし、そのミッションを出版や講座等の事業によって遂行していく団体を立ち上げ、現在はNPO(特定非営利活動法人)として運営している。その理事長を務めてきた経験からも、第3ステージにおける女性の自己実現の手段としての社会起業に一種の自信と期待を持っている。その自信と期待が独りよがりのものではなく、ある程度の普遍性を持つものであることを、事例調査の結果を踏まえつつ、論証しようとしたのが本論である。
著者
本多 幸子
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.79-90, 2012-03

研究ノート(Note)学説史の中で公共空間といえば、やはりユルゲン・ハーバーマスの公共圏(Öffentlichkeit)を避けて通るわけにはいかない。本論は、ハーバーマスの出世作とも言える『公共性の構造転換』が、英訳ではpublic sphere となっていることに着目し、Öffentlichkeit 概念が包摂する空間性を問うことから出発し、ハーバーマス公共圏論の基本構図に迫った。本論は、まず、ハーバーマスのÖffentlichkeit 概念の特徴について再確認する作業を行い、次いで、古代ギリシアのポリス以降の市民的公共圏の4つの位相を、ハーバーマスのÖffentlichkeit 概念に即しつつ、検討する。