著者
金 テイ実 槻木 瑞生 花井 みわ 朴 仁哲 李 東哲 本田 弘之 永嶋 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

旧満洲・間島(現在の中国東北の延辺朝鮮族自治洲)で盛んに行なわれた日本語教育に関連して日本人である斎藤季治郎、鈴木信太郎、川口卯橘、渡部薫太郎、日高丙子郎、工藤重雄、濱名寛祐、樋口芝巌、安東貞元、山崎慶之助、飯塚政之に焦点に当てて彼等の役割を明らかにし、現在に於いても盛んに行なわれている日本語教育のルーツを明らかにしたものである。
著者
本田 弘之 泉 文明
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

3年間にわたり、5回、のべ3ケ月にわたるフィールドワークをおこなった。フィールドとして選定したのは、中国黒龍江省および遼寧省である。他に対照地域として、吉林省、上海市などでも調査をおこなった。調査の内容は、日本語教育機関における参与観察と日本語教員に対するインタビューである。「満州国」時代、日本語教育は日本人によって、侵略政策の一環としておこなわれた。したがって、1945年以降、日本語教育は一度消滅する。しかし、文化大革命が終了した1980年代はじめ、中国で外国語教育が再開された。朝鮮族の民族中学では、1945年以前に日本語を学んだ人々が教師となり、ふたたび日本語を学びはじめた。日本語と朝鮮語は統語構造が類似しているため、朝鮮族にとって学びやすい言語である。そこで、朝鮮族の人々は、自分たちの民族教育を発展させるために、日本語教育を選択したのである。そして、その日本語教育は、時代とともに、大きく変容してきた。本研究により、いままで日本語教育史研究の空白となっていた、「満州国」における朝鮮人に対する日本語教育と、現在の中国朝鮮族の民族中学における日本語教育の関連性が、はじめて具体的に明らかになった。また、その日本語教育が、どのように変容し、自律していったかを、詳細に明らかにした。また、その調査にフィールドワークとライフヒストリー調査という質的研究法を用い、「学習者の立場から日本語教育史を考える」という新しい発想を具体化することができた。