著者
黒田 航 阿部 慶賀
出版者
杏林大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

H29年度は予備実験を次の要領で実施した.1. 刺激文: 33種類の原典とそれらの変異版を合わせて合計200種種類の刺激文を作成し,それら無作為に20文のセットに10分割し,それぞれのセットには提示順序を無作為化したA, B, C, D版を用意した.33の原典文の作成では,次の4種類の構文パターンP1, P2, P3, P4 と次の11種類の動詞を使った: P1: _-が _-で _-に _-と V-(し)た,P2: _-が _-で _-に _-を V-(し)た,P3: _-が _-で _-を _-に V-(し)た,P4: _-が _-で _-から _-を V-(し)た; V22. 行く,V26. 知る,V40. 教える,V44. 感じる,V131. 探す,V116. 答える,V326. 黙る,V338. 負ける,V377. 伝わる,V1147. 知り+合う,V1197. 感染+する.2. 実験: 東京,岐阜,福岡の三ヶ所で,合計251名の被験者から反応を取得した (東京で93名,岐阜で109名,福岡で49名).その逸脱反応の除去により,有効反応数は216名分となった.容認度評定と同時に次の評定者の社会的属性10個を入手した: A1. 年齢 [数値],A2. 性別 [男/女/その他],A3. 生誕地 [県名のコード],A4. 母語が日本語かどうか [はい/いいえ],A5. 一年より長く国外に住んだ事があるか [はい/いいえ],A6. これまでに学んだ異国語の数 [数値],A7. 異国語を学んだ延べ年数 [数値],A8. 日本語を話さない人と頻繁に接触するか [はい/いいえ/わからない],A9. 1ヵ月に読む本の数 [数値],A10. 教育を受けた年数 [数値].3. 解析結果の報告: 上のデータの解析結果を言語処理学会第24回年次大会で発表した.
著者
大崎 敬子 春木 宏介
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究代表者の大崎はセファランチンのマラリアに対する薬剤排出機能に関して薬剤排出ポンプの相同性に着目し、薬剤排出機構を持つ緑膿菌を用いた実験を行った。結果:セファランチンは緑膿菌のポンプを抑制しなかった。研究分担者の春木の行った主な実験内容および結果は以下のとおりである。1 クロロキン感受性変化とマラリア細胞内への蓄積に関する研究。結果:各種アルカロイドによるマラリアのクロロキン感受性変化とクロロキンの細胞内蓄積は正の相関を示し、クロロキンの作用は薬剤蓄積量に依存することが確認された。2 セファランチン存在下でのマラリア原虫へのクロロキン蓄積の経時間的変化。結果:コントロールに比べ明らかにクロロキンの蓄積量が増加した。3 セファランチン存在下でのマラリア原虫からのクロロキン排出量の経時間的変化。結果:マラリア原虫からのクロロキン排出量はコントロールに比べ明らかに減少した。4 セファランチンの膜電位に対する影響。結果:セファランチンによりマラリア原虫の膜電位はコントロールに比べ低下した。5 これらより膜電位に影響を与える物質としてTTP(tetraphenylphosphonium)を選出して同様の実験を行った。結果:TPPによってセファランチンがマラリア原虫に示した結果と類似した結果が得られた。6:薬剤のスクリーニング結果:既存薬であるH203が抗マラリア作用を示した。まとめ これらの結果よりセファランチンはマラリア原虫からの薬剤排泄を抑制し、蓄積を増加させた。TPPをモデルとした実験より、膜電位変化とクロロキン排出抑制の関連が示唆された。本研究の経過中既存化合物のなかで抗マラリア作用を示す物質を見出した。
著者
石井 晴之 中田 光 田澤 立之 似鳥 俊明 後藤 元 横山 健一 平岡 祥幸
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は高分解能CTのdensitometryを用いて、肺胞蛋白症(PAP)病変のCT値を分析することである。5症例のPAPを対象とし、重症度別に肺全体のCT値や肺volumeを客観的に評価することができた。また継時的変化も含めてPAP病巣を反映するCT値は-850HU~-750HU領域のすりガラス影であること、そしてこの領域でのvolumeは血清KL-6およびCEA値と有意に強い正の相関(0.867, 0.616)をみとめていた。稀少疾患であるPAPの早期診断は困難な場合が多いが、本研究成果はPAP診断アプローチに役立つ情報になると思われる。
著者
高木 眞佐子
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

これまでキャクストン版『イングランド年代記』に書誌学上もっとも近い写本とされてきた、大英図書館所蔵のBL Additional 10099写本の大部分が、実際には印刷本からコピーされた写本と見られる有力な証左を得た。この研究は、カリフォルニア州サンマリノのハンティントン図書館所蔵のHM136写本が、キャクストン版の印刷用原稿である可能性を濃厚に示す証拠を写本上に示したDaniel Wakelinの発見に有力な理論的根拠を与えることになった。結論としてProse Brut研究において100年定説になっていたBL Additional 10099写本の重要性は根底から覆り、HM136の重要性に新しいスポットが当たるようになった。
著者
堀江 重郎
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

Pkd^<-/->マウスにおいて、腎嚢胞形成に関する遺伝子群を包括的に解析する目的で腎嚢胞形成前の胎生14.5日における、野生型およびPkd^<-/->マウスの胎児腎からmRNAを抽出し、約3,000の遺伝子を含むDNAチップで発現遺伝子を検討した。野生型及びPkd^<-/->マウスの胎児腎で3倍以上mRNAの発現が異なった遺伝子は23みられた。Pkd^<-/->マウスで増加していた遺伝子にはPOLD1(DNA polymerase delta catalytic subunit-1)が認められた。Pkd^<-/->マウスで減少していた遺伝子では、apoptosis driving genesとしてのcaspase 1、7、11およびIL-1β、Trancscription factorsであるGATA2、Lbx 1、cell cycle related genesであるjun D1が認められた。以上の結果から腎嚢胞形成には、適切なアポトーシス装置が作動していないこと、細胞周期回転の亢進が関与していることが示唆された。
著者
咸 周完
出版者
杏林大学
雑誌
杏林大学研究報告 教養部門 (ISSN:09166254)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.157-169, 2005-02
著者
中島 剛
出版者
杏林大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

疾病や外傷による脊髄障害後の運動機能回復は、適切かつ効果的なリハビリテーションを行うことが重要である。本研究は、障害後の脳から脊髄への運動系下行路システムの再構築を見据えた、神経リハビリ法の開発を目指す。特に、そのシステムの一部を構成し、脊髄障害後の代償機構の主役となる可能性を秘める「脊髄介在ニューロン」を含む神経ネットワークに焦点を絞り、この神経回路の活動励起とその可塑性を生じさせる方法論について検討することを目的とする。本年度は、その基礎研究として健常成人を対象に、ヒト脊髄介在ニューロンの活動を可視化するための最適刺激パラメータの検討を行った。まず、方法論として、上部頸髄に位置する脊髄介在ニューロンが1.運動野上肢領域から入力を受けること、さらには同じニューロンが、2.末梢性感覚入力を強く受けること、を利用し、組み合わせ刺激(1+2)で誘発筋電図の増強が起こり、これが介在ニューロンの活動を反映すると考えられている(空間的促通法)。そこで、今回は、運動野磁気刺激・末梢神経刺激の刺激間間隔を系統的に変え、誘発筋電図上(上腕二頭筋:BB)に得られる促通条件を検討した。その結果、尺骨神経(刺激強度:運動閾値の約1.0 倍)と運動野磁気刺激(運動閾値付近)の同時刺激による促通効果は、その刺激間間隔が7.5ミリ秒付近から観察され、10ミリ秒で最大となった。よって両刺激による神経伝導時間等を考慮すると、脊髄内、特に前運動ニューロンレベルにおいて空間的促通が生じている可能性が考えられる。また、この効果は、BBと手指筋の共収縮が重要であった。これらの結果は、ヒト間接的皮質脊髄路を効率よく賦活させるために重要な基礎データであり、今後これらのパラメータを用い、繰り返しの連発刺激によって当該神経機構に可塑的変化を引き起こす予定である。
著者
渋谷 賢
出版者
杏林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

標的(ターゲット)に向けて腕を伸ばす到達運動が空間的注意に及ぼす影響を調べた.到達運動中に標的が左右に不意に移動した場合,素早い修正運動が引き起こされたが,この潜時は腕と対側半空間に標的が移動した方が同側半空間よりも早く,最終的な到達位置も正確であった.この非対称性は,運動空間と視覚空間を乖離させたバーチャル環境下でも観察されたが,特に腕の動きが視覚空間に見えていることが重要であった.さらに,実際の到達運動のみならず,他者が到達運動を行っている映像を観察する際にも,空間的注意が実際の到達運動と同様に変化することを発見した.
著者
加賀谷 聡子 中島 恵美子
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、虚血性心疾患患者のセルフマネジメント教育プログラムの開発に向けて、病気に対するリスク認識とセルフマネジメントの現状について明らかにし、更に語りの影響と教育プログラム導入の可能性を検討することを目的とした。虚血性心疾患患者4名に対し半構成面接を行い、質的帰納的に分析した。分析の結果、リスク認識は【自分なりに病気体験の意味づけをする】などの5カテゴリーが、セルフマネジメントは【セルフマネジメントの困難感】など3カテゴリーが抽出された。また、面接後に対象者は気持ちの変化について語っており、語りを教育プログラムに取り入れることでセルフマネジメントが促される可能性が示唆された。
著者
大野 秀樹 木崎 節子 櫻井 拓也 小笠原 準悦
出版者
杏林大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

マクロファージに発現する時計遺伝子のRev-erbαをマクロファージ細胞株に過剰発現させた結果、Ccl2の発現誘導が抑制され、接着能や遊走能が低下した。さらに、Rev-erbαはCcl2プロモーターの結合領域に直接作用し、転写抑制因子として機能していることを見出した。すなわち、マクロファージにおいてRev-erbαは炎症性ケモカインの1つである単球走化性因子(Ccl2)の発現調節を介して、炎症性機能を修飾することを明らかにした。
著者
蒲生 忍 柳澤 厚生
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

終末期における医療の選択は患者と医療者の両者にとり非常に重要な問題である。米国においては、選択は患者の「自律尊重」が重視されるが、本研究では患者と医療者の共同のツールである「事前計画Advanced Care Planning」としての「医師による延命治療指示書POLST」について調査した。また、自律を強く求める人々の終末期の医療選択の一つとして、オレゴン州に続いて2008年11月にワシントン州で尊厳死法が制定され、発効した。ワシントン大学の医療提供者を中心に直接面談して、その制定の背景について調査した。
著者
本田 弘之 泉 文明
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

3年間にわたり、5回、のべ3ケ月にわたるフィールドワークをおこなった。フィールドとして選定したのは、中国黒龍江省および遼寧省である。他に対照地域として、吉林省、上海市などでも調査をおこなった。調査の内容は、日本語教育機関における参与観察と日本語教員に対するインタビューである。「満州国」時代、日本語教育は日本人によって、侵略政策の一環としておこなわれた。したがって、1945年以降、日本語教育は一度消滅する。しかし、文化大革命が終了した1980年代はじめ、中国で外国語教育が再開された。朝鮮族の民族中学では、1945年以前に日本語を学んだ人々が教師となり、ふたたび日本語を学びはじめた。日本語と朝鮮語は統語構造が類似しているため、朝鮮族にとって学びやすい言語である。そこで、朝鮮族の人々は、自分たちの民族教育を発展させるために、日本語教育を選択したのである。そして、その日本語教育は、時代とともに、大きく変容してきた。本研究により、いままで日本語教育史研究の空白となっていた、「満州国」における朝鮮人に対する日本語教育と、現在の中国朝鮮族の民族中学における日本語教育の関連性が、はじめて具体的に明らかになった。また、その日本語教育が、どのように変容し、自律していったかを、詳細に明らかにした。また、その調査にフィールドワークとライフヒストリー調査という質的研究法を用い、「学習者の立場から日本語教育史を考える」という新しい発想を具体化することができた。
著者
中村 幸雄
出版者
杏林大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

重症排卵障害による不妊症例に対しゴナドトロピン(hMG)律動的皮下投与法による排卵誘発を試み、その有効性、低多胎発生率や排卵機序を解明した。従来の連日筋注法より高い排卵率、妊娠率が得られ、副作用の一つである多胎発生も認められなかった。低多胎発生率の理由として律動的皮下投与法では複数個の卵胞が発育しても実際に破裂する卵胞が少数のため多胎発生が少ないものと考えられた。また多嚢胞性卵巣症候群ではゴナドトロピン療法中に卵巣過剰刺激症候群(OMSS)を発生しやすいが、その機序としてLFSH比の高値が考えられた。GnRHアゴニストを併用することによりLH/FSH比が有意に低下し、OHSSの予防が可能であった。hMG律動的皮下投与法に妊娠した18症例の着床-非着床期間の血中ホルモン動態を詳細に比較解析し、妊娠成立のための至適内分泌環境、特に黄体機能についても検討を加えた。着床においてはP,E_2の高値ではなく、P/E_2値が重要な意義をもっており、黄体期初期から中期におけるP/E_2比の高値症例で妊娠成立の可能性が高いと考えられた。また連日筋中法ではpremature luteinizationやpremature LH riseが高頻度に出現し、妊娠成立に悪影響を及ぼすとされているが、律動的皮下投与法でもそれらは高頻度(40〜50%)に出現した。しかし着床、非着床期間にその出現頻度とパターンに差違が認められなかったことより、妊娠成立の予後を左右する因子とは成り得ないことが確認された。以上の3年間の研究成果より、hMG律動的皮下投与法は高い排卵率や妊娠率、低多胎発生、重篤なOHSSの防止などの優れた排卵誘発法であり、重傷排卵障害患者に対して有効な治療法として臨床的意義をもつものと考えられた。
著者
大野 秀樹 木崎 節子 櫻井 拓也 小笠原 準悦
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

運動トレーニングは脂肪組織への炎症性マクロファージの誘導に対する抑制作用があり、肥満における慢性炎症状態を改善する効果が認められた。一方、高脂肪食により腹腔マクロファージ・Toll様受容体2の発現が上昇し、炎症反応が増強することが示された。加えて、マクロファージにおいて抗炎症作用を示すghrelinが肥満によって減少するが、運動トレーニングにはghrelinを増加し炎症反応を抑制する効果があることが示唆された。
著者
大野 秀樹 木崎 節子 櫻井 拓也 木崎 節子 櫻井 拓也 小笠原 準悦
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

運動トレーニングは、内臓脂肪の酸化ストレスと、マクロファージ関連の炎症性アディポカインの発現を減少させた。酸化ストレスの低下は、抗酸化酵素の上昇によっていた。さらに、運動トレーニングはマクロファージによる細胞性免疫反応を増強し、一酸化窒素産生能を亢進して、感染防御能を高めることが示唆された。脂肪組織に対する効果は、皮下脂肪よりも内臓脂肪に強く現れる事実は、運動トレーニングが生活習慣病の予防・治療に有用であることを示唆する。