著者
本田 新九郎 富岡 展也 木村 尚亮 大澤 隆治 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1472-1483, 1998-05-15
被引用文献数
17

本稿では,3次元返想空間を利用した在宅勤務環境を提供する仮想オフィスシステムValentineについて述べる.Valentineは,地理的に分散したユーザをネットワーク上に仮想的に構築したオフィスに出勤させ,そこで他のメンバの雰囲気・気配を伝達し,コミュニケーションを支援するシステムである.物理的なオフィスは存在せず,ユーザはすべて仮想オフィスに通うことを想定している.遠隔地にいる他の社員の気配を伝達するために,「周辺視ビュー」および「効果音」を実現し,アウェアネスの提供を行った.またアウェアネスの過度な提供が効率的な個人作業の妨げとなることから,ユーザの「集中度」を定義し,集中度に応じたアウェアネス提供環境を実現した.集中度は「キーボード,マウスの利用頻度」「椅子を動かす頻度」という2つの要素からシステムで自動検出され,作業環境に反映される.評価実験を行った結果,気配の伝達および集中度に応じた環境の提供について,良好な結果を得た.In this paper,we describe a virtual office system named Valentine that provides a "work-at-home" environment based on 3D virtual space.Users can go to the virtual office built on network virtually,feel the existence of each other,and communicate with each other by using Valentine.We assume that we have no physical office and all members go to the virtual office.In order to transmit the feeling of other members' presence at the virtual office,we have realized "Around View" and "Sound Effect" for supporting awareness in Valentine.On the other hand,for avoiding too much awareness information that bothers workers,we have defined "degree of concentration" and provided appropriate office environment to workers according to their state.The degree of concentration is automatically detected from two elements "the frequency of key stroke and mouse use" and "the frequency of rotating a chair".The system evaluation demonstrated that we have gained a better result on transmitting the presence and providing an environment according to the degree of concentration.
著者
重野 寛 本田 新九郎 大澤隆治 永野 豊 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1922-1932, 2001-07-15
被引用文献数
19

本稿では,3次元仮想空間をより実感することを可能にする仮想空間システムFriend Parkについて述べる.Friend Parkは3DCGで構築された空間や物体を特徴付ける香りをユーザに提供することや,ユーザが自然な振舞いで利用することのできる入力インタフェースによって,仮想空間の実感を高めるシステムである.人間の五感のうち嗅覚においては,他の感覚器では得ることのできない情報を取得し,物事を実感するうえでその効果は大きいと考えられる.そこで,仮想空間内の嗅覚情報を表現するために,「アロマ」という概念,およびアロマの伝達される範囲を表した「アロマオーラ」を定義し,アロマオーラ内にいるユーザにアロマの伝達を行った.実際に香りを発生させる方法としては,コンピュータ制御可能な芳香発生装置を利用し,香りの発生を行った.また,より自然な振舞いで利用できる入力インタフェースを実現するため,人間の「息を吹きかける」という動作に注目し,専用の風力センサを作成した.ユーザ側にはデバイスによる負荷を与えたり,過度に意識させることなく,ディスプレイに表示されている仮想空間において,息を吹きかけるという動作による直接的なオブジェクトの操作を可能にした.評価を行った結果,香りの伝達および風力センサを利用した入力インタフェースによる仮想空間の実感について,良好な結果を得た.In this paper,we describe a 3D virtual space system named ``Frien Park'' that gives users a more definite sense of reality.Users can get riality by using Friend Park taht provides the information of the sence of smell in virtual space and the input device which user can use by the natural behavior.Human percept the important infomation through tne sense of smell that cannot be perceiced through other senses.So we propose the general idea of ``Aroma'', the area of ``aroma aura''. and the method of transmitting the actual smell from a virtual space to real world.By entering the aroma aura, the user can attain the aroma.In addition, to perform a natural way of input in virtual space,we focused on the action of ``blowing''.we propose the techniqu of operating the virtual object by blowing onto the screen and measuring a force of the wind with a special device.we design a special device that can set below the display,thus the user can naturally make direct input without being too aware of the device.The system evaluation demonstrated that we have gained a better result on transmitting olfactory infomation,input device, and whether users can get riality by them.
著者
本田 新九郎 富岡 展也 木村 尚亮 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.1454-1464, 1997-07-15
被引用文献数
8

本稿では,在宅勤務の問題点である,コミュニケーションの機会の減少からくる個人の心理負担,社会からの疎外感を解消した仮想オフィスシステムについて述べる.システムでは,オフィス内での自然なインフォーマルコミュニケーションの実現のために,コミュニケーションの支援技術であるアウェアネスの概念を発展させた「位置アウェアネス」を考慮した.位置アウェアネスの実現に際しては,3次元仮想空間内に社員の座席を設けた「大部屋メタファ」に基づく仮想オフィスを構築した.このことにより,これまで考えられていなかったコミュニケーションの空間依存性を考慮したより自然なインフォーマルコミュニケーションが実現された.また「アウェアネススペース」という新たな概念の導入により,コミュニケーション空間とパーソナルスペースの確保の両立をはかった.個室ベースのシステムとの比較による評価から,在宅勤務における問題点解消について良好な結果を得た.In this paper,we describe a virtual office system that dissolves the estrangement feeling of home-office workers,which comes from less opportunity of communication.In order to realize a natural informal communication in the virtual office,the system has considered the new awareness concept "Position Awareness".We have realized the "Position Awareness" by building a virtual office based on the "Shared-Room-Metaphor" on a 3D graphics workstation.By doing this,the system enabled more natural informal communication that depends on the positional relationship.And also by introducing the new concept of "Awareness Space",both the facility of communication and personal space was made compatible.By comparing with the result of the system based on the private room,we have gained a better result on solving the problem of home-office.
著者
本田 新九郎 富岡 展也 木村 尚亮 大澤 隆治 岡田 謙一 松下 温
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1472-1483, 1998-05-15

本稿では,3次元返想空間を利用した在宅勤務環境を提供する仮想オフィスシステムValentineについて述べる.Valentineは,地理的に分散したユーザをネットワーク上に仮想的に構築したオフィスに出勤させ,そこで他のメンバの雰囲気・気配を伝達し,コミュニケーションを支援するシステムである.物理的なオフィスは存在せず,ユーザはすべて仮想オフィスに通うことを想定している.遠隔地にいる他の社員の気配を伝達するために,「周辺視ビュー」および「効果音」を実現し,アウェアネスの提供を行った.またアウェアネスの過度な提供が効率的な個人作業の妨げとなることから,ユーザの「集中度」を定義し,集中度に応じたアウェアネス提供環境を実現した.集中度は「キーボード,マウスの利用頻度」「椅子を動かす頻度」という2つの要素からシステムで自動検出され,作業環境に反映される.評価実験を行った結果,気配の伝達および集中度に応じた環境の提供について,良好な結果を得た.
著者
本田 新九郎 富岡 展也 木村 尚亮 岡田 謙一 松下 温
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.1454-1464, 1997-07-15

本稿では,在宅勤務の問題点である,コミュニケーションの機会の減少からくる個人の心理負担,社会からの疎外感を解消した仮想オフィスシステムについて述べる.システムでは,オフィス内での自然なインフォーマルコミュニケーションの実現のために,コミュニケーションの支援技術であるアウェアネスの概念を発展させた「位置アウェアネス」を考慮した.位置アウェアネスの実現に際しては,3次元仮想空間内に社員の座席を設けた「大部屋メタファ」に基づく仮想オフィスを構築した.このことにより,これまで考えられていなかったコミュニケーションの空間依存性を考慮したより自然なインフォーマルコミュニケーションが実現された.また「アウェアネススペース」という新たな概念の導入により,コミュニケーション空間とパーソナルスペースの確保の両立をはかった.個室ベースのシステムとの比較による評価から,在宅勤務における問題点解消について良好な結果を得た.
著者
本田 新九郎 河内 清人 木村 尚亮 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.59, pp.37-42, 1996-06-07
被引用文献数
4

本稿では,大部屋のインフォーマルコミュニケーションの形態がメンバの空間的配置に関係していることに着目し,大部屋オフィス特有の発話モデルを提案した.またそのモデルに基づいて実装した,大部屋仮想オフィスDOOS(istributed Oriental Office Syste)について述べる.DOOSでは,これまで在宅勤務者が感じていた疎外感を減少するため,これまで個室ベースであった仮想オフィスに大部屋を導入し,メンバの空間的配置を考慮する(メンバに仮想的な座席を提供する)ことにより,他のメンバの存在を感じさせ,大部屋特有のインフォーマルコミュニケーションを実現している.In this paper, we propose an informal communication model in a shared space viewing that there is a close connection between the informal communication in a shared room and members' spacial positions. Based on this model, we realized a shared room like virtual office environment named DOOS(Distributed Oriental Office System) instead of former systems based on individual rooms for each member. DOOS aims to reduce the member's alienation, and to realize informal communication which is peculiar to a shared room, considering members' spacial position(provide flxed seat arrangement for members) in a virtual environment.
著者
太田 憲治 本田 新九郎 大澤 隆治 永野 豊 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.7, pp.61-66, 1999-01-25
被引用文献数
2

本稿では、仮想空間、並びに仮想空間上のオブジェクトの実感をより高める手法を紹介する。コンピュータネットワーク上に3DCGを利用した仮想空間を構築し、仮想空間上での活動、遠隔地にいる他者とのコミュニケーションが可能な場を提供する研究が盛んに行われており、我々も在宅勤務を支援するための仮想オフィスシステム"Valentine"の研究を行ってきた。しかし現在の仮想空間においては、画面を見ることによって情報を得ることがほとんどであり、得られる情報も現実世界で得られる情報と比較するとごくわずかである。また現実世界と仮想空間における行動はほとんどの場合異なっている。この現実世界と仮想空間との差が、仮想空間に対する実感の妨げになっていると考えられる。そこでValentineでは、ユーザの身振り情報をアバタに反映させることによりノンバーバル情報の伝達を行い、握手デバイスを用いた仮想握手を実現した。また、風力測定デバイスを作成し、画面上に息を吹きかけることによって仮想空罰上のオブジェクトを操作することを可能にした。In this paper, we propose the new technique which can let us realize a virtual space and object further. Now many researchers have constructed 3D virtual space, in which people can take a walk, do shopping, communicated with distributed members and so on. We also have built a virtual office system "Valentine" which supports home office workers. However in many systems users get almost all information only by watching picture, and it is much less than in the real world. There are many obvious differences between the action in the real world and the virtual space in most case. we can consider that those differences prevent us from realizing the virtual space. So in our office system we transmit "non-verbal information" by letting the avator reflect user's state and action, and realize "virtual handshake" by using the handshake device. We also make device that measures the strength of the wind. This makes it possible that users can handle objects in the virtual space by only blowing it.