著者
明石 博臣 吉川 泰弘 本藤 良 森川 茂 遠矢 幸伸 久和 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

研究実績計画に基づき以下の研究を実施した。1)エボラウイルスおよびBウイルス研究エボラウイルスについては、核蛋白を安定的に発現するHeLa細胞を用いた蛍光抗体法とバキュロウイルス発現抗原を用いたELISAによる抗体検出法を確立した。この結果、霊長目の抗体調査が可能であった。Bウイルスについては、組換え抗原を用いてヒトヘルペスウイルスとの鑑別法が確立され、霊長目におけるBウイルス特異的抗体検出を行うことが可能となった。2)翼手目の免疫系解析抗コウモリIgG血清を用いたELISAの手法を開発した。この抗コウモリIgG血清は大翼手亜目、小翼手亜目ともに95%以上の高い交差性を示した。また、オオコウモリのCD4、IgFcRnについて蛋白コード領域を決定した。さらに、IFN-αの1subtypeとIFN-βのprotein cording regionの塩基配列を同定した。3)翼手目のウイルス病抗体検索法2)で確立したELISAを用いて、わが国でコウモリから分離されたヨコセウイルスの抗体調査を行ったところ、東南アジアのコウモリ血清151例中フィリッピンの1例(2.7%)、マレーシアの5例(19%)が陽性であった。陽性率が低かったため、ヨコセウイルスのコウモリに対する病原性を検討する目的で、ルーセットオオコウモリに実験感染を行った。ウイルス感染は成立したが、コウモリ体内での増殖性は悪く、ヨコセウイルスの自然宿主としてコウモリ以外の生物の存在が示唆された。
著者
川名 尚 井上 栄 山口 宣生 吉川 裕之 加藤 賢朗 白水 健士 本藤 良
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.単純ヘルペスウイルス(HSV)のPCR法による検出 昨年度に確立したPCR法を用いて臨床検体からのHSVゲノムの検出を試みた。臨床検体は、女性性器より採取した。外陰や子宮頸部から綿棒にて擦過して得たものを、培養液にてすすぎ検体とした。これらを遠心後、上清を培養R-66細胞に接種してウイルスの分離を行った。沈澱よりDNAを抽出し、PCR法にてHSVゲノムの検出を行った。分離されたウイルスは、螢光標識マウスモノクローナル抗体を用いて固定と型の決定を行った。 臨床検体の検討に先き立ち、新鮮分離株 HSV-1 50株、HSV-2 34株の計84株についてPCR法を用いて検討した結果、全例に陽性所見を得た。また、型分けについても100%一致した。以上より、このPCRの系は、本部で分離されるHSVの株は、1型、2型共にほとんど検出できることが判明した。臨床検体は、妊婦、性器ヘルペスなどから得られた94例について検討した。1型分離陽性が5例、2型分離陽性が13例であった。これらについて、PCR法を行った所、1型につては5例全例、2型については、9例(69%)に陽性所見が得られた。 一方、分離陰性の76例中8例(11%)に陽性所見が得られた。分離陽性でPCR法陰性になった例は、ウイルスDNAが十分とれてなかった可能性が考えられる。一方、分離が陰性でもPCR法が陽性であることからPCR法の方が感度がより良い可能性が示された。2.ヒトパピローマウイルス(HPV)のPCR法による検出 昨年度確立したコンセンサスプライマーを用いる性器に感染するHPVの検出法を外陰部や子宮頸部の病孝に応用し、本法の高い感度と特異性が証明された。