著者
吉川 泰弘
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.613-621, 2006-10-15 (Released:2011-05-24)

:主な人獣共通感染症は700種類以上を数え,中でも結核は重要であり,結核を含む抗酸菌症は霊長類や反笏動物に多い。結核菌の自然宿主はヒトであるが,牛型結核菌や非結核性抗酸菌なども含めて多くの動物は抗酸菌に感受性が高い。また,最近のわが国のペットブームによりヒトと動物の間での再帰感染例が増加し,動物園動物における抗酸菌症の発生も見られている。動物の国際取引も増加しており,動物由来の感染症や食品に関する国際基準は1927年に設立された国際獣疫事務局(OIE)が決定している。加盟国はその基準に拘束されるが,わが国は比較的良好にコントロールされており,乳牛での牛型結核の発生はほとんどなく,実験用の輸入サルでも人型結核の報告は少ない。しかし,結核予防法が感染症法に統合される予想の下,動物における抗酸菌症の届け出や非汚染証明書の発行などの範囲等は検討すべき課題であり,獣医のみならず医師もこの問題に関心を持つ必要がある。
著者
吉川 泰弘 久和 茂 中山 裕之 局 博一 西原 眞杉 寺尾 恵治 土井 邦雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2002

研究目的:内分泌撹乱化学物質の神経発達に対する影響の研究は比較的新しく、まだ遺伝子レベルや個体レベルの影響評価がランダムに報告されているに過ぎない。特にげっ歯類から霊長類にわたる一貫性のあるリスク評価研究はほとんど行われていない。本研究ではラット、サル類、チンパンジーの個体を用いて環境化学物質代謝のヒトへの外挿を行う。またラット胎児、げっ歯類・霊長類の神経培養、マウス・サル類のES細胞などを用いて、さまざまなレベルで環境化学物質の影響を解析する。高等動物の比較生物学を得意とする獣医学領域の研究者が研究成果を帰納的に統合しヒトへの外挿を行い、内分泌撹乱化学物質の神経発達に対するリスク評価をすることを目的とした。研究の経過と成果ラットを用いたビスフェノールA(BPA),ノニルフェノールなどのエストロゲン様作用物質、及び神経発達に必須の甲状腺ホルモンを阻害するポリ塩化ビフェニール(PCB),チアマゾール、アミオダロンなどをもちいて神経発達への影響を評価した。主として神経行動学的評価を中心にリスク評価を行い、その結果を公表した。また齧歯類を用いた評価を行うとともにヒトに近縁なサル類も対象に研究を進めた。その結果、(1)齧歯類は神経回路が極めて未熟な状態で生まれるのに対し、霊長類の神経系は胎児期に充分に発達すること、(2)BPAや甲状腺ホルモンの代謝が齧歯類とサル類では著しく異なること、(3)妊娠のステージにより、BPAの胎児移行・中枢神経への暴露量が異なることが明らかになり、齧歯類のデータを単純に、ヒトを含む霊長類に外挿することは危険であることが示唆された。サル類を用いたリスク評価ではアカゲザルでダイオキシン投与により、新生児の社会行動に異常が見られること、BPA投与では暴露された次世代オスのみがメスの行動を示す、いわゆる性同一性障害のような行動を示すこと、甲状腺ホルモンの阻害作用を示すチアマゾールでは著しい神経細胞の減少と分化の遅延が起こること、PCBの高濃度暴露個体から生まれた次世代では高次認知機能に低下傾向が見られることなどの、新しい研究結果を得た。
著者
吉川 泰弘 稲葉 睦 浅井 史敏 尾崎 博 遠藤 大二 澁谷 泉 山下 和人 北川 均 新井 敏郎 高井 伸二 杉山 誠 上地 正実 鎌田 寛
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

わが国の全16獣医系大学における参加型実習に入る段階の学生の質を全国一定水準に確保することを目的とし、知識を評価するCBT (Computer-Based Testing)と技能と態度を評価するOSCE (Objective Structured Clinical Examination)の二つからなる獣医学共用試験について、CBT問題作成システム、問題精選システム、問題出題システム、評価システムを開発し、平成25年と26年に渡り、16大学を対象としてCBTトライアルを実施した。同時に、OSCE試験の態度と技能を確認する医療面接試験並びに実地試験を開発した。
著者
久和 茂 谷口 怜 水谷 哲也 吉川 泰弘 明石 博臣 宇根 有美 前田 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

翼手目(コウモリ類)は生物学的多様性とその分布・移動域の広さ、巨大なコロニー形成などの特徴をもつ特異な生物である。また、エボラウイルスなどの高病原性病原体の自然宿主と疑われており、病原体レゼルボアとして高いリスクをもつ。本研究はフィリピンにおいて翼手目の保有病原体の疫学調査を実施し、翼手目の人獣共通感染症のレゼルボアとしての評価を行うことを目的とした。ミンダナオ島、ルソン島中央部、ルソン島北西部においてそれぞれ捕獲調査を行い、合計266匹の翼手目を採取した。これらのサンプルより新規のレオウイルス、ハンタウイルスを見出し、さらに病原性細菌や原虫を保有していることも明らかにした。
著者
落合-大平 知美 倉島 治 長谷川 寿一 平井 百樹 松沢 哲郎 吉川 泰弘
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第22回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.85, 2006 (Released:2007-02-14)

大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)および旧ナショナルバイオリソースプロジェクト・チンパンジーフィージビリティスタディでは、国内で飼育されている大型類人猿の基本情報を収集および公開するとともに、廃棄される遺体の有効利用など、非侵襲的な方法での研究利用の推進をおこない、飼育動物の生活の質(QOL)の向上などにつながる研究の促進と、その研究成果のフィードバックに取り組んできた。本発表では、大型類人猿を飼育する36施設を実際に訪問しておこなわれたヒアリングと、社団法人日本動物園水族館協会(2004年6月2日現在、国内の91の動物園と69の水族館が加盟)によりまとめられた血統登録書や過去の文献などから、大型類人猿の日本での飼育の歴史についてまとめたので報告する。 日本の大型類人猿の飼育の歴史は、江戸時代である1792年にオランウータン(Pongo pygmaeusもしくはPongo abelii)が長崎の出島に輸入されたのが最初である。1898年には上野動物園でオランウータンが、1927年には天王寺動物園でチンパンジー(Pan troglodytes)が展示されている。ゴリラ(Gorilla gorilla)がやってきたのは、戦後の1954年であり、移動動物園で展示された。1950年以降は日本各地に動物園が設立され、1980年に日本がCITESを批准するまで、ボノボ(Pan paniscus)を含むたくさんの大型類人猿が輸入されている。近年は、チンパンジーが56施設352個体(2005年12月31日現在)、ゴリラが11施設29個体(2005年9月30日現在)、オランウータンが24施設53個体(2004年12月31日現在)飼育されているが、亜種問題や血縁関係の偏りなどが明らかになっており、遺伝的多様性を確保したままの個体数の維持が課題となっている。
著者
高須 俊明 WAGUR M.A. YASMEEN Akba SHAHANA U.Ka AKRAM D.S. AHKTAR Ahmed 五十嵐 章 上村 清 土井 陸雄 石井 慶蔵 磯村 思无 吉川 泰弘 山内 一也 近藤 喜代太郎 SHAHANA Kazmi U. AKHANI Yasmeen AHMED Akhtar M.A.WAQUR SHAHANA U Ka D.S.AKRAM 橋本 信夫 高島 郁夫 WAQUR Anwar AKBANI Yasme AHMED Akhtar
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

1 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)多発の動向と原因(1)多発の動向:(i)パキスタンのカラチではなお(1991〜93年)SSPEの多発が続いており、カラチ市民病院では3年間に総計36例(毎年9〜16例)が登録された(人口100万対年間1.3)。そのうち36%は2歳未満罹患麻疹(early measles)から、64%は2歳以上罹患麻疹(late measles)からの発生であった(高須)。麻疹罹患者のSSPEの罹患率は10万対22、early measles 罹患者からは10万対22、late measles罹患者からは10万対21となり、late measles罹患者からの発生が多い傾向が続いている(高須)。(ii)麻疹の発生は減少傾向にあり、1978年には15歳未満人口10万対2888であったのが、1987年には15歳未満人口10対380であった。カラチにおける地域調査では麻疹流行期には麻疹罹患年齢が高年齢側に広がり、非流行期の麻疹では比較的低年齢層に罹患年齢が集中する傾向がみられた(磯村)。麻疹ワクチンの普及は進みつつありカラチの調査地域では15歳未満児で66%、5歳未満児では82%に達しているが、臨床的有効率は比較的低く(76%)、ワクチン接種者で麻疹未罹患である児の中和抗体保有率は75%に留まっていた(磯村)。以上のように多発はなお続いているが、麻疹ワクチンの普及、麻疹発生の減少に伴なってSSPEが果して、いつごろから減少し始めるかに強い関心が持たれる。(2)多発の原因:(i)ケースコントロールスタディでは妊娠母体の異常および分娩時の合併症、新生児期の異常、early measlesおよびSSPE発病前の疾患罹患がリスクファクターと考えられた(近藤)。(ii)カラチの小児の免疫能の検査によって、麻疹ウイルスと他の病原微生物の混合感染の頻度が高く、免疫系の初期発達に対する過度の負担のため麻疹合併症や麻疹ウイルスの持続感染が成立する可能性の高い低生活環境レベルの小児が多く存在すること、および種々の病原微生物との接触機会が少なく、免疫系の発達が不十分なままlate measlesに罹患した場合ある種の接続感染が成立する可能性が考えられる高生活環境レベルの小児が存在することの両方がカラチにおけるSSPE多発の要因である可能性が示唆された(吉川、寺尾)。(iii)麻疹ウイルスの遺伝子変異が持続感染の可能性を高めたり持続感染後のSSPE発病を促進したりする可能性が考えられるが、これらは今後実証されるべき課題として残っている。このように多発の原因には生活環境のレベルが関与している可能性が強くなってきたと考えられるが、なお今後SSPE多発とのつながりを解明して行く必要があり、麻疹ウイルスの遺伝子変異と共に大いに興味が持たれる。(3)その他:(i)インド亜大陸のいくつかの地域(ボンベイ、バンガロール、ベロール、マドラス)では一つの病院で毎年5〜36名のSSPE患者の新患があり、多発を推測させる(高須)。(ii)タイの疾患サーベイランス制度はそれなりに機能しており、特に下のレベルほど統計が生きており、事務的な保健統計よりもはるかによく活用されていることがわかった。パキスタンのシンド州の調査により、疾患サ-ベラインス制度を樹立する可能性について肯定的な結果が得られた(近藤)。2 日本脳炎(JE)様脳炎の病原(i)1992年に採取した急性脳炎髄液からPCR法により24検体中それぞれ8検体、1検体に西ナイルウイルス、JEウイルスの核酸塩基配列を検出した。IgM-ELISAでも1989〜92年に集めた39髄液検体のうち7検体で両ウイルスに対する抗体が陽性であり、9検体は西ナイルウイルスにのみ陽性であった。これらの結果から、カラチでは1989年以後の急性脳炎の病原として西ナイルウイルスが重要な役割を果しているが、JEウイルスも急性脳炎の病原の小部分となっていることが示唆された(五十嵐)。(ii)1990〜92年にカラチとカラチから87kmの所にあるハレジ湖岸の野外で採集したコダタイエカ118、756匹(779プール)からの西ナイルウイルス、JEウイルス分離は陰性であった。このことは急性脳炎の病原となるウイルスがカラチおよび周辺地域に常在はしないことを意味するものと考えられた(上村)。以上のようにカラチのJE様脳炎の病原の本態がようやく明らかになってきたが、今後ウイルス分離によって知見をより確実なものにする必要がある。
著者
小田切 敬子 浜野 政章 吉川 泰弘
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.595-601, 1999-06-25

リスザルは神経研究や認知科学において最もよく利用されてきた実験用霊長類の1種である.従って,リスザルの習性や行動を詳細に知ることは,中枢神経系の退行や,機能障害を判定するのに有効である.本研究では,リスザルがウズラのゆで卵を取ってから食べるまでの一連の摂食行動(Eating series: ES)について観察し,連鎖の解析をした.実験1では72匹のリスザルの,のべ378回のESについて解析した結果,3通りの統計学的に有意な推移パターンが見られた.実験2では,8匹のリスザルを無作為に選びだし,各個体につき31〜36回のESについて解析した.その結果,リスザルはウズラの卵を押すまたはこするという動作を示すPr/Ruグループとそうでないno-Pr/Ruグループとに分けられた.また,Pr/Ruグループの中でも,常にこの動作を示す個体とそうでない個体とがいた.このことからリスザルは実験室内で各個体に特徴的なESを獲得し,発達させてきたことが推察された.
著者
Sinchaisri Tip-Aksorn 永田 伴子 吉川 泰弘 甲斐 知恵子 山内 一也
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.409-416, 1992-06-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
9 12

狂犬病ウイルスCVS株を, 脳内, 眼球内, 鼻腔内, 筋肉内, 皮下それぞれの経路でマウスに接種した後, 中枢神経系におけるウイルスの広がりをアビジン-ビオチン複合体(ABC)法を用いた免疫化学的および病理組織学的手法によって経時的に検索した. 脳内接種と眼球内投与群でのみマウスは致死性感染を生じたので, この2経路において詳細な検討を行った. 脳内接種マウスでは, ウイルス抗原は主に大脳皮質の神経細胞, 錐体細胞, 海馬の顆粒細胞に認められた. 眼球内接種マウスにおいては, 最初に三叉神経節に検出され, 続いて大脳皮質と小脳に広がっていく傾向が観察された. 海馬で眼球内接種の初期では極く僅かの細胞に抗原が認められたのみであった. いずれの経路においても感染マウスの中枢神経系には炎症像もNegri小体も認められなかった. この結果から, 死に至る運動失調や衰弱といった臨床症状は, 炎症反応によるものではなく, ウイルスの神経系機能への直接的な影響に起因することが示唆された. また, 通常の病理組織学的検査や海馬のスタンプ標本の蛍光抗体法では狂犬病の同定ができない症例が存在する可能性が示唆され, 狂犬病を疑われて早期に死亡した患者や屠殺された動物などの検査には, ABC法が有用であると考えられた.
著者
吉川 泰弘 長谷川 寿一 赤見 理恵 落合 知美 倉島 治 斎藤 成也 数藤 由美子 高見 一利
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.20, pp.vi, 2004

「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」は、その前身である「チンパンジー研究利用に関するフィージビリティースタディ(ナショナルバイオリソースプロジェクトの一環)」が培ってきた大型類人猿由来の研究リソース配分ネットワークとその理念を引き継ぎ、動物園などの飼育施設や研究者とのネットワークの拡大、大型類人猿死亡時のリソース分配をおこなってきた。本集会では、GAINがおこなってきた調査(研究リソースのニーズ調査、国内飼育下大型類人猿の飼育状況調査など)の結果や、リソース配分の具体例などについて報告したい。またGAINをとりまく様々な立場(資源の利用者側、飼育施設側など)からの話題提供も予定している。そのうえで、大型類人猿研究の現状と将来展望、資源配布を中心とする研究支援システムの問題点やこれからの展開について検討したい。
著者
明石 博臣 吉川 泰弘 本藤 良 森川 茂 遠矢 幸伸 久和 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

研究実績計画に基づき以下の研究を実施した。1)エボラウイルスおよびBウイルス研究エボラウイルスについては、核蛋白を安定的に発現するHeLa細胞を用いた蛍光抗体法とバキュロウイルス発現抗原を用いたELISAによる抗体検出法を確立した。この結果、霊長目の抗体調査が可能であった。Bウイルスについては、組換え抗原を用いてヒトヘルペスウイルスとの鑑別法が確立され、霊長目におけるBウイルス特異的抗体検出を行うことが可能となった。2)翼手目の免疫系解析抗コウモリIgG血清を用いたELISAの手法を開発した。この抗コウモリIgG血清は大翼手亜目、小翼手亜目ともに95%以上の高い交差性を示した。また、オオコウモリのCD4、IgFcRnについて蛋白コード領域を決定した。さらに、IFN-αの1subtypeとIFN-βのprotein cording regionの塩基配列を同定した。3)翼手目のウイルス病抗体検索法2)で確立したELISAを用いて、わが国でコウモリから分離されたヨコセウイルスの抗体調査を行ったところ、東南アジアのコウモリ血清151例中フィリッピンの1例(2.7%)、マレーシアの5例(19%)が陽性であった。陽性率が低かったため、ヨコセウイルスのコウモリに対する病原性を検討する目的で、ルーセットオオコウモリに実験感染を行った。ウイルス感染は成立したが、コウモリ体内での増殖性は悪く、ヨコセウイルスの自然宿主としてコウモリ以外の生物の存在が示唆された。
著者
吉川 泰弘 阿部 孝章 平井 康幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_416-I_420, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

The tsunami of 2011 Tohoku Pacific-Coast Earthquake broke river-ice, and generated ice jam in Hokkaido, Japan. This study aimed to clarify the phenomenon of ice jam generated by tsunami in ice covered river. We built the river-ice calculation model. In order to check the accuracy of this calculation model, we conducted ice jam experiment and a calculation value reproduced an experiment value. We understood that it was important to set up "the conditions to generate of ice jam" and "the allowable stress of river-ice" appropriately in this calculation model. This following phenomenon was found by Simulation of Ice Jam. At the time of tsunami intrusion to ice-covered river, River-ice was destroyed and moved to the upstream. River-ice was deposited in narrow river-width. Ice jam was generated at this point.
著者
阿部 孝章 佐藤 好茂 船木 淳悟 吉川 泰弘 中津川 誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_1004-I_1011, 2015

本稿では北海道でも人口が低平地に密集する釧路市を対象地域とし,河川周辺域における自治体等行政の減災対策を支援する手法の開発を目的として検討を実施した.まず,波源域から河道域までの津波解析を簡易に実施可能な一連のモデル開発を行い,実際に発生した津波波源モデルのパラメータ及び河川流量を変化させた解析を行い,各構造物が受ける津波外力を評価した.次に,北海道庁により検討が行われた最大クラスの津波のデータを用いて地盤沈下量を変化させた解析を行い,上水道や下水処理施設等に対する津波外力を評価した.その結果,津波の規模と河川流量,地盤変化量の条件次第では,施設の被災可能性は変化する可能性がある事が分かった.複数の津波想定を事前に行っておくことで河川管理者や自治体の減災支援となる可能性が示された.
著者
吉川 泰弘 阿部 孝章 平井 康幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_416-I_420, 2012
被引用文献数
3

The tsunami of 2011 Tohoku Pacific-Coast Earthquake broke river-ice, and generated ice jam in Hokkaido, Japan. This study aimed to clarify the phenomenon of ice jam generated by tsunami in ice covered river. We built the river-ice calculation model. In order to check the accuracy of this calculation model, we conducted ice jam experiment and a calculation value reproduced an experiment value. We understood that it was important to set up "the conditions to generate of ice jam" and "the allowable stress of river-ice" appropriately in this calculation model. This following phenomenon was found by Simulation of Ice Jam. At the time of tsunami intrusion to ice-covered river, River-ice was destroyed and moved to the upstream. River-ice was deposited in narrow river-width. Ice jam was generated at this point.
著者
吉川 泰弘 黒田 保孝 橋場 雅弘 入交 泰文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_1327-I_1332, 2015 (Released:2016-01-29)
参考文献数
22
被引用文献数
1

The aim of this study was to clarify the frazil slush generation mechanism on ice-covered rivers. This study developed a frazil slush generation calculation model which targeted skim ice, frazil ice, snow fall and anchor ice. The input values for this model were air temperature, wind velocity, sunshine duration, snow-fall depth, water depth of river, flow velocity of river and latitude. We carried out field observations at a location where frazil slush floats on the water surface, recording data with a camera. It was shown that the calculation model generated by this study can reproduce the frazil slush generation of the real river. It was also found that rising air temperature, an increase in frazil slush thickness and falling upstream water levels are important factors in predicting the occurrence of water intake blockage caused by frazil slush.
著者
柳井 徳磨 杉山 誠 平田 暁大 酒井 洋樹 柵木 利昭 吉川 泰弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2003-03-01
参考文献数
43
被引用文献数
1

動物園動物および野生動物の感染症をモニターすることは,動物の損失を食止めるために極めて重要であり,野生動物の保護管理,家畜衛生,人獣共通感染症の防止に大きく寄与する。そのため,我々は野生動物の疾病コントロールに有用な最新の情報を共有する目的で,ワークショップ「動物園および野生動物の感染症2002」を企画し,情報交換を試みた。今回,現在,最も緊急性の高い感染症,あるいは注意を喚起したい感染症として,動物園動物におけるクラミジア症(鳥類,ヘラジカ),サル類におけるエルシニア症,爬虫類におけるクリプトスポリジウム症および動物園および野生動物における海綿状脳症について取り上げた。その他,今後,我が国で問題になりうる幾つかの感染症についても概説した。動物園動物および野生動物の感染症コントロールを目的とした野生動物医学会内でのネットワーク形成,さらに公的な野生動物感染症研究センターの設立が望まれる。
著者
佐藤 好茂 阿部 孝章 稲垣 尚人 吉川 泰弘 船木 淳悟 SATO Yoshishige ABE Takaaki INAGAKI Naoto YOSHIKAWA Yasuhiro FUNAKI Jyungo
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.205-210, 2015-06

When the river tsunami occurs in the winter period, the operation of the gutter sluice gate can beprohibited by the influence of the drifting and jamming of ice floes, increasing the inundation risk insidethe levee. Therefore, secure sluice gate operations are required against tsunami run-up during the icecoveredperiod. In this paper, demonstration experiments are performed in the Aikoku sluice gate of theShinkushiro-river, showing the effectiveness of ice control measures using submerged pumps. The fieldtest presented that submerged pumps inhibited ice formation within a radius of about 2~2.5 meters aroundthe installation location. In addition, numerical ice-thickness estimation showed that the methodguaranteed the ice control effect up to the thickness of 0.63 m. Based on these results, the applicability ofthe method is further investigated in other rivers around the coast of eastern Hokkaido. This papersucceeded in showing the effectiveness of our novel ice control measure for actual rivers.
著者
高須 俊明 高島 郁夫 上村 清 橋本 信夫 高橋 三雄 土井 陸雄 五十嵐 章 ANWAR Wagar 石井 慶蔵 磯村 思〓 吉川 泰弘 山内 一也 近藤 喜代太郎 YASMEEN Akba MUBINA Agbor AKRAM D.S. SHAISTA Rauf AKHTAR Ahmed AKBANI Yasmeen AGBOATWALLA Mubina AHMED Akhtar RAUF Shaista WAQAR Anwar
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

研究代表者らは、昭和57年度以後の調査研究で、カラチでは亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発生頻度が日本や欧米の大多数国に比べ数十倍以上高く、また血清学的にみて日本脳炎(JE)が疑われる患者が発生していることを知った。この事実に立脚して、今回SSPE多発の要因解析とJE様脳炎の病原研究に取り組んだ。成果の概況としては亜急性硬化性全脳炎(SSPE)については著しい進展があり、特にSSPEおよび麻疹の疫学やウイルス学での成果が目立っている。しかし、日本脳炎(JE)様脳炎については目立った進展は得られなかった。1.パキスタンにおけるSSPE多発の要因解析SSPEは麻疹ウイルスが個体に持続感染している間に生じた変異株が遅発性に脳を侵して起こる疾患である。今回の研究で、パキスタンにおけるその多発の要因は、以下の点でかなり明らかになった。(1)疫学的成果:SSPE患者の麻疹罹患年齢がパキスタンでは日本や欧米の大多数国と異なりearly measles(EM;2歳未満罹患麻疹)0.353、late measles(LM;2歳以上罹患麻疹)のうち5歳未満罹患麻疹(LM5>)0.340、5歳以上罹患麻疹(LM5≦)0.307(いずれも全measlesに対する比率)とLMが大多数を占めているという事実が判明した。これに基づき麻疹罹患年齢層別に計算されたパキスタンにおける麻疹罹患者からのSSPEの発生率は、EMからは308.1×10^<-6>、LM5>からは197.4×10^<-6>、LM5≦からは585.2×10^<-6>、麻疹罹患者全体からは280.2×10^<-6>と推定され、いずれも日本におけるそれぞれの数値に比べ高く、特にLM5>は46倍、LM5≦は296倍と著しく高いことがわかった。一般人口からの麻疹発生率のパキスタン対日本比は麻疹罹患年齢で層別しても高々2倍に留まる。したがって、パキスタンにおけるSSPE多発の最大の理由は、麻疹罹患者からのSSPEの多発、特にlate measlesからの多発にあると考えられた。[高須]第2に、SSPEのcase control studyの結果、患児は対照に比べて生下時体重が低く、出生後頭部外傷やけいれんに罹患している頻度が高い傾向がみられたことから、麻疹罹患前および後の環境因子がSSPEの発生に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された
著者
加藤 茂孝 吉川 泰弘 海野 幸子
出版者
国立予防衛生研究所
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

風疹ウイルスは先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす原因ウイルスであるが、この風疹ウイルスの病原性と流行様式との解析を目的として、我が国を含むアジア地域における分離ウイルス株の遺伝子RNAの塩基配列を比較し、分子疫学的研究を行った。RNAの中のE1翻訳領域1443塩基を含む1484塩基を主な対象として、塩基配列を決定した。使用したウイルス株は15株あり、日本12株(1960年代5株、1990年前後7株)、香港2株(1980年代)、中国1株(1980年)である。分析の結果(1)1960年代の日本においては、少なくとも3グループのウイルス株が同時に平行して流行していたと思われた。3グループは、それぞれ西日本、中日本、東日本の3地域に対応していた。(2)1990年頃の日本においては、1960年代とは異なったグループの株が全国的に1グループで流行していた。(3)中国大陸の株は、日本の株とは別のグループに属すると思われる。その中では、中国株と香港の1株との間に強い近縁関係が見られた。(4)弱毒化した日本のワクチン3株においてその原株との比較ができたが、弱毒化に共通した変異は、見られなかった。弱毒化に関与する部位が株毎に異なるのか、または、E1以外の他の領域が関与しているのか、の何れかであると思われた。(5)CRS患者からの分離株においては、同じグループに属していても変異数が多いという傾向があり、持続感染による影響があった可能性が考えられた。