著者
若林 昌子 杉光 一成
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.19-35, 2016 (Released:2019-05-25)
参考文献数
21

試験問題公開の是非の判断については,特に公的試験においては様々な考えがあり,試験に関わる立場や試験に対する価値観の違いを考慮して議論されることはあまりなかった.本研究では,わが国の公的試験の例として,情報公開制度において試験問題を対象とした複数の事例について調査し,俯瞰して考察することにより,試験問題公開の判断基準を得ることを目的とした.その結果,次の5つの観点が得られた. 1) 過去の試験問題の公開を透明性確保の必要条件とするかどうか,(2) 将来の試験のために,過去の試験問題を再利用するかどうか,(3) 過去の試験問題を活用した試験対策を許容するかどうか,(4) 新しい試験問題を開発するための労力増加を受容するかどうか,(5) 過去の試験問題の情報を管理しているかどうか.これらの観点においては,試験に関わる立場や試験に対する価値観の違いによって判断が異なっていることから,試験問題公開の判断基準になると考えられた.
著者
杉光 一成
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.282-291, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

「IPランドスケープ」という単語が注目されている。しかし,この語の意味するところについては論者によって「ずれ」があり,既存概念との違いも不明確である。この点,本語の「定義」について網羅的な調査を行った先行研究あるいは文献は見当たらない。そこで,IPランドスケープの今後の研究発展に資することを目的として,文献データベースを使ってその用例等について網羅的な調査を行った。その結果を踏まえてIPランドスケープの標準的な定義を示し,既存概念との違いを明確化した。