- 著者
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杉山 博之
須田 義大
- 出版者
- 一般社団法人 日本機械学会
- 雑誌
- Dynamics & Design Conference
- 巻号頁・発行日
- vol.2006, pp._204-1_-_204-6_, 2006
次世代のマルチボディ動力学解析において期待される非線形有限要素法との連成問題,つまり,剛体,柔軟体および大変形柔軟体がジョイント拘束を介して連成した多体拘束系動力学問題の効率的な数値定式化手法の開発が活発に行われている.特に,マルチボディ計算アルゴリズムにて用いられる非増分型アルゴリズムに基づく非線形有限要素法, Absolute nodal coordinate formulationがShabanaによって提案されており,大変形柔軟体を含むマルチボデイシステムの拘束系動力学解析に適用されている.しかしながら,本定式化の曲がり梁としての特性に関してはほとんど報告されていない.また,既存の3次元Absolute nodal coordinate formulation梁要素では,体積要素としてGreen-Lagrangeのひずみテンソルから弾性力を導出しているため,せん断変形および断面変形に起因したロッキングが発生する.特に,梁が初期形状において曲率を有する曲がり梁においては,ロッキングの影響が顕著となり精度の低下を招く.本論文では,図A1に示すような大変形柔軟マルチボディ解析における曲がり梁の新たな定式化手法を提案した.曲がり梁の軸曲線に沿ったひずみ成分を,基準および変形後の配置に対する変位勾配変換と基準配置にて一義的に決定するAlmansiひずみにより表すひずみ式を導出した.また,曲がり梁の回転ひずみ成分を曲率/ねじりテンソルにより定義することにより,既存の定式化にて問題となる体積要素として導出される曲げひずみ成分の精度低下を回避した.さらに,せん断ロッキングをHellinger-Reissner混合変分原理を用いて回避し,また断面変形に関してAssumed strain法を用いてメンブレンロッキングを回避して要素精度を向上させた新たな曲がり梁の定式化を示した.図A2に示す梁のロールアップ問題に対する理論解との比較および図A3に示す動的スティフニングに関するベンチマーク問題を用いた要素精度の検証から,大変形曲がり梁を有する機械構造物の工学的動力学問題に対して,提案した手法が有効であることを示した.