著者
加藤 明彦
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.121-124, 2018-09-30 (Released:2018-09-30)
参考文献数
22

【要旨】本邦では,サルコペニアは Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準で,フレイルは J-CHS 基準を用いて診断することが標準的となっている.末梢動脈疾患(PAD)患者は,サルコペニアがあると足病変が進行しやすくなるだけでなく,生命予後や心血管イベント発症とも関連する.同様に,フレイルがあると血管内治療後の成績が悪く,救肢率が低下する.透析患者では,2~3 人に 1 人がサルコペニア・フレイルを合併しており,生命予後や新規入院リスクと関連する,特にサルコペニアの診断項目のうち,握力や歩行速度低下などの身体機能がサルコペニアの転帰と関連する.従って,透析患者のサルコペニア・フレイルを早く気づき,栄養・食事療法や運動介入によって進行を防ぐことが,透析患者の足を守るうえで重要な治療戦略である.
著者
加藤 明彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.349-355, 2022 (Released:2022-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1

透析患者の栄養評価法に関する最近の話題は,Nutritional Risk Index for Japanese Hemodialysis patients(NRI–JH)とGLIM(the Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準である.NRI–JH は日本人血液透析患者向けの新たな栄養指標であり,短期的な生命予後の予測に優れる.一方,GLIM 基準の予後予測能は,透析患者では感度,特異度とも低いため,従来の栄養評価法が優先される.Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)2019 によると,透析患者の27~68%にサルコペニアを合併している.診断項目にある握力および5 回椅子立ち上がりテストのカットオフ値は,予後予測に有用である.透析患者の栄養障害には,経腸栄養剤(oral nutritional supplements:ONS)による経腸栄養が第一選択であり,3 か月以上の継続が勧められる.透析時静脈栄養(intradialytic parenteral nutrition:IDPN)は,少なくともエネルギー≥20 kcal/kg/日,たんぱく質≥0.8 g/kg/日を摂取している透析患者が対象となる.現在,透析患者でも一般用のアミノ酸製剤やキット輸液製剤が使えるため,ONS とIDPN で必要量を確保できない場合には中心静脈栄養を検討する.
著者
糖尿病性腎症合同委員会・糖尿病性腎症病期分類改訂ワーキンググループ 馬場園 哲也 金崎 啓造 宇都宮 一典 古家 大祐 綿田 裕孝 繪本 正憲 川浪 大治 深水 圭 久米 真司 鈴木 芳樹 和田 淳 和田 隆志 岡田 浩一 成田 一衛 小岩 文彦 阿部 雅紀 土谷 健 加藤 明彦 市川 和子 北谷 直美
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.797-805, 2023-11-30 (Released:2023-11-30)
参考文献数
20

わが国では2014年に改訂された糖尿病性腎症病期分類が広く用いられてきた.最近では,高齢化や肥満者の増加,糖尿病や高血圧症に対する新規治療薬の開発などを背景に,糖尿病患者に合併した腎臓病が多様化していることが指摘されている.そこで糖尿病性腎症合同委員会では,腎症病期分類を再度改訂する必要性を検討した.現時点では,アルブミン尿や推算糸球体濾過量に基づく2014年分類を変更する必要性を示唆する新たなエビデンスが発出されていないことから,今回の改訂では2014年分類の基本的な枠組みは変更しないこととした.ただし,日本腎臓学会のCKD重症度分類や国際的な表記との整合性を重視し,病期名を「正常アルブミン尿期(第1期)」,「微量アルブミン尿期(第2期)」,「顕性アルブミン尿期(第3期)」,「GFR高度低下・末期腎不全期(第4期)」,「腎代替療法期(第5期)」へ変更した.

1 0 0 0 OA 4.栄養

著者
加藤 明彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.667-671, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
14
著者
照井 充 福田 勇夫 加藤 明彦 藤城 恒夫 周 立波 江田 弘
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
茨城講演会講演論文集 : Ibaraki district conference
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.99-100, 2001-09-20

It is experimentally known that the insert tools significantly change in their cutting performances when being subject to an electric field. For example, electrically/magnetically treated inserts show mach longer tool life (average 2 times) than those untreated. This research takes the first step to develop a very low cost system for electrical/magnetic insert treatment, and systematically investigate the electrical effects on the tool performance. A series of cutting tests have been executed to compare the tool performances between the treated/untreated tools. The tool performance has been evaluated from viewpoint of magnetic flux distribution, hardness and flank wear. The ultimate results lead to an analytical conclusion and a principle for tool performance optimization.
著者
加藤 明彦 杉山 博之
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.123, no.2, pp.113-122, 2004 (Released:2004-01-23)
参考文献数
52

AMPA受容体は中枢神経系での興奮性シナプス伝達を司るグルタミン酸受容体の中でも最も中心的な役割を果たす受容体である.ここではAMPA受容体がどのように形成され,シナプス部位に輸送されたのち細胞表面に出現するのか,また記憶や学習の基礎過程であるシナプス可塑性がAMPA受容体の機能発現を介してどのように制御されるのかという問題について,分子レベルでの知見をまとめる.
著者
加藤 明彦 山田 弘之 山田 哲生 石永 一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.45-50, 1997-01-20
参考文献数
9
被引用文献数
12 3

当科において超音波ガイド下吸引細胞診 (FNA) を施行し, 手術により組織学的に確認された甲状腺腫瘍333症例につき検討を行った. 正診率は92.4%, 特異性は100%, 感受性は88.3%であった. またFNA陽性例のうち2回目以降に陽性となった症例が24例 (12.8%) あり, 反復穿刺が重要であると思われた. FNAを手術適応の決定に際し重視することで, 甲状腺手術例における悪性腫瘍の割合が増加し, 不要不急の手術を減少させることが可能になるものと考えられる. 一方, 超音波ガイド下にFNAを行うことで, FNAの診断精度を上げる努力をするとともに, 偽陰性例を見逃さないような総合診断を心がけるべきであると思われた.
著者
加藤 明彦 深山 牧子 稲松 孝思
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.830-834, 1988
被引用文献数
1

肝胆道系由来の<I>K. pneumoniae</I>による転移性全眼球炎2例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. (症例1) 69歳, 女性. 39℃ 台の発熱, 右季肋部不快感にて発症. 第5病日には右眼窩痛, 視力低下が出現した. 眼窩蜂窩織炎にて眼窩内容摘出術を施行. また右季肋部不快感, 軽度のアルカリフォスファターゼ上昇, 画像診断より胆嚢炎と診断し, 胆嚢摘出術を施行した. 眼窩内容, 術中胆汁より<I>K. pneumoniae</I>が検出された. (症例2) 77歳, 女性. 39℃ 台の発熱, 嘔気にて発症.第3病日より左眼痛, 視力低下が出現し, 全眼球炎にて眼窩内ドレナージが施行された.入院後, 画像診断より肝膿瘍と診断し, ドレナージを施行した. 硝子体液, 肝膿瘍より<I>K. pneumoniae</I>が検出された. いずれも血液培養は施行されていないが, 肝胆道系感染に伴う菌血症に続発した全眼球炎であったと思われた. <I>K. pneumoniae</I>による転移性全眼球炎は, 今まで自験例を含め20例報告されている. 感染原発巣としては肝胆道系が15例 (75%) と最も多い. 視力に対する予後は悪く, 16例 (80%) は失明し, 残る4例も視力の著しい低下を残していた. 従って, 原発巣の検索も含め, 早期からの対応が必要と思われた.