著者
杉山 哲男
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2005

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成17年3月25日授与 (甲第3688号)
著者
杉山 哲男 長井 孝一 久田 健一郎 上野 勝美
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度,12年度で合計2回,延べ約50日間,雲南省西部で野外調査を実施し,多くの地質学的新知見を得るとともに,多数の化石,岩石試料を採集した。これまでに明らかになったことを要約すると,1)Baoshan地塊の上部古生界は,温暖な下部石炭系,氷河起源の異常礫(ダイアミタタイト)を含む寒冷な砕屑岩相と浅海-陸上噴出の玄武岩からなる下部ペルム系,温暖だが単純な動物相からなる中部ペルム系から構成されている。2)Baoshan地塊のゴンドワナからの分離は,Woniusi玄武岩の噴出時期に相当し,前期ペルム紀であることを化石によって確認した。3)Baoshan地塊の下部石炭系化石群は,中国南部や西欧の動物群と共通要素を持ち,下部ペルム系には小型単体サンゴなどからなる寒冷な環境に適応しうる動物群が産出する。また,中部ペルム系には温暖なTethys海要素と共通な化石群を含むが,東南アジアのSibumas地塊や東アジアのCimmerian陸塊と共通の化石も多く含まれている。4)これらを総合すると,石炭紀前期には温暖な陸棚浅海に位置していた同地塊は,石炭紀後期にゴンドワナ大陸とともに寒冷化,旋回南下し,ペルム紀前期に寒冷域でリフティングによってゴンドワナから分離北上を開始し,ペルム紀中期には中緯度付近まで北上していたというシナリオが,化石,堆積相からも強く示唆されることが明らかになった。5)西側に隣接するTengchong地塊の上部古生界についても,Baoshan地塊と共通要素を持っていることが明確になった。6)東隣のChangning-Menglian縫合帯には,海山型の炭酸塩buildupsが多数分布しており,今後詳細な検討が不可欠であることが明らかになった。