著者
羽山 裕子 阪本 大輔 山根 崇嘉 三谷 宣仁 杉山 洋行 草塲 新之助
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.55-61, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
33

早期多収で機械化にも適応できるTaturaトレリス樹形を参考にしたV字仕立てのニホンナシ ‘豊水’ において,主枝数および着果量が初期収量および果実品質に及ぼす影響を明らかにした.2本主枝および4本主枝は定植3年目に,6本主枝は定植4年目に樹冠が完成し,いずれの主枝数においても主枝当たり12果を着果させることで定植3年目には3 t・10 a–1以上の収量が得られた.収量は着果量が多いほど多かったが,果実品質は着果量が多いほど果実が小さく,糖度が低くなる傾向であった.また,果実重はいずれの主枝数・着果量区においても平棚仕立ての同樹齢樹や成木樹に比べて小さくなり,糖度は中着果区(主枝当たり12果)で平棚仕立ての成木樹と同等であった.着果位置については,高い位置の果実で収穫が早くなり,果実が小さい傾向であった.定植5年目までのV字仕立てのニホンナシ ‘豊水’ について検討した結果,早期の収量性と果実品質の観点から,主枝数は4本主枝,着果量は主枝当たり12果程度が適していると考えられた.