著者
山根 崇嘉 加藤 淳子 柴山 勝利
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.441-447, 2007 (Released:2007-07-24)
参考文献数
29
被引用文献数
4 3

広島県内各地における‘安芸クイーン’の着色実態と気温との関係を明らかにするため,栽培条件の異なる7園について,ブドウ‘安芸クイーン’の着色実態を2001年に調査した.また,2005年に栽培条件の異なる着色不良園3園において環状はく皮処理および着果量の軽減による着色改善を試みた.着色は園地により大きく異なり,カラーチャート値(0~5段階)で0.2~4.5となった.樹齢や栽培方法が異なったにもかかわらず,着色と糖度および着色開始後8~21日における20~25℃に遭遇した時間との間に有意な正の相関が認められた.また,高温条件下でも着果量を減らし,環状はく皮処理することにより,着色および糖度が向上したが,新梢生育の旺盛な園では,着色改善効果が小さく,気温や糖度以外にも着色阻害要因があることが示唆された.
著者
羽山 裕子 阪本 大輔 山根 崇嘉 三谷 宣仁 杉山 洋行 草塲 新之助
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.55-61, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
33

早期多収で機械化にも適応できるTaturaトレリス樹形を参考にしたV字仕立てのニホンナシ ‘豊水’ において,主枝数および着果量が初期収量および果実品質に及ぼす影響を明らかにした.2本主枝および4本主枝は定植3年目に,6本主枝は定植4年目に樹冠が完成し,いずれの主枝数においても主枝当たり12果を着果させることで定植3年目には3 t・10 a–1以上の収量が得られた.収量は着果量が多いほど多かったが,果実品質は着果量が多いほど果実が小さく,糖度が低くなる傾向であった.また,果実重はいずれの主枝数・着果量区においても平棚仕立ての同樹齢樹や成木樹に比べて小さくなり,糖度は中着果区(主枝当たり12果)で平棚仕立ての成木樹と同等であった.着果位置については,高い位置の果実で収穫が早くなり,果実が小さい傾向であった.定植5年目までのV字仕立てのニホンナシ ‘豊水’ について検討した結果,早期の収量性と果実品質の観点から,主枝数は4本主枝,着果量は主枝当たり12果程度が適していると考えられた.
著者
羽山 裕子 三谷 宣仁 山根 崇嘉 井上 博道 草塲 新之助
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.79-87, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1 9

ニホンナシ ‘あきづき’ および ‘王秋’ の果実に生じるコルク状果肉障害の発生状況について,果実を5 mm厚に薄くスライスして詳細に調査を行い,成熟期や果実品質との関係を解析するとともに,GA処理の影響について調査した.両品種ともにコルクの発生が認められ,‘あきづき’は成熟の遅い果実に発生が多かった.本試験では,‘王秋’は‘あきづき’ほど成熟時期による違いは明確ではなかった.一方,両品種ともに果実重の大きい果実で発生が多く,特に‘あきづき’では大きい果実ほどコルクの個数が増加し,大きいコルクの発生も多くなった.コルクの発生位置は,果実全体に分布していたが,赤道面よりややこうあ部側に最も多く観察された.GA処理は,両品種ともにコルクの発生個数を有意に増加させ,障害程度を重症化させた.ただし,コルクの発生果率には影響を及ぼさなかった.