著者
杉本 崇 高野 陽太郎
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.145-151, 2011
被引用文献数
1

従来アンカリング効果は数的な過程によって起こるとされていたが,近年ではアンカーによって実験参加者の持つ知識が選択的に活性化されるために起こるという意味的過程モデルが提唱されている(Mussweiler & Strack,1999a).この研究では意味的過程モデルの妥当性を検討するために,推論対象の知識が少ないときにアンカリング効果はどのように現れるかを調べた.実験参加者は徳川家康,あるいは徳川家綱の身長についてアンカーを提示された後に値を推測した.意味的過程モデルに基づけば徳川家綱という,実験参加者が非常に乏しい知識しか持ち合わせていないことが予測される人物の場合はアンカリング効果が弱くなることが予想される.しかし,本研究ではそうした結果は観察されなかった.一方,Epley & Gilovich (2006)の提案した歪み値の測定の結果,知識のないときのアンカリング効果には数的な過程が関与していることが示された.
著者
杉本 崇
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.129, 2008 (Released:2008-11-10)

推論の二重プロセス理論の立場から、問題を熟考した際にフレーミング効果が消失するか否かという問題を検討する研究が近年盛んに行われている。しかしその結果は熟考によってフレーミング効果が消失するという結果と熟考はフレーミング効果に影響しないという結果とに大きくばらついており、一致していない。この研究では被験者の熟考の度合いの操作方法として被験者の思考時間の大小という要因を取り上げ、一度短い思考時間で回答した被験者が再度長い時間思考することによってフレーミング効果を克服できるかという問題を検討した。その結果、初めに10秒の回答時間を与えられ、その後10秒で再考する条件ではどちらの回答でも強いフレーミング効果が観察されたが、初めに10秒の回答時間を与えられ、その後五分の再考時間を与えられた条件では初めの回答では強いフレーミング効果が観察されたが、再考した回答ではフレーミング効果は消失した。
著者
杉本 崇 高野 陽太郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.51-60, 2014-08-31 (Released:2014-10-07)
参考文献数
15

従来アンカリング効果は数的な過程によって起こるとされていたが,近年ではアンカーによって実験参加者の持つ知識が選択的に活性化されるために起こるという意味的過程モデルが提唱されている(Mussweiler & Strack,1999a).杉本・高野(2011)では,このモデルを検討するために参加者が非常に乏しい知識しか持ち合わせない対象について推定させたところ,意味的過程によって効果が起こりえないときは数的過程によって効果が起こるというメカニズムが示された.本研究の目的はその「カバー効果」を再検討することである.そのため,「曹操」と「コバール」を推定対象として採用した二つの実験を行った.その結果,双方の実験で「カバー効果」を再現することができた.
著者
杉本 崇 高野 陽太郎
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.51-60, 2014

従来アンカリング効果は数的な過程によって起こるとされていたが,近年ではアンカーによって実験参加者の持つ知識が選択的に活性化されるために起こるという意味的過程モデルが提唱されている(Mussweiler & Strack,1999a).杉本・高野(2011)では,このモデルを検討するために参加者が非常に乏しい知識しか持ち合わせない対象について推定させたところ,意味的過程によって効果が起こりえないときは数的過程によって効果が起こるというメカニズムが示された.本研究の目的はその「カバー効果」を再検討することである.そのため,「曹操」と「コバール」を推定対象として採用した二つの実験を行った.その結果,双方の実験で「カバー効果」を再現することができた.