著者
杉本 香織
出版者
文京学院短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、ヘミングウェイの死後出版作品のマニュスクリプト研究を通じて、遺族や出版社による編纂方法とその問題点を指摘し、ヘミングウェイが生前目指した独自の自伝的アプローチの様相を明らかにした。3年間の研究期間で遂行した作品は、計4作品(『海流の中の島々』『エデンの園』『移動祝祭日』『危険な夏』)。本研究の採択前に研究を終えていた『夜明けの真実』の考察と併せ、最終的にはヘミングウェイの死後出版作品群(長編小説)全体の総括を行った。In this project, I focused on four posthumous works written by Ernest Hemingway : Islands in the Stream, The Garden of Eden, AMoveable Feast and The Dangerous Summer. Based on my research at the Hemingway Collection in Boston, where his original manuscripts are kept, I accomplished two things. First, I defined different editing methods and how they deviated from his original manuscripts by comparing an original manuscript with its corresponding published text. Second, I clarified some of the struggles Hemingway went through when he attempted - and failed - to create a new style of writing auto/biography.
著者
大河内 瞳 菅 智穂 杉本 香
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.225-247, 2022-12-23 (Released:2023-01-29)
参考文献数
31

未就学児の子育てをしながら日本語教育に携わる教師であるという共通点を持つ筆者の私たちは,仕事と子育ての経験に向き合うために,語り聴く場を設けた。そこで自身の経験を語り,他者の経験を聴くことを通して,経験の捉え直しや日本語教師である自分についての理解が促されていった。このプロセスは,日本語教師としての自身のあり方を見出すプロセスであった。本稿では,私たちのうち1名に焦点を当て,彼女が仕事と子育てに関わる経験の見つめ直しから,日本語教師としての自身のあり方を見出していったプロセスを明らかにした。彼女は,「子育て=大変」に反発する思い,同じように反発した20年前の出来事の捉え直しを経て,多様性が普通に存在する社会を作りたい,また学生が自分を理解するのをサポートしたいという思いから,日本語教育の実践において声の獲得を目指していることを見出していったのである。