著者
曽我 倫久人 杉村 芳樹
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.37-40, 2004-01

82歳男.前立腺特異抗原(PSA)が高値のため精査を行い前立腺癌(中分化型腺癌)と診断した.このとき腹部・胸部CTおよび頭部CTにおいて明らかな転移所見は認められず,病期分類T3aN0M0とした.LH-RH analogueによる去勢療法を開始し,PSAは順調に低下していたが,7ヵ月後に突然左側の上下肢脱力感を訴え,頭部CT・MRI所見から多発性脳転移と診断した.転移巣に対して放射線治療を行ったがADLの改善は得られず,前立腺癌の診断から1年1ヵ月後に呼吸不全のため死亡した
著者
坂田 裕子 小倉 友二 脇田 利明 林 宣男 杉村 芳樹
出版者
Study Group of Microwave Surgery
雑誌
Journal of Microwave Surgery (ISSN:09177728)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.157-160, 2003

We performed partial nephrectomy using a microwave tissue coagulator in 4 cases of renal cell carcinoma less than 20 millimeters in diameter. All cases were asymptomatic and the tumor was found incidentally. Tumors were resected using the microwave tissue coagulator at the power of 65W, 30 seconds for coagulation, followed by 15-25 seconds of dissociation. Mean blood loss was 73.3 mL (range : 10-140 mL), and mean operation time was 140 minutes (range : 131-157 min.). The indication in our hospital for partial nephrectomy using the microwave tissue coagulator is solitary tumors of less than 30 millimeters in diameter. We demonstrate the advantages of the non-ischemic procedure especially in intraoperative blood loss and operative time compared with five cases of conventional partial nephrectomy.
著者
石井 健一朗 杉村 芳樹
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究により、TGFβ/BMPシグナルの活性化が前立腺間質において筋線維芽細胞様の分化誘導に働くことを示した。よって、TGFβ阻害剤により筋線維芽細胞への分化誘導を阻止することが出来れば、肥大症結節の発生や癌細胞の悪性化を抑える新たな治療法や分子標的薬剤の開発に結びつくと考えられた。
著者
黒松 功 今村 哲也 杉村 芳樹
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.815-822, 2006-11-20
被引用文献数
7 2

(目的)80W KTP (potassium-titanyl-phosphate)レーザー(GreenLight PV^[○!R] surgical Laser System, American Medical Systems, Minnetonka, Minnesota)を用いた前立腺肥大症に対する光選択式前立腺蒸散術(PVP)は術中出血が少なく,手術翌日の尿道カテーテルの抜去が可能である.今回,当院において,本邦で初めてPVPを導入し,良好な治療成績を得られたので報告する.(対象と方法)2005年4月から同年10月までに前立腺肥大症による下部尿路症状を有し当院にてPVPを施行した患者66名のうち術後6カ月までの経過観察が可能であった57名を対象とした.原則として術前検査を外来にて施行の上,入院当日にPVPを施行した.麻酔は全身麻酔が7名で残りは腰椎麻酔のみで施行した.還流液には生理食塩水を使用し,術後は18Fr.尿道カテーテルを留置し,牽引・持続洗浄は施行せずに翌日これを抜去することとした.術前,術後2週,1カ月,3カ月,6カ月の時点における国際前立腺症状スコア(IPSS),QOLスコア,最大尿流量率(Qmax),残尿量(RUV)を評価した.また術前および術後3カ月での前立腺体積,PSA値も測定した.(結果)すべての症例で術中合併症を認めることなく手術を施行可能であった,抗血小板薬内服下に手術を施行した1名が術後2日目に尿道カテーテルを抜去した以外は,全例で術翌日の抜去が可能であった.術前,術後2週,1カ月,3カ月,6カ月の時点におけるIPSSは20.2±8.9から11.4±7.8, 9.3±6.0, 6.6±5.0, 6.1±5.0と有意に低下した,また最大尿流量率(ml/s)は7,2±2,9からそれぞれ13.6±7.6, 12.2±6.1, 15.3±7.4, 15.3±7.5と有意に増加した.輸血,術後のカテーテル牽引,持続洗浄を要した症例はなく,術後合併症では一過性の尿閉が2例,排尿時痛を4例に認めた.(結論)80W KTPレーザーを用いた前立腺肥大症に対する光選択式前立腺蒸散術(PVP)の安全性と有効性を示した.