著者
澤田 祐季 齋藤 知恵子 松川 泰 佐藤 剛 杉浦 真弓
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.807-811, 2018-08-10

●精液アレルギーは,精漿中の蛋白を抗原とし,局所の瘙痒から致命的なアナフィラキシーショックまで幅広い臨床所見を示す即時型アレルギー反応である. ●症状が重篤な場合は通常の性交では自然妊娠は困難であるため,挙児希望があれば脱感作療法,人工授精,体外受精が考慮される. ●それぞれの治療法にはメリット,デメリットがあるため,治療の選択肢を提示し,十分な説明をしたうえでの治療方針の決定が重要である.
著者
杉浦 真弓 尾崎 康彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

原因不明連続2回以上の6例の流産患者及び16例の人工妊娠中絶患者の流産時の子宮脱落膜組織を採用した。児の染色体異常による流産例は検討から省いた。それぞれの脱落膜組織からリンパ球を分離し、CD^<16+56+3->細胞(NK細胞)を解析した。また、6例の反復流産患者及び5例の中絶患者の脱落膜を用いてマクロファージ-を分離し、TGF-βも測定した。いずれも流産群とコントロール群の差を認めなかった。現在原因不明習慣流産の治療として夫リンパ球による免疫療法を施行しているが、感染などのリスクがあるため、これに変わる免疫刺激剤としてOK-432の投与を試みた。3回以上の流産歴をもつ患者に妊娠初期にOK-432の皮内注射を行い73.9%(17/23)が成功した。夫リンパ球の免疫療法では75.1%(154/205)が成功であり、OK-432の皮内注射は従来の免疫療法と同じ効果を示した。OK-432による免疫療法中、NK細胞活性を測定した症例のうち成功例ではNK細胞活性が低下する傾向がみられた。以前、NK細胞活性が高いと流産の危険性が3.5倍高いことを報告したが、OK-432のはNK細胞活性を抑制することで流産を予防する可能性が示された。また、NK細胞活性は精神疾患とも深く関わっている。ストレスが流産をひき起こすことは既に証明されており、原因不明の流産における精神的要因についても調査した。29組の2回の流産歴のあるカップルに半構造面接を行った。1回目、2回目のemotional impactはそれぞれ-74.5、-80.0(妻)-59.7、-65.0(夫)であり、2回目のが強かった。流産の予知をしていない人ほど強かった。また、61人の妻のNK活性について、低い神経症的性格、抑鬱状態、高い自尊心は高NK活性と関係した。つまり、これらの性格が流産と関係する可能性が示された。
著者
中村 元樹 森田 明理 杉浦 真弓 山口 裕史 西田 絵美 加藤 裕史 古橋 卓也 鳥居 寛 Fukunaga-Kalabis Mizuho 水野 俊彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

4箇所の胎児皮膚(頭部、背部、腹部、足底、胎生13週~22週、計36体)をHMB45, MITFなど各種抗体で免疫染色し、胎生期におけるメラノサイトの遊走過程を解明した。有毛部皮膚では、メラノサイトは胎生12から15週に、これから毛芽が形成される表皮基底層に存在し、足底皮膚では胎生早期、汗管形成以前にメラノサイトが汗管発生部位に到達し、汗管の伸長と共に深く入っていくことを明らかにした。エクリン汗腺にメラノサイト幹細胞が存在するとする近年の報告を裏付けるものであり、ヒトでの研究は初めてである。