著者
杉田 あけみ 伊藤 セツ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.144, 2007

<B>目的</B>ワークライフ・バランス(WLB)のとれた働き方ができる環境整備は,男女共同参画社会の実現であり,少子化対策でもあるという政府見解(内閣府2006:3)が示された.企業における経営資源としてのヒトは,個人・家庭・地域においては血のかよった人間である. WLBのとれた働き方ができる環境整備の前提として,このような認識がなければならない.そこで,男女従業員のWLBの現状を把握し,WLB施策とその実施効果に関する男女従業員と企業との認識を生活経営の視点から検討する.<BR><B>方法</B>ファミリー・フレンドリー企業表彰受賞企業(1999~2005年)と均等推進企業表彰受賞企業(1996~2006年)の従業員(男性172人,女性133人)へ「WLB尺度」(WLB実態尺度とWLB満足尺度)による調査を実施した.WLB施策,同施策実施効果に関する調査も実施した(上記従業員と企業49社).2004年に実施した調査との継続において,生活経営の視点から考察した.<BR><B>結果</B>WLB尺度の位置は従業員個々人によって異なるが,「仕事中心の生活に満足していない」従業員は,「仕事中心の生活に満足している」従業員の男性で2.2倍,女性で3.8倍である.男女従業員は,WLB施策では,「長時間労働の廃止」を,同施策実施効果では,「従業員の職場生活と家庭・個人生活とにゆとりと豊かさが生まれ,従業員は,職場生活でも家庭・個人生活でも幸福感を得ることができるようになる」を,上位項目に選択している.企業も同項目を上位に選択している.調査結果から,本報告では男女従業員個々人が満足を得ることができるWLBの実現に向けて,生活経営の視点から企業へ働きかける方策を示した.