著者
杉谷 陽子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.234-244, 2007
被引用文献数
2

The purpose of this study was to verify that people feel more at ease using Computer-Mediated Communication (CMC) compared to other media because of higher self-presentation efficacy. The reason for this may be the lack of nonverbal cues in CMC: it can help people present themselves in a preferred way. To test this hypothesis, I conducted two experiments. The experimental hypothesis of Study 1 was as follows: when people strongly want to make a good impression on others, they feel it is easier to communicate without nonverbal cues than with them. Conversely, when people are unconcerned about the impression they make on others, the amount of nonverbal cues does not influence the level of ease that people feel. The results partially supported the hypothesis. In Study 2, I scrutinized the process of the phenomenon observed in Study 1. The model was: the lack of nonverbal cues in CMC raises self-presentation efficacy, therefore, people feel more at ease during CMC. The result of path analysis significantly supported this assumption.
著者
杉谷 陽子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.234-244, 2007-03-20 (Released:2017-02-08)
被引用文献数
5

The purpose of this study was to verify that people feel more at ease using Computer-Mediated Communication (CMC) compared to other media because of higher self-presentation efficacy. The reason for this may be the lack of nonverbal cues in CMC: it can help people present themselves in a preferred way. To test this hypothesis, I conducted two experiments. The experimental hypothesis of Study 1 was as follows: when people strongly want to make a good impression on others, they feel it is easier to communicate without nonverbal cues than with them. Conversely, when people are unconcerned about the impression they make on others, the amount of nonverbal cues does not influence the level of ease that people feel. The results partially supported the hypothesis. In Study 2, I scrutinized the process of the phenomenon observed in Study 1. The model was: the lack of nonverbal cues in CMC raises self-presentation efficacy, therefore, people feel more at ease during CMC. The result of path analysis significantly supported this assumption.
著者
久保田 進彦 阿久津 聡 余田 拓郎 杉谷 陽子
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.61-74, 2019-06-28 (Released:2019-06-28)
参考文献数
61
被引用文献数
2 1

ブランド研究はマーケティングにおける重要なテーマであり,現在も盛んに議論が行われている。そこで本稿では4人のブランド研究者が,いまなお広がり続けているブランド研究の現状や課題について語っていく。本稿は4つの短い論文の組み合わせから構成されるオムニバス形式であり,企業ブランドが組織におよぼす影響(阿久津論文),BtoBマーケティングにおけるブランディングの効果(余田論文),BtoCマーケティングにおけるブランドの機能(杉谷論文),そしてブランド消費をとりまく環境変化(久保田論文)という順序で議論が行われていく。ブランドという重要なテーマについて,4人の研究者が異なる視点から語ることによって,現代ブランド研究の多面性があらためて示されることとなる。
著者
杉谷 陽子
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.2_143-2_168, 2011 (Released:2018-08-31)
参考文献数
49

本研究の目的は、悪い口コミや不祥事報道のような否定的な情報が消費者の目に触れたとしても、依然として高い購買意図や好意的イメージを維持できる「強い」ブランドとはなにかを実証的に検討することである。一般消費者を対象とした2つの研究の結果、仮説の通り、ブランド態度は「認知」と「感情」の2次元に分類して捉えることができ、前者よりも後者において評価の高いブランドは、否定的情報によって評価が低下しにくいことが示された。
著者
杉谷 陽子
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1_2, pp.1_2_1-1_2_26, 2016 (Released:2021-04-06)
参考文献数
47

悪い口コミをされても評価が下がりにくい「強い」ブランドとは、どのような態度構造をもつのだろうか。本研究は、ブランドに対する感情的評価を「憧れ(pride)」と「親しみ(closeness)」の2次元に分類し、「親しみ」感情は悪い口コミをされても低下しにくいことを、実験室実験によって示した。さらに、「親しみ」感情が低下しにくい理由について、「親しみ」は直感的評価であるのに対して、「憧れ」はある程度の熟慮を経たうえで生じる感情であるという仮説を検証した。実験では、商品の使用経験がない条件(広告によってブランド情報を提示するのみの条件)と、使用経験あり条件(実際に商品を使用させて熟慮を促す条件)とで、ブランド評価の強さを比較した。その結果、「親しみ」感情は、商品の使用経験の有無にかかわらず、悪い口コミによって評価が下がりにくかった。一方、「憧れ」感情は、商品の使用経験あり条件において、使用経験なし条件よりも、悪い口コミによって評価が低下しにくかった。考察では、本研究の限界と今後の課題、実務的示唆について論じた。
著者
杉谷 陽子
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.38-53, 2018 (Released:2020-01-24)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

「自己とブランドのつながり(Self-brand connection)」は,ブランド購買やブランド支援行動を導く重要なブランド評価である。本研究では,自己とブランドのつながりを,いかにすれば強化することが出来るか,その方法を明らかにした。また,自己とブランドのつながりは,状況によって変化しにくく,常に購買意図を導く効果をもつことを明らかにした。実験では,まず,参加者に未知のファッションブランドの広告を見せてブランドに対する評価および購買意図を回答させた。次に,そのブランドが自らの所属する集団,あるいは,羨望集団において多く採用されているブランドであるという情報を,オンラインマガジンの記事として提示した。その結果,記事を参照することで,自己とブランドのつながりは有意に上昇した。また,記事を参照する前,参照した後,いずれにおいても,自己とブランドのつながりは購買意図を高める効果を持つことがわかった。一方,他のブランド評価(プレステージ,知覚品質,ファッション性)は状況によって変動しやすく,購買意図との関連は弱いことが分かった。考察では,自己とブランドのつながり,および,その他のブランド評価の性質について論じた。