- 著者
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中川 育磨
村上 正晃
- 出版者
- 日本臨床免疫学会
- 雑誌
- 日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.3, pp.160-168, 2017 (Released:2017-07-26)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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脳や脊髄など中枢神経系の血管は,血液脳関門という特殊な構造を形成することで,血管系から中枢神経系への病原体や化学物質,免疫細胞の侵入を防ぎ中枢神経系の恒常性を極めて高度に維持している.しかしながら,中枢神経系においても病原体や免疫細胞の侵入に伴う疾患が実際に存在し,それはすなわち血液脳関門の破綻に伴う侵入口(ゲート)が形成されていることを意味する.近年までこのゲート形成の分子機構はほとんど明らかになっていなかった.著者らは,中枢神経系の難病疾患である多発性硬化症のマウスモデルを用いて,血液脳関門におけるゲートの形成部位と形成機構,及びその分子基盤として局所においてNF-κB経路とSTAT経路の同時活性化により炎症を誘導・維持する機構である「炎症回路」を明らかにした.