著者
村上 至孝 楠目 和代 小泉 宗光
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.525-529, 2020-12-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

入浴は食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の発症に関与する要因の1つとされている.今回,モモを摂取後に入浴して発症したFDEIAの1例を経験したので報告する.症例は8歳の女児.生のモモを摂取して10分後に入浴し,30分後からアナフィラキシーが出現した.モモのprick-to-prick testは陽性,モモ特異的IgEは5.35UA/mLであった.モモによるアナフィラキシーを疑い,生のモモの食物経口負荷試験を実施したが陰性であった.アスピリンを内服後に生のモモを摂取し運動負荷を行ったところアナフィラキシーが誘発された.アレルゲンコンポーネント特異的IgEはPru p 3は陰性,Pru p 7は陽性であった.食後の入浴により発症したFDEIAの報告は少なく,入浴でアナフィラキシーが誘発されるメカニズムは十分に解明されていないが,入浴は本症の発症に関与する要因の一つとして認識しておく必要がある.
著者
網本 裕子 新垣 洋平 村上 至孝 増本 夏子 田場 直彦 村上 洋子 手塚 純一郎 本荘 哲 本村 知華子 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1641-1645, 2011

【背景・目的】呼気中一酸化窒素(fraction of exhaled nitric oxide:FE_<NO>)は簡便な気道炎症の評価法である.気管支喘息キャンプに参加した吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)使用者のコンプライアンスとキャンプ中の吸入指導によるFE_<NO>変化の関係を検討した.【方法】2008〜2010年のキャンプに参加した6-12歳の喘息児131人中ICS使用者50人にキャンプ前の予診時に家庭での薬剤管理状況を質問し,4群に分けた.キャンプ中の吸入指導により初日と最終日のFE_<NO>変化を薬剤管理状況別に比較検討した.【結果】年齢,性別,治療ステップ,FE_<NO>中央値いずれも4群間で差を認めなかった.FE_<NO>値は毎日ICS吸入をしている者では変化を認めなかったが,ICS吸入を忘れることがある者では最終日は初日と比較して有意に低下した.【結語】FE_<NO>値の変化はICS使用者におけるコンプライアンスをみる指標になる可能性がある.