著者
岡田 賢司 村上 恭子
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.55-62, 2015-12-31 (Released:2016-02-04)
参考文献数
7

予防接種後に発生した有害事象報告は基本的には自由記載で収集されており,その診断の確度の評価ができない場合もある.海外ではこのような実情を鑑み,標準化された基準で収集・評価検討していくことが行われている.国際標準として広く導入され始めているブライトン標準化症例定義を日本においても適用するための方策を考えた.
著者
寺田 喜平 尾内 一信 庵原 俊昭 岡田 賢司 沼崎 啓
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.414-418, 2008-09-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6

麻疹・風疹混合 (MR) ワクチン2回接種における安全性と有効性について検証を行った. 対象は約5年前1歳で接種したMRワクチン (ミールビック, 財団法人阪大微生物病研究会) 治験対象者うち了解の得られた75名であった. 方法は追加接種前後に採血して抗体価の変動を調べ, 接種後28日間の健康状態観察表から有害事象を調査した. その結果, 重症な有害事象は認められなかった. また発熱の頻度は1回目の接種時より有意に (p<0.05) 27.3%から14.9%, 発疹の頻度も122%から6.8%に減少したが有意差はなかった.接種部位の発赤や腫脹は, それぞれ7.3%から10.8%, 29%から&1%に増加したが, 有意差はなかった.有効性において, 追加接種前後で麻疹NT抗体 (2n) の平均±標準偏差は5.5±12から64±1.0に増加し, p<0.0001の有意差があった. 風疹HI抗体 (2n) の平均±標準偏差は4.5±1.3から6.3±0.9に増加し, 統計学的にはp<0.0001の有意差があった. 2回目接種後麻疹抗体はNT法およびEIA法で, 風疹抗体はHI法ですべて陽性となった. 接種後平均で2管以上の有意な増加を認めた接種前抗体価は, 麻疹NT抗体8倍以下, 風疹HI抗体16倍以下であった. 以上より, MRワクチン2回接種は安全で有効な方法と考えられた.
著者
目野 郁子 岡田 賢司 山口 優子 諸熊 一則 大隈 邦夫 植田 浩司
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.150-154, 2000-02-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15
被引用文献数
1

乳幼児期に全菌体百日咳を含むジフテリア・破傷風・百日咳混合ワクチン (DTwP) の定期接種を受けた若年成人女性84名を対象にジフテリア, 破傷風および百日咳に対する抗体保有状況を調査した. 母子手帳の記載による84名のDTwP接種回数は, 1回4名, 2回5名, 3回23名および4回52名で, ワクチンを3回以上接種した者は全体の89.3%であった. ワクチン接種15~19年後のジフテリアおよび破傷風の抗毒素抗体陽性率 (0.011U/ml以上) は, それぞれ86.9%, 940%と高率であった. 百日咳では抗PT抗体価, 抗FHA抗体価の抗体陽性率 (10EU/ml以上) は357%, 559%と低率であった. 以上の結果からDTwP接種後15年以上経過してもジフテリア, 破傷風に関しては, 良好な抗体保有状況であったが, 百日咳に関しては, 感染防御レベル以上の抗体を保有するものは少なかった.
著者
堀川 和美 岡田 賢司 石橋 哲也 村上 光一 大淵 典子 植田 浩司
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 : 日本伝染病学会機関誌 : the journal of the Japanese Association for Infectious Diseases (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.878-883, 1995-08-20
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

1990年8月から1993年3月までの30カ月間に福岡県内6病院小児科を受診した百日咳様患者を対象として, 百日咳菌分離を行った. この期間に菌検索を行った179検体から43株 (24%) の1, 3, 6型のK抗原因子を保有する百日咳菌と1株のパラ百日咳菌を分離した. 百日咳菌を分離した患者の年齢は1歳未満が22名 (51%), 1歳から10歳が18名 (42%), 成人が3名であった. これら43名中39名がDPTワクチン未接種であったが, 3名はDPTワクチン接種済みであった. 分離菌株の23薬剤に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を求めた. MIC測定は微量液体希釈法で行った. PIPC, EM及びCPZのMIC<SUB>50</SUB> (使用菌株50%に対するMIC値) は0.005, 0.02及び0.01μg/mlであった. また, CER及びCCLのMIC<SUB>50</SUB>は各々10及び20μg/mlであり, 分離菌株はこれら薬剤に対して耐性であった. 更に従来から用いられている寒天平板希釈法も併せて実施し, 微量液体希釈法と比較検討した. 両法による使用菌株のMICは何れの薬剤も同じかやや寒天平板希釈法の方が高かった.
著者
手塚 純一郎 本村 知華子 池井 純子 井手 康二 漢人 直之 後藤 真希子 田場 直彦 林 大輔 村上 洋子 森安 善生 スビヤント ケイジ 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博 西間 三馨
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1034-1042, 2008
被引用文献数
2 1

【目的】2006年9月よりブデソニド吸入用懸濁液(パルミコート吸入液^[○!R])の販売が開始され,乳幼児でpMDI+スペーサーによる治療以外にも吸入ステロイドの選択肢が増えた.しかし,メッシュ式ネブライザーを用いた検討の報告はない.今回,ブデソニド吸入用懸濁液のメッシュ式ネブライザーでの有効性・安全性について検討した.【対象および方法】6ヵ月以上5歳未満の気管支喘息と診断された児30名を対象に,2週間の観察期間後,Pari TurboBoy^[○!R]+LC Plus nebulizer^[○!R],Pari eMotion^[○!R],Omron MicroAir NE-22U^[○!R]の3機種に10名ずつ無作為に割り付け,ブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを1日1回朝に投与した.有効性および安全性の評価を,投与前,4週後,12週後に喘息日誌と血漿コルチゾール値・身長を用いて行った.【結果】対象3群のうち,投与前の血漿コルチゾール値は,Omron MicroAir NE-22U^[○!R]で有意に高かった.投与後の血漿コルチゾール値はOmron MicroAir NE-22U^[○!R]で4週の時点で有意に低下したが基準値を超えての低下は認めなかった.他のネブライザーでは有意な変化は認めなかった.また,投与前後の有症状日数は投与後に有意に低下していたが,ネブライザー間での有意な差を認めなかった.【結論】メッシュ式ネブライザーを用いてブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを投与することは,有効かつ安全であることが示唆された.
著者
網本 裕子 新垣 洋平 村上 至孝 増本 夏子 田場 直彦 村上 洋子 手塚 純一郎 本荘 哲 本村 知華子 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1641-1645, 2011

【背景・目的】呼気中一酸化窒素(fraction of exhaled nitric oxide:FE_<NO>)は簡便な気道炎症の評価法である.気管支喘息キャンプに参加した吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)使用者のコンプライアンスとキャンプ中の吸入指導によるFE_<NO>変化の関係を検討した.【方法】2008〜2010年のキャンプに参加した6-12歳の喘息児131人中ICS使用者50人にキャンプ前の予診時に家庭での薬剤管理状況を質問し,4群に分けた.キャンプ中の吸入指導により初日と最終日のFE_<NO>変化を薬剤管理状況別に比較検討した.【結果】年齢,性別,治療ステップ,FE_<NO>中央値いずれも4群間で差を認めなかった.FE_<NO>値は毎日ICS吸入をしている者では変化を認めなかったが,ICS吸入を忘れることがある者では最終日は初日と比較して有意に低下した.【結語】FE_<NO>値の変化はICS使用者におけるコンプライアンスをみる指標になる可能性がある.